🔷R07_Ⅲ-1|過去問題
高度経済成長期以降にその多くが整備された我が国の社会資本は、今後、建設から50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加するため、これらの施設を如何に的確かつ持続的に機能させるかが問われている。一方で、特に小規模な市区町村においては、措置すべき社会資本の施設数に対して人材や予算が不足しており、適切な補修・修繕に着手できていないことが懸念されている。そのため、これらの自治体では、インフラメンテナンスのあるべき姿として総力戦で取り組む「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(国土交通省)を推進することが求められている。
このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)小規模な市区町村において、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の計画策定及び実施に当たり、多面的な観点から、あなたの選択科目に関わる技術課題を3つ抽出し、それぞれの観点の明記とともに、その技術課題の内容を示せ。(*)
(*)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示した解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_Ⅲ-1|骨子例
1.地域インフラ群再生戦略マネジメントにおける現状分析
〇観点1:社会資本の急速な老朽化と機能維持の課題
・事後保全による維持管理コストの増大
・施設の優先順位付け不足による予算配分の非効率性
〇観点2:小規模自治体における人材・予算不足の深刻化
・技術職員の減少と管理施設数の増大
・地方財政ひっ迫による維持管理予算の限定
〇観点3:従来の個別施設管理から総合的戦略への転換必要性
・縦割り管理による重複投資と非効率性
・関係主体間の連携・協働体制の不備
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・小規模自治体の技術力・予算不足
・個別施設管理による非効率性の限界
▽解決策1:広域連携による技術力・予算の相互補完体制構築
・専門業務の広域一括発注によるスケールメリット活用
・共同維持管理システムによる施設情報一元管理
▽解決策2:デジタル技術を活用した効率的インフラマネジメントシステム導入
・AI・IoT技術による点検・診断の自動化
・BIM/CIM活用による設計から維持管理までの一貫効率化
▽解決策3:施設の重要度評価に基づく戦略的統廃合と機能転換
・将来予測に基づく施設重要度評価システム構築
・統廃合・複合化による維持管理対象施設数削減
3.波及効果、懸念事項及びその対応策
◇波及効果
・広域連携による維持管理高度化の実現
・戦略的施設再編による利便性向上と地域活性化
◇懸念事項及びその対応策1
・自治体間利害調整の困難性と意思決定複雑化
・財政力格差による負担・受益バランスの不公平感
◇懸念事項及びその対応策2
・デジタル技術導入による初期投資負担の増大
・システム陳腐化とサイバーセキュリティリスク