技術士R04【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-2 |1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|老朽開水路の機能診断と劣化状況評価
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R04_Ⅱ-2-2|過去問題
老朽化が進んだ開水路について、機能保全計画の策定に先立ち、劣化状況の把握などのための段階的な調査とその結果の評価を行う機能診断を実施することになった。この担当責任者として業務を進めるに当たり、以下の問いに答えよ。
(1)調查、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R04_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①施設の現況把握と劣化状況調査
・既存資料の収集と現地踏査による変状の記録
・詳細調査による劣化程度の定量評価
②水理機能及び構造機能の評価
・通水能力の検証と水路機能低下状況の把握
・構造安定性の照査と将来予測による緊急度判定
③補修・補強工法の比較検討
・対策工法の抽出と多角的な比較評価
・ライフサイクルコストに基づく最適工法の選定
④環境配慮及び多面的機能の評価
・多面的機能の把握と配慮事項の整理
・生態系調査と環境配慮型設計の組込み
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
1) 既存資料の収集・整理と予備調査
・資料散逸への早期対応と調査範囲の柔軟な設定
・過去画像活用とGISによる効率的な情報管理
2) 現地調査の計画立案と実施
・調査時期の適切な設定と通水状況への配慮
・先端技術活用による効率的な変状記録
3) 劣化メカニズムの分析と機能評価
・多角的な原因分析による的確な評価
・劣化予測モデルによる定量的シナリオ提示
4) 対策工法の選定と機能保全計画の策定
・ライフサイクルコストを含む総合評価
・多基準評価手法による客観的な工法比較
(3)関係者との調整方策
a) 施設管理者との調整
・事前説明による理解と協力の獲得
・中間報告会による進捗状況の共有
b) 水路利用者との調整
・営農への影響を最小化する工程調整
・地域説明会と代替水源確保による理解促進
c) 発注者との調整
・定期報告と技術的課題の速やかな協議
・技術基準との整合性確保と事業化への対応
🔶R04_Ⅱ-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①施設の現況把握と劣化状況調査
対象開水路の延長、断面形状、構造形式等の諸元を整理し、築造年次、過去の補修履歴、設計図書等の既存資料を収集する。現地踏査によりひび割れ、剥離、漏水、沈下等の変状を目視確認し、デジタル記録する。劣化程度の定量評価のため、コンクリート強度試験、中性化試験、鉄筋腐食度調査等の詳細調査を実施し、変状の発生箇所、範囲、進行度を図面に整理して可視化する。
②水理機能及び構造機能の評価
設計流量に対する通水能力を水理計算により検証し、土砂堆積や植生繁茂による断面阻害の影響を評価する。漏水量測定や地下水位観測により水路機能の低下状況を定量把握する。構造安定性については、地盤条件や外力条件を考慮した構造計算を実施し、耐震性能や耐荷力を照査する。劣化進行時の将来予測を行い、機能保全の緊急度を判定する。
③補修・補強工法の比較検討
劣化状況と機能評価結果を踏まえ、表面被覆工法、断面修復工法、更新工法等の適用可能な対策工法を抽出する。各工法について施工性、耐久性、経済性、維持管理性の観点から比較評価を行う。施工時の通水制限や営農への影響を考慮し、段階的施工の可能性を検討する。ライフサイクルコストを算定し、最適な機能保全対策選定のための技術的根拠を整理する。
④環境配慮及び多面的機能の評価
水路が有する生態系保全、景観形成、親水機能等の多面的機能を把握し、対策工法選定時の配慮事項として整理する。希少生物の生息状況や地域住民の水路利用実態を調査し、機能保全計画に環境配慮型設計の視点を組み込む。
🔶R04_Ⅱ-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
