🔷R07_Ⅲ-1|過去問題
地球温暖化に伴う気候変動の影響により、自然災害の激甚化・頻発化などが懸念されている。気候変動対策の推進は、我が国のみならず地球規模での対応が求められる喫緊の課題となっている。
こうした状況の中、脱炭素社会の実現に向けて、我が国全体の目標設定やその実現に向けた対策の強化が進められている。道路は、我が国の経済成長を支え安全安心な暮らしを確保する重要な社会基盤である一方、国内CO2排出量の多くを占めており、脱炭素に関わる役割と責任を積極的に果たしていく必要がある。
このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた道路の脱炭素化について、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_Ⅲ-1|骨子例
1.道路脱炭素化の多面的課題
〇観点1:道路交通流最適化による燃料効率向上
・交通流非効率性による燃料消費増大
・ITS技術活用による動的交通管理システム構築
〇観点2:道路建設・維持管理における低炭素材料導入
・アスファルト・コンクリート材料製造過程でのCO2排出
・低炭素材料の品質確保と長期耐久性両立
〇観点3:再生可能エネルギー活用インフラ整備
・道路空間活用再生エネルギーシステム導入遅れ
・蓄電池システムと道路インフラ統合設計技術未成熟
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・道路建設・維持管理における低炭素材料導入
・ライフサイクル全体での脱炭素化実現
▽解決策1:再生アスファルト混合物の高度利用技術開発
・再生骨材利用率50%から80%以上への向上
・中温化技術導入によるCO2排出量15-20%削減
▽解決策2:低炭素コンクリート材料の実用化促進
・産業副産物活用によるセメント代替材利用拡大
・カーボンリサイクル技術によるCO2固定化コンクリート実用化
▽解決策3:建設機械の電動化・水素燃料化推進
・電動建設機械導入促進策策定
・水素燃料電池建設機械実証実験拡大
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
◇リスク1:材料品質低下と構造物耐久性への影響
・再生材利用によるアスファルト混合物疲労抵抗性低下
・低炭素コンクリート長期強度発現遅延リスク
◇リスク2:建設コスト増大と経済性悪化
・電動・水素燃料建設機械初期導入コスト高額化
・新技術習熟期間中の施工効率低下
◇リスク3:技術者不足と施工品質管理体制の脆弱化
・新技術対応可能技術者不足
・ICTスキル保有技術者不足によるシステム運用支障