技術士R05【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-2 |1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|湛水被害リス増大への排水計画見直し
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R05_Ⅱ-2-2|過去問題
農地から河川への排水がポンプを利用して行われている農業地域において、近年、集中豪雨の頻発化や一部農地の転用等土地利用の変化に伴って湛水被害のリスクが高まっている。この地域において、基幹的な排水機場の更新を含めた排水計画の見直しを行うこととなった。この排水計画策定業務をあなたが担当責任者として進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)本地域の特性を踏まえて、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順と、その際に留意・工夫すべき点について説明せよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R05_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
a) 現況排水施設の能力評価
・既設排水機場のポンプ能力と老朽化状況
・過去の降雨データと湛水被害の分析
b) 流出特性の変化の把握
・農地転用による流出係数の変化
・気象データに基づく計画降雨の設定
c) 流域の水文・水理特性
・流域面積、地形、土地利用の基礎データ
・内水位と外水位の関係評価
d) 地域の社会経済条件と環境配慮
・保全対象資産と湛水被害損失額
・環境影響と生態系保全への配慮
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
1) 基礎データの収集と現地調査
・複数年の降雨・湛水データ収集
・ドローンやGISを活用した効率化
2) 流出解析と排水計画の策定
・実測データによる流出モデル検証
・複数降雨パターンでのリスク評価
3) 排水機場の更新計画の立案
・ライフサイクルコストの最小化
・ICT活用による遠隔監視システム
(3)関係者との調整方策
①地元農業者・土地改良区との調整
・初期段階からの説明会開催
・維持管理費負担と管理体制の協議
②河川管理者との調整
・河川への放流条件の確認
・河川改修計画との整合性確保
③地域住民・行政機関との調整
・住民説明会による合意形成
・農政部局との補助採択手続き調整
🔶R05_Ⅱ-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
a) 現況排水施設の能力評価
既設排水機場のポンプ能力、稼働状況、老朽化の程度を調査する。過去の降雨データと湛水被害の発生状況を分析し、現状の排水能力と計画排水量との乖離を把握することが必要である。これにより施設更新の緊急性と必要な能力増強の規模を定量的に評価できる。
b) 流出特性の変化の把握
農地転用による土地利用の変化を調査し、流出係数の増大や流出時間の短縮など流出特性の変化を定量的に評価する。集中豪雨の頻発化傾向を気象データから分析し、将来的な降雨強度の増加を考慮した計画降雨の設定を検討することが重要である。
c) 流域の水文・水理特性
流域面積、地形勾配、土地利用状況、河川水位等の基礎データを収集整理する。排水路網の配置状況と流下能力を調査し、ボトルネックとなる箇所を特定する。内水位と外水位の関係を調査し、河川水位が排水に及ぼす影響を評価することが求められる。
d) 地域の社会経済条件と環境配慮
保全対象となる農地面積、農業生産額、住宅地等の資産を把握し、湛水被害による損失額を算定する。地域住民や農業者へのヒアリングを実施し、過去の被害状況や要望事項を収集する。排水機場更新に伴う環境影響を調査し、生態系保全や景観への配慮事項を整理することが必要である。
🔶R04_Ⅱ-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
