🔶R07_Ⅱ-2-2|過去問題
模式図に示すように沢部を埋め立てて建設された谷渡りの鉄道盛土が地震により延長20mにわたり崩壊した。鉄道盛土は約40年前に施工され、その後、約30年前に道路盛土が鉄道盛土の上部に施工された。道路盛土にはのり面に地震前には無かった亀裂・はらみ出しが認められ、ガードレールも傾斜していた。また、露出した地山からは湧水が確認された。
県道はう回路がなく、市街地に向かう唯一のルートであることから、復旧工事期間中も交通機能を維持することが必要である。鉄道の当該線区では耐震対策が進められており、復旧に当たっては現状よりも耐震性を向上させることが求められている。
今後、当該盛土の復旧と耐震性向上を効率的に進めるに当たり、調査・設計・施工の複数の段階において、土質及び基礎を専門とする技術者の立場から、下記の内容について記述せよ。
(1)被災原因を踏まえ、当該盛士の現実的な復旧構造を1つ挙げ、同構造を実現するための調査・設計・施工の段階のうち、2つ以上の段階において検討すべき事項をそれぞれ挙げて説明せよ。
(2)当該盛土の復旧業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)道路盛土の変状や機能も踏まえ、本業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

模式図
「日本技術士会」HP
🔶R07_Ⅱ-2-2|骨子例
1.地震被災盛土の復旧構造と段階別検討事項
・ジオグリッド補強土工法による復旧構造提案
・仮設道路設置と段階的施工の併用
〇当該盛土の現実的な復旧構造
・既設盛土部分の撤去・再構築による耐震性向上
・交通機能維持のための段階的施工実施
〇検討すべき事項
・調査段階から施工段階までの体系的検討
・品質管理と安全性確保の両立
2.復旧業務を進める手順、及び留意点・工夫点
▽手順1「緊急安全対策・現況調査」
・二次災害防止のための立入禁止区域設定
・ドローンやリモートセンシング技術活用
▽手順2「詳細地盤調査・設計段階」
・交通機能維持のための調査機械搬入路確保
・夜間調査実施による調査期間短縮
▽手順3「仮設道路設置・既設盛土撤去」
・撤去時振動による周辺構造物影響監視
・プレキャスト部材による仮設道路迅速設置
▽手順4「補強土盛土施工・完成検査」
・補強材敷設精度の厳格な品質管理
・ICT施工技術導入による効率化
3.関係者との調整方策
◇鉄道事業者
・代替輸送手段確保についての早期協議実施
・耐震性向上技術基準の事前合意形成
◇道路管理者
・道路盛土変状対策と交通機能維持の両立協議
・交通規制計画策定と迂回路安全性確保
◇地域住民・利用者
・工事説明会開催による丁寧な情報提供
・騒音・振動対策実施状況の定期報告
◇関係行政機関
・河川管理者への湧水処理等事前協議
・環境部局との環境影響評価合意形成