🔷R07_I-1|過去問題
2023年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した我が国における15~64歳の生産年齢の人口は、2020年の国勢調査では75,088千人だったものが、2032年には出生中位推計によると70,000千人を割るものと推定されている。
一方で衛生工学部門に関係のある事業には公共性の高いものが多く、国民に公共サービスを十分に提供していく責務を有している。
今後の人材不足の中でも、特に懸念される事項は、高齢技術者から若手への技術伝承が喫緊の課題と考えられている。
以上のような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)人材不足となる中においても、特に高齢技術者から若手への技術伝承の課題について、技術者としての立場で多面的な観点から3つ以上の課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえて考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例
1.技術伝承における課題
〇観点1:技術ノウハウの可視化と体系化
・暗黙知の属人化と実践的技術の伝承困難
・感覚的技能の言語化・データ化の障壁
〇観点2:技術伝承の機会と時間の確保
・日常業務による指導時間の圧迫
・実地訓練機会の不足と世代間対話の減少
〇観点3:若手技術者の育成基盤
・技術伝承の受け手不足
・キャリアパス不明確による意欲維持の困難
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・技術ノウハウの可視化と体系化
▽解決策1:デジタル技術を活用した技術データベースの構築
・動画・AR技術による知見の視覚的記録
・IoTセンサーと熟練判断の紐付けによる暗黙知の可視化
▽解決策2:技術伝承マニュアルの段階的整備
・体系的技術マニュアルの作成
・定期見直しによる最新情報の反映体制
▽解決策3:メンター制度と技術伝承プログラムの確立
・技術顧問制度による定期対話の制度化
・技術発表会・事例検討会による世代間交流
3.リスク及びその対策
◇リスク及びその対策1:マニュアル依存による応用力の低下
・想定外事態への判断能力育成不足
・ケーススタディによる応用力養成と理論的思考力育成
◇リスク及びその対策2:情報セキュリティリスク
・運転ノウハウ流出による悪用の危険性
・アクセス権限管理と多層的防御策の構築
4.業務遂行に必要な要件
☆技術者としての倫理の観点
・正確な技術情報伝達の責務
・公共性重視と情報の客観性・透明性確保
☆社会の持続可能性の観点
・持続可能な社会基盤の次世代継承
・環境負荷低減技術の伝承と長期的視点での技術者育成