🔶R07_I-2｜過去問題
機械製品の設計から製造までの様々な段階において、実験式の精度、設計ツールの解析精度、数値解析の誤差、部品の加工精度、組立精度などの、ある幅をもった不確かさ又は誤差がかならず存在する。以下では、これらを総称して「精度」と呼ぶことにする。
これらの精度は相互に関係しており、最終的な製品の特性や性能を向上させるためには各段階での精度の定量的な評価と、その相互関係の評価とが必要とされる。
（１）機械部門における技術者としての立場で、機械製品を１つ想定し、最終的な製品の特性や性能を向上させるための精度にまつわる技術的な課題を多面的な観点から３つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで内容を示せ。
（２）前問（１）で抽出した課題のうち最終的な製品の特性や性能に対して最も重要と考えるものを１つ挙げ、これを最重要とした理由を他の精度との相互関係も含めて述べよ。さらにその課題に対する複数の解決策を、機械部門の専門技術用語を交えて示せ。
（３）前問（２）で示した解決策をすべて実行しても残存しうる、若しくは新たに生じうる懸念事項を示し、さらにその対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
（４）前問（１）～（３）の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_I-2｜骨子例：①医療用ロボットアーム
１．医療用ロボットアームの精度課題
〇機械製品
・外科手術支援用医療ロボットアームの概要
・高精度位置決め装置の要求仕様
〇観点１：機構設計精度の観点
・多関節機構における累積誤差とバックラッシュ
・運動学による誤差増幅メカニズム
〇観点２：制御システム精度の観点
・センサ精度とサーボ制御系の応答遅延
・制御演算遅延による軌道追従性低下
〇観点３：キャリブレーション精度の観点
・座標系変換の系統誤差
・レジストレーション誤差と不安定要因
２．最重要課題およびその解決策
▼最重要課題及びその理由
・多関節機構の累積誤差とバックラッシュ
・患者安全に直結する絶対位置精度への影響
▽解決策１：高精度減速機の採用
・ハーモニックドライブによる低バックラッシュ化
・デュアルエンコーダシステムでの制御補正
▽解決策２：誤差補償アルゴリズム
・運動学パラメータ同定による誤差検出
・機械学習による適応補償システム
▽解決策３：構造最適化設計
・トポロジー最適化による高剛性軽量化
・熱変形補償機構の組み込み
３．解決策実行に伴う懸念事項及びその対策
◇懸念事項及びその対策１：システム複雑化対策
・冗長設計によるフェールセーフ機構
・機能別モジュール化による故障特定
◇懸念事項及びその対策２：経年劣化適応性対策
・構造健全性モニタリング技術
・インテリジェントセンサによる適応制御
◇懸念事項及びその対策３：コスト増大抑制対策
・共通部品プラットフォーム化
・クラウド遠隔診断による保守省力化
４．業務遂行に必要な要件・留意点
☆技術者としての倫理の観点
・安全性最優先のリスクマネジメント
・ISO 13485準拠の品質保証体制
☆社会の持続可能性の観点
・環境負荷低減と資源有効活用
・医療格差解消への貢献
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