AIに文章を直させると味が消える|自分の言い回しを残して整える手順

AIに文章を直させると味が消える|自分の言い回しを残して整える手順

西脇達也|2店舗経営|AI活用集客

西脇達也|2店舗経営|AI活用集客

AIに文章を直してもらうと、正しいのに自分の言葉じゃなくなる。

そんな違和感を持ったことはないでしょうか。誤字も減って読みやすくなったはずなのに、自分で書いた文章という感じがしない。きれいすぎて、かえって人に見せにくくなることがあります。

原因は、AIの文章力が足りないからではありません。こちらが「どこまで直してよいか」を決めないまま、丸ごと整えてもらっているからです。

この記事では、文章の中身や温度を残しながら、読みにくい部分だけをAIに整えてもらう手順を紹介します。完成文を代わりにつくらせるのではなく、自分の文章を自分のまま仕上げるための使い方です。

味が消える3つの原因

AIに「この文章を読みやすく直してください」とだけ頼むと、AIは親切に広い範囲を直そうとします。読みやすさの基準が曖昧なので、語彙、文の順番、具体例、語尾まで、一般的に整った文章へ近づけるからです。

  1. 修正範囲が広すぎる。「直す」が、誤字の修正なのか全文の再構成なのか伝わっていない
  2. 残したい表現を示していない。比喩や口ぐせも、不要な揺れとして均されやすい
  3. 完成文だけを受け取っている。どこが変わったか分からず、戻す判断ができない

たとえば「今日はなんだか手が進まない」を「本日は作業効率が上がりません」にすると、意味は近くても温度は別物です。「なんだか」や「手が進まない」には、書き手の迷い方や普段の話し方がにじんでいます。

文章の味は、立派な言葉に宿るとは限りません。少しくだけた語尾、いつもの比喩、言い切らずに置いた余白など、整えすぎると消える部分にこそ、その人らしさがあります。

直してほしいのは「中身」か「見た目」かを先に分ける

最初に決めたいのは、今回の推敲で触ってよい範囲です。僕は「中身」と「見た目」を分けて考えると、AIへ指示しやすくなると思っています。

  • 中身:主張、結論、具体例、情報の順番、伝えたい感情
  • 見た目:誤字脱字、助詞、句読点、重複、改行、段落の長さ

自分の考えがすでに書けているなら、AIに任せるのは主に「見た目」です。「内容は変えず、誤字と助詞と段落だけ整えてください」と範囲を限定します。

反対に、結論が伝わりにくい、話の順番に迷っているという段階なら、中身への助言も必要です。ただし、その場合もいきなり書き直してもらわず、「分かりにくい箇所を指摘してください。まだ修正文は出さないでください」と頼むと、自分で選ぶ余地が残ります。

ここを混ぜないことが大切です。構成相談と文章修正を一度に頼むと、どの変更が必要だったのか見えにくくなり、気づけば別の文章になってしまいます。

味を残す渡し方

原文を置き換えないためには、「何をしてほしいか」だけでなく「何をしないでほしいか」も渡します。AIは制約があるほど、編集者としての役割に寄せやすくなります。

  1. 役割を「代筆者ではなく編集者」と決める
  2. 変更してよい項目を列挙する
  3. 残す項目と禁止する変更を列挙する
  4. 修正文の前に、残すべき言い回しを抽出させる
  5. 修正後に、変更箇所と理由を説明させる

とくに効くのが、最初に「残すべき言い回し」をAI自身に抜き出させることです。何を守るか確認してから修正へ進むので、全文をなめらかに置き換える動きを抑えられます。

もう一つは、判断に迷う箇所を勝手に直させないことです。「要確認」と残すように指示すれば、AIの推測で意味が変わるのを防ぎ、自分が最後に決められます。

自分の口ぐせ・言い回しを見本として先に渡す

禁止事項だけでは、AIはあなたらしさを十分に知りません。そこで、過去に自分で書いて「これは自分らしい」と感じる短い文章を、見本として先に渡します。

長い記事を何本も渡す必要はありません。数段落ほどの見本から、語尾、漢字の開き方、説明の速度、比喩の使い方などを拾ってもらいます。

  • よく使う語尾:「〜だと思っています」「まずは〜で大丈夫です」
  • 残したい間合い:「でも」「たとえば」から始める短い文
  • 自分らしい比喩:「頭の中が机の上みたいに散らかる」
  • 避けたい調子:強い断定、かたい敬語、宣伝文のような勢い

