こんにちは。矢内綾乃です。
前回の記事では、コーチングスキルとして3大コーチングスキルが存在すること、そのなかでも特にリフレクションスキルについてお伝えしました。
https://tips.jp/u/yanai_ayano/a/edIzfUNk
今回は、「パワフル・クエスチョンスキル」についてお伝えします。
効果的質問(パワフルクエスチョン)スキルとは?
効果的質問(パワフルクエスチョン)は、クライアントから、さらに素晴らしい可能性を引き出し、彼らの新たな学びを作り、気づきを拡大させ、より明確なビジョンを創り出すのに、もっともよくコーチがつかうツールです。
効果的質問の前提条件として、オープン・クエスチョン であることが大切です。
質問の種類にはクローズド・クエスチョンと、オープン・クエスチョンの二種類があります。
クローズド・クエスチョンはすべて「はい」「いいえ」で答えられるような、特定の答えを求めるよう限定された質問です。
一方で、オープン・クエスチョンは単純に「はい」「いいえ」で答えられないような質問で、これまで言語化していなかったプロセスを通るために、クライアントの気づきや洞察を深め、彼らの創造性を引き出し、可能性を広げることができます。
コーチングにおいてはクライアントからはっきりとした「はい」「いいえ」を聴かなければならないような状況は限られています。ほとんどの場合はオープン・クエスチョンを使い、クライアントが自由に表現し、冒険をすることができるスペースを創り出します。
コーチングの特徴は教えることではなく、問いかけることでクライアントが自ら考え、行動することにあります。このオープン・クエスチョンはコーチングの根幹をなすスキルであり、ほかのさまざまなスキルのベースとなるものです。
具体例と注意点
パワフルな質問は、常にオープン・クエスチョンで次のような疑問詞からはじまり(含み)ます。
(環境レべル)いつ When どこ Where 誰に Whom
(行動レベル)なにを What
(能力レベル)どのように How
(価値観・信念レベル)なぜ Why
(アイデンティティレベル)あなたは誰か who
注意点
1)
「なぜ」や「どうして」というようにコーチの判断や評価を含んだ質問と、「~しない(しなかった)の?」「~できない(できなかった)の?」という否定語をつかうと、相手を責めているような印象を与え、委縮させたり、防衛的な態度を引き出すことがあります。
この場合、例えば「なぜ、決めたことができなかったのですか?」と問うよりも「決めたことをできなかったということですが、なにがあったのですか?」と問うほうが効果的でしょう。
2)
クライアント本人ではなく第三者へむけた質問やクライアントの周辺情報を聞き出す質問も、無意味な情報を収集するだけで、ほとんど効果がありません。
例えば、「あなたの上司はなんといったのですか?」と聞くと、会話の中心がクライアントから、その場にいない上司に移ってしまい、コーチングの焦点がずれてしまいます。
3)
「どこへ行ったのですか?」とか「いつしたのですか?」といったように単に過去の情報を収集するためだけの質問は、クライアントに気づきや洞察を深めたり、可能性を広げたり、行動を促すものにはならないので、これも効果的ではありません。
基本的にコーチングは、現在から未来に意識を向けます。
効果的質問(パワフルクエスチョン)をつかうときに大切なこと
効果的質問(パワフルクエスチョン)をつかうときに大切なことは
「この質問は、クライアントの気づきや洞察を深めるものだろうか?」
「この質問は、クライアントの可能性や視点を広げるものだろうか?」
「この質問は、クライアントの行動を促すものだろうか?」など意識しながら質問することです。
例)
「今日話したいことはどんなテーマですか?」
「ほかにどんな方法があるでしょうか?」
「それを達成したときになにが得られるでしょうか?」
「この体験を次に活かすためにはどうしますか?」
「なにを学びましたか?」
「どんな気づきがありましたか?」
例外)
特別にクライアントの意思や気持ちをはっきりさせる必要があるときは意図的にクローズド・クエスチョンを使います。
【練習問題】次回の記事で回答例を載せます。
練習)下記のクローズド・クエスチョンをリフレーム(言い換え)してみましょう。
・締め切りはありますか
・それで充分ですか
・それはあなたにとって本当に気にするべきことですか
・セルフケアをしていますか
・十分にもうけていますか
・彼のことを愛していますか
・あなたができることはありますか
・電話をかけましたか
・人生の立て直しをしようと思いますか