真田真由子(27) 警視庁刑事、その正体は5年前に地球に来た宇宙人のアンドロ仮面。身長175cm、股下83cm

第1章 プロローグ:謎の刑事
夜の東京湾岸は、赤と青のパトランプに照らされ、工場群の影が鋼鉄の迷宮のように浮かび上がっていた。警視庁特捜班の刑事・**真田真由子(27)**は、現場封鎖のテープをまたぎ、懐中電灯を構える。タイトなスーツの裾を翻しながら、彼女は冷徹な眼差しで周囲を見渡した。

「また奇妙な事件ですね……」
鑑識の柊が声を潜める。倉庫の床には、まるで金属を融解させたような穴が点々と広がっていた。鉄骨すら溶かすほどの高熱か、それとも未知の腐食作用か。常識では説明できない痕跡が残されている。
「人間業じゃない……」
真由子は思わず呟いた。だが、次の瞬間、はっとして口を閉ざす。危うく“素の感覚”を漏らしてしまうところだった。
彼女の耳には、同僚たちが気づかない微かな音が届いていた。
――蠢く影の音。
普通の人間には聞こえない、怪人の足音が。
「真由子、こっちを頼む!」
現場を仕切る白金係長が声を張り上げた。四十代半ばの熱血刑事で、彼女にとっては頼れる上司でもある。真由子は頷き、暗がりの奥へと歩を進めた。
倉庫の隅、闇が不自然に揺らいだ。
――来る。
次の瞬間、鋼鉄の扉が吹き飛び、異形の怪人が姿を現した。全身を黒い外殻で覆い、腕は鋭い刃に変化している。人間の言葉ではなく、低い咆哮を上げながら、警察官たちに襲いかかった。

「うわっ!」
若手刑事が突き飛ばされ、鉄骨に叩きつけられる。銃を構える間もなく、怪人の刃が迫る。
その瞬間――真由子の瞳が鋭く光った。
彼女は咄嗟に飛び込み、常人離れした反応速度で部下を抱きかかえ、刃をかわす。まるで先読みしているかのような動きに、周囲の刑事たちは息を呑んだ。
「今の……?」
誰かが呟く。しかし真由子は説明などしない。
怪人は彼女を認め、低く唸った。
「……アンドロの匂い……!」
真由子の心臓が一瞬止まる。――バレた。
5年前、地球に降り立った“異邦人”としての自分を、この存在は知っている。
「退け!」
彼女は仲間を後退させ、ひとり怪人の前に立った。内心では変身したい衝動に駆られる。だが、ここには仲間たちがいる。人間に正体を見せるわけにはいかない。
「くっ……」
真由子はギリギリの判断で、常人としての力で応戦する。拳銃を構え、的確に膝や関節を狙って撃ち込む。怪人はよろめくが、倒れない。

そのとき、怪人は嘲るように叫んだ。
「アンドロ仮面……我らの宿敵!」
上司の白金が眉をひそめる。
「何を言ってるんだ……?」
真由子は答えない。答えられない。だが心の奥で決意する。
――もう逃げられない。この星を守るために、私は戦うしかない。
夜の倉庫に、怪人の咆哮と警察の銃声が響き渡った。
そして、**真田真由子の“二重生活”**が、今まさに始まろうとしていた。
第2章 秘密の記憶
深夜二時。
真田真由子は自宅のワンルームマンションに戻り、スーツの上着を脱ぎ捨てると、そのままベッドに身を投げ出した。窓の外にはネオンの残光が揺れ、遠くでサイレンの音が響いている。

「……危なかった」
倉庫での戦闘を思い出し、彼女は深く息を吐く。人間としての限界を超えた瞬間を、同僚たちは確かに見ていた。ごまかせたとしても、疑念の種はもう蒔かれてしまっただろう。
――本当の自分を知ってしまえば、彼らはどう思うだろうか。
真由子は瞼を閉じる。脳裏に浮かぶのは、五年前の光景だった。
◇
あの日、夜空を裂くように降り注いだ流星群。東京郊外の山間に、そのひとつが墜ちた。だがそれは隕石ではなく、小型の宇宙船だった。

