🔷R07_Ⅲ-1|過去問題
我が国においては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が深刻であり、今後、建設から50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加していく。近年、水害・土砂災害が激甚化・頻発化している中で、人口減少と少子高齢化の進行等、大きく変化する社会構造を踏まえ、持続可能なインフラメンテナンスを適確に実施することが求められている。このような社会情勢を考慮して、河川、砂防及び海岸分野の技術者として以下の問いに答えよ。
(1)河川管理施設、砂防関係施設又は海岸保全施設の持続可能なインフラメンテナンスを実現するうえで、河川、砂防及び海岸分野に関するインフラの特性を踏まえて、多面的観点から技術課題(政策上の課題も含まれる)を3つ抽出し、観点の明記とともに、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する2つ以上の解決策を、専門技術を踏まえて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_Ⅲ-1|骨子例
1.多面的観点からの技術課題
〇技術的観点
・既存施設の劣化進行と技術基準の乖離
・点検・診断技術における目視困難箇所の状態把握
〇経済的観点
・限られた予算での効率的な維持管理手法の確立
・外部委託依存によるコスト増加と技術継承の課題
〇社会的観点
・気候変動による設計条件を超える外力の作用
・地域特性に応じた維持管理方針とハード・ソフト一体の防災対策
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・点検・診断技術の高度化
・予防保全型維持管理の基盤となる高精度な状態把握技術
▽解決策1:非破壊検査技術の導入・活用
・水中構造物への音響測深技術と水中ドローンの活用
・コンクリート構造物への電磁波レーダーと弾性波測定の導入
▽解決策2:IoTセンサーを活用した常時監視システムの構築
・重要施設への各種センサー設置による構造物挙動の常時監視
・気象データ連携アラートシステムと劣化予測モデルの構築
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
◇リスク及びその対策1:技術的信頼性の課題
・機器故障や誤作動による診断結果への影響
・従来点検との相互検証システムと機器冗長化設計
◇リスク及びその対策2:技術者不足と技術継承の困難
・高度技術導入による専門性要求の高度化
・既存技術者への研修と産学連携による人材育成体制