




はじめに:2026年、私たちは「静かな絶望」の中にいる
2026年。新NISA制度が始まってから2年が経過しました。
街を歩けば「資産形成」の文字が溢れ、かつては投資に無縁だった層までが、スマートフォンの画面で投資信託の評価損益を確認するのが日常の風景となりました。
しかし、どうでしょうか。
「全世界株式(オルカン)」や「S&P500」に毎月数万円を積み立てているあなたの心は、本当に将来への安心感で満たされているでしょうか。
おそらく、答えは「ノー」のはずです。
むしろ、投資を始めたことで、逆に「このままで本当に足りるのか?」という、より具体的で逃げ場のない不安に直面しているのではないかと思います。
それもそのはずです。私たちが生きているこの2026年の日本は、数年前の常識が通用しない「新しい、そして過酷なフェーズ」に突入しているからです。
物価は上がり続け、かつて1,000円で食べられたランチは1,500円になり、社会保険料の負担は静かに、しかし確実に私たちの手取りを削り取っています。そんな中、年利5%や7%といった「インデックス投資の平均リターン」だけで、人生の後半戦を逃げ切れると考えるのは、あまりに楽観的な計算だと言わざるを得ません。
本書は、SNSで流れてくるような「誰でも簡単に億万長者」といった夢物語を語る本ではありません。
また、「ただ積み立てて待てばいい」という無責任な放置を推奨する本でもありません。
本書が提示するのは、「労働収入という名の呪縛」から脱却するための、冷徹なまでの算術と戦略です。
私は知っています。
毎日、決められた時間にデスクに座り、感情を押し殺してルーチンワークをこなし、満員電車に揺られて帰路につく。その労働の尊さを否定はしませんが、その「労働」だけでは、もはや自分自身の尊厳と未来を守れない時代に来ていることを。
「労働は、自分のやりがいや社会との繋がりのために。お金は、投資という名の資本に働かせることで増やす」
この構造へのシフトを、精神論ではなく「手法」として確立すること。
それが、2026年という時代を生き抜くための、私たちの唯一の生存戦略です。
第1章:なぜ「積み立て」だけでは守りきれないのか
――2026年、投資の常識が書き換わる
1. 「S&P500なら安心」の落とし穴
「とりあえずNISAでS&P500を買っておけば大丈夫」
