この記事では話すことが苦手、人見知りで1対1の会話が怖い、といった方に向けて、「話すのが怖い」という感情はどこからくるのか、どうすればそれを克服し、会話がスムーズに出来るようになるのか、について段階的にステップを踏んで解説しています。ぜひ一度お手に取ってみてください。
🟦 第1章｜なぜ私は会話が苦手なのか？〜その背景をひもとく
子どもの頃から“無口”だった記憶
親や先生から「もっと元気に話して」「しっかり自己主張しなさい」と言われた経験はありませんか？その言葉に、「今の自分はダメなんだ」という思いを重ねてしまった人も多いでしょう。ある女性は、小学生の頃に発表が苦手で、教室で手を挙げるのが怖かったそうです。ある日、勇気を出して発言したら、クラスの男子に「声ちっちゃ！」とからかわれて、それ以来発言できなくなったと話してくれました。こんなふうに、心に小さな傷を負った体験が、「話す＝怖い」と感じるきっかけになってしまうのです。無意識のうちに、「目立たないようにしよう」「できるだけ話さないでおこう」という行動が染みついていくのは、とても自然なことなのです。
「話しても盛り上がらない」という思い込み
もうひとつ大切なのは、「会話＝笑わせなければいけない」という思い込みを手放すことです。実は、盛り上がる会話の多くは、笑いではなく“共感”でできています。たとえば、同僚が「最近、寝不足でさ〜」と言ったときに、「わかる！私も夜中に目が覚めちゃって…」と返すだけで、十分に会話は成立しています。それだけで「自分と似てる」と感じ、相手は安心するのです。面白い話やオチをつけなければいけない、というプレッシャーが強い人ほど、話すことが怖くなります。あなたに求められているのは“芸人”ではなく“共感してくれる人”なのです。
人間関係で失敗した記憶がブレーキになる
話したあとに「やっぱり変なこと言ったかも…」と何度も思い返してしまう——。これは「反芻思考」と呼ばれ、会話が苦手な人に多い傾向です。ある読者の方は、「雑談中に『最近何か面白いことあった？』と聞かれて、何も答えられなかった。それ以来、人と話すこと自体が怖くなった」と打ち明けてくれました。でも、そのときの“沈黙”や“言えなかったこと”は、本当に失敗だったのでしょうか？相手はただ「そうか〜」と流して終わっていたかもしれない。自分の中では大事件でも、相手にとっては大したことではないことも多いのです。“あの時の自分”を、今の自分の目で優しく見つめ直すこと。そこから、ブレーキを緩める第一歩が始まります。
沈黙＝悪いこと、という誤解
沈黙に強い人は、実は“間”の使い方がうまい人でもあります。たとえば、言葉のあとに少し間を置いてから話し始めると、相手に「ちゃんと考えてくれてるんだな」という印象を与えることができます。また、沈黙の間にうまれる“気配”のようなものが、お互いの距離を縮めてくれることもあります。カフェで本を読む友人と無言で並んで座る時間。言葉がなくても心が通じる時間。そんな静かな繋がりが心地よいのだとすれば、沈黙は“マイナス”ではなく“プラス”なのです。一言も発さなくても、一緒にいられる相手。それこそが、あなたにとって本当に安心できる人間関係なのかもしれません。
話し上手＝才能ではないという事実
話し上手な人の多くは、影で「話す練習」をしています。たとえば、YouTubeで活躍する人たちの多くは、日常的にトークの構成やネタをメモしていたり、話し方を録音してチェックしたりしています。つまり、彼らは“努力の天才”なのです。あなたも、1日1つだけでも“話してみたいネタ”をスマホにメモするところから始めてみてください。「昨日こんなことがあった」「最近読んだ本で面白かった一節」など、小さな気づきでかまいません。そのメモがあなたの“話の種”になり、少しずつ自信へと変わっていくはずです。誰でも最初は話せません。でも、話そうとする意志があるなら、もうその時点であなたは“話し上手になる力”を持っているのです。
この記事のライター
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