見本を渡すときは「この文章をまねて新しく書いて」ではなく、「この文章から残したい特徴を抽出し、今回の原文を直すときの基準にして」と伝えます。そうすると、内容の模倣ではなく、編集方針として使いやすくなります。

直された文を鵜呑みにせず「元に戻す」判断基準

AIの修正文は、完成品ではなく比較案です。読みやすくなった部分だけを受け取り、自分らしさが薄くなった部分は元に戻してかまいません。

  • 自分が普段は口にしない言葉へ変わっていないか
  • 迷いや感情が、きれいな結論に変換されていないか
  • 具体例が抽象的な説明にまとめられていないか
  • やわらかい語尾が、強い断定になっていないか
  • 声に出したとき、自分が話している感じがするか

僕がとくに見たいのは、「正しくなったか」より「自分がこの言い方を選ぶか」です。文章として少し不ぞろいでも、読者に伝わり、本人が言いそうなら残す価値があります。

修正前と修正後を一文ずつ見比べ、「意味」「温度」「具体性」のどれかが変わっていたら立ち止まります。読みやすさのために必要な変化なのか、ただ一般的な表現に寄っただけなのかを判断します。

3回使えば型になる|推敲を頼むときの定型文

以下は、原文の味を残して推敲するための定型文です。実際のサンプル原文で試し、比喩や口ぐせを保持したまま、必要な句読点と段落だけを整え、新しい情報を足さないことを確認しました。

あなたは文章の代筆者ではなく、編集者です。
目的は、原文の言い回しを残したまま、読みにくい部分だけを整えることです。

変更してよいもの:
- 誤字脱字
- 助詞の抜けや重なり
- 句読点
- 同じ意味の重複
- 読みやすくするための段落分け

変更しないもの:
- 主張と結論
- 具体例
- 感情の強さ
- 語尾の温度
- 書き手らしい比喩、口ぐせ、言い回し

禁止事項:
- 原文にない情報を足す
- 気の利いた表現へ置き換える
- 断定を強くする
- 全文を書き直す

次の順番で出力してください。
1. 原文から、残すべき言い回しを3つ抜き出す
2. 必要最小限に整えた全文を出す
3. 変更した箇所と理由を箇条書きにする
4. 判断に迷う箇所は変更せず「要確認」と書く

原文:
ここに自分の文章を貼ってください

最初の1回で思いどおりにならなければ、テンプレ全体を捨てる必要はありません。「この言い回しは残したい」「この語尾は使わないでほしい」と一つずつ追記します。

同じ種類の文章で3回ほど使うと、自分が守りたい基準が見えてきます。その追記を定型文へ戻しておけば、次からは説明の手間が減り、自分専用の推敲ルールとして育っていきます。

残すべき言い回し: ・頭の中が机の上みたいに散らかります ・とりあえず全部書き出す ・まずは雑でいいと思っています検証時にAIが抽出した文章(一部)

そのまま使えるチェック|味が消えていないかの見分け方

最後は、修正文だけを眺めず、原文と並べて確認します。次の項目に一つでも引っかかったら、その部分だけ元に戻すか、AIへ再修正を頼みます。

  • 残したかった比喩や口ぐせが消えていない
  • 原文にない事実や主張が増えていない
  • 弱かった感情が強く、または強かった感情が弱くなっていない
  • 具体例が勝手に短くまとめられていない
  • 語尾が同じ形にそろいすぎていない
  • 声に出して読んだとき、自分の話し方に聞こえる
  • 変更理由を見て、自分でも必要だと納得できる

AIに任せるのは、文章の主導権ではありません。誤字を見つけ、重複を減らし、読み手が迷う場所を教えてもらうことです。何を残し、何を戻すかは、自分が決めます。

文章の味を守るコツは、AIに上手な文章を書かせることではなく、「触ってよい場所」を狭く伝えることです。原文、見本、変更範囲、禁止事項、変更理由。この5つを渡せば、AIは代筆者ではなく編集者として使いやすくなります。

まずは次に書く短い文章で試してみてください。整ったかどうかだけでなく、「まだ自分の言葉に聞こえるか」を最後の基準にすると、AIを使っても文章の持ち味を残せます。

ThreadsやInstagramでも、AIを仕事に取り入れるときの考え方や、小さく試せる手順を発信しています。気になる方は @tatsuya.nishiwaki_ をのぞいてみてください。


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