「月40時間削減しました」で、利益はいくら増えましたか
AI導入の報告で、いちばんよく出てくるのがこの形です。
「この業務が月40時間削減できました」
「時給2,500円で換算すると、月10万円の効果です」
計算は合っています。
そして、決算書のどこにも、その10万円は出てきません。
理由は単純です。
その40時間ぶんの給与を、会社は変わらず払っているからです。人が減ったわけでも、残業代が減ったわけでもない。空いたのは時間だけで、出ていくお金は1円も減っていません。
この記事は、ここを変えるための手順書です。
効率化と収支改善は、別のことです
経営者の視点で見ると、AI導入には2種類あります。
収支に出ない導入
・作業が速くなった
・社員が楽になった
・資料がきれいになった
収支に出る導入
・払っていた外注費が止まった
・契約していたサービスを解約した
・残業代が減った
・人を増やさずに案件を増やした
前者が無意味だと言っているのではありません。社員が楽になるのは良いことです。
ただ、「AIで収支を改善する」と言うなら、後者を狙う必要があります。 そして、狙わなければ当たりません。
私が自社で3か月やって気づいたのは、これでした。
効率化を目的に置いているかぎり、効率化しか起きません。
この記事でわかること
・「時間削減」が帳簿に出ないカラクリと、出るようにする3つの道
・自社のP/Lのどこから手をつけるか、上から順に探す方法
・実際に支払いが止まる支出の見つけ方
・始める前に決めておく効果の測り方(あとから測ると必ずもめます)
・外注費・サブスク・残業、それぞれの止め方
・社内から出てくる抵抗と、その扱い方
・私が3か月を無駄にした失敗
向いている人
・自社にAIを入れたいが、投資判断の根拠が作れていない経営者・役員
・すでに入れたが、効果を聞かれて答えに詰まっている人
・「便利になった」で止まっている状態を動かしたい人
・決算書を見る立場にいる人
向いていない人
・ツールの使い方や、プロンプトの書き方を知りたい人(ここでは扱いません)
・AIで新規事業を立ち上げたい人(この記事は既存の収支の話です)
・短期間で大きな収入を得る方法を探している人
・税務や申告の扱いを知りたい人(扱いません)
先に正直に書いておくこと
この記事に、「導入して利益が◯%増えた」という数字は出てきません。
出せる形で測っていなかったからです。 それ自体が私の失敗で、だから「測り方を先に決める」という章が長くなっています。
書いてあるのは、どこを狙えば収支に出るのか、どう測るのか、どこでつまずいたか。
成功事例集ではなく、設計の手順と失敗の記録です。
目次
第1部 どこに効かせるか決める
1-1 「時間が浮いた」を収支に変える3つの道
1-2 P/Lを上から順に見て、触れる場所を探す
1-3 実際に支払いが止まる支出を特定する
1-4 効果の測り方を、始める前に決める
1-5 やらないことを決める
第2部 実際に効かせる
2-1 外注費を止める
2-2 契約しているサービスを棚卸しする
2-3 残業を減らす
2-4 人を増やさずに案件を増やす
2-5 売上側に効かせる(ここだけ時間がかかります)
第3部 続けるための話
3-1 効果測定でよくある間違い
3-2 やめる判断の決め方
3-3 社内から出てくる抵抗
3-4 経営者が陥る罠
3-5 踏み込んではいけない線
付録 そのまま使えるもの
・収支インパクト算定シート
・導入前チェックリスト
・効果測定の記録表
・指示文テンプレート
無料で1つだけ:収支に出る導入と、出ない導入の見分け方
有料部分に入る前に、判定の方法をひとつ渡します。
導入を検討している業務について、この1問に答えてください。
この業務がゼロになったら、来月、誰への支払いが止まりますか。
答えられたら、収支に出ます。
答えられなければ、出ません。
例を並べます。
業務 | 支払いが止まるか | 収支に出るか
外注していた記事作成を内製化 | 外注先への支払いが止まる | 出る
使っていないツールを解約 | 月額料金が止まる | 出る
残業していた集計作業を自動化 | 残業代が減る | 出る(減らす運用をすれば)
社員の資料作成が速くなった | 誰への支払いも止まらない | 出ない
会議の議事録が自動で作れる | 止まらない | 出ない
下の2つが悪いわけではありません。
ただ、これを「収支改善」として社内に報告すると、次の投資の判断を誤ります。
そして3番目に注目してください。残業の自動化は、「残業を減らす運用をすれば」という条件つきです。作業が速くなっても、残業申請のルールが変わらなければ、残業代は減りません。
ここが、この記事全体でいちばん言いたいことです。
AIが時間を空けても、その時間の使い道を決めるのは人間です。決めなければ、時間は別の作業で埋まり、収支は動きません。
この価格について
この記事は¥14,800です。
高いと感じる方もいると思うので、判断の目安を書いておきます。
有料部分で扱うのは、外注費・サブスク・残業代・採用の4か所です。
たとえば月1万円の外注を1件止められれば、2か月目に記事代を上回ります。
ただし、止められる支払いがあるかどうかは会社によって違い、効果を約束するものではありません。
「止められる支払いが社内にあるか」を自分で探すための手順書です。
付録の4つ(収支インパクト算定シート・導入前チェックリスト・効果測定の記録表・指示文テンプレート)は、そのまま社内で使える形にしています。
ここから先が有料です。
第1部では、空いた時間を収支に変える3つの道から始めます。