船体は炎に包まれながらも、内部からひとりの少女が姿を現した。地球人に似てはいるが、瞳は深い蒼色に輝き、肌は淡い光沢を帯びていた。――それが真由子の本当の姿だった。

彼女は〈アンドロ星系〉からの生き残り。母星は既に滅び、敵対する種族〈オブシディアン〉の侵略に焼き尽くされていた。最後に生き残った者たちが、救難船で宇宙へと散ったのだ。
「ここが……地球」
初めて吸い込んだ大気は重く、だが不思議な温もりを帯びていた。地球人に擬態する能力を持つ彼女は、孤独なままこの星で生きる決意を固めた。
やがて警視庁に入庁したのは偶然ではない。犯罪と向き合うことで、少しでもこの星に馴染みたい――そんな思いからだった。だが本当の理由は別にある。
〈オブシディアン〉の怪人たちが、この地球を新たな拠点に選んだのだ。
「逃げ場はもうない……」
あの戦火を再び繰り返させないために、彼女は警察官として、そして――アンドロ仮面として生きる道を選んだ。
◇
真由子はベッドの下に手を伸ばし、金属製のケースを取り出す。
中には金色に輝くベルト型の装置。中央には青いコアクリスタルが埋め込まれている。

それは〈アンドロ文明〉の遺産。彼女が唯一持ち込んだ武具であり、これを装着することで人智を超えた戦闘力を発揮できる。
「アンドロ仮面……」
小さく呟くと、胸にずしりとした重みが広がる。正義の象徴ではなく、異星人としての烙印のように感じられる瞬間もある。だが、この星を守るにはこれしかない。
不意に、通信機のように光る青いコアが反応した。
「……来ている」
窓の外、夜空に黒い影が流れた。怪人の飛行部隊――。
真由子はベルトを握りしめ、静かに立ち上がる。
彼女の二重生活は、今夜も終わりを知らない。
第3章 初戦闘:アンドロ仮面覚醒
午前零時を回った繁華街。
眠らぬ街・新宿の裏路地に、不穏な影が忍び寄っていた。深夜営業のクラブから酔客が吐き出される中、人気のないビル街に異形の怪人が姿を現す。全身を黒い外殻で覆い、口からは灼熱の煙を吐き出していた。

「ターゲット……人間のエネルギーを、吸収……」
怪人は獲物を探し、通行人に襲いかかった。悲鳴と共に人々が逃げ惑う。
その騒ぎを察知した真田真由子は、特捜班の無線を受けて現場に駆けつけていた。警察官としての顔を保ちつつ、しかし心の中では別の決意を固めていた。
「……ここで決着をつける」
彼女は人気のないビルの屋上に身を潜め、銀色のベルトを腰に装着する。コアクリスタルが青く脈動し、周囲の空気が震えた。

「変身!」
彼女の身体を蒼い光が包み込み、輪郭が揺らぎ、やがてスーツが現れる。黒と銀を基調とした強化装甲、流れるようなラインが美しい。顔には異星文明の意匠を宿した仮面が覆いかぶさり、瞳が鋭く輝いた。


――アンドロ仮面、誕生。
次の瞬間、彼女はビルから飛び降り、怪人の前に立ちはだかった。
「そこまでだ!」

怪人は驚愕の声を上げる。
「アンドロ仮面……!生き残りがまだいたか!」
「この星を荒らす者は許さない!」
声は仮面を通して響き渡り、周囲の人々には正体を隠したまま勇者の姿として映る。
怪人が咆哮し、鋭い刃を振り下ろす。アンドロ仮面は軽やかに跳躍し、壁を蹴って宙返り。背後に回り込み、鋭い回し蹴りを叩き込んだ。

「ぐああっ!」
