技術士R06【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-2|1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|広域整備事業における環境配慮計画
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R06_Ⅱ-2-2|過去問題
農地や農業水利施設を広域的に整備する事業計画を樹立するに当たり、生物の生息・生育環境や移動経路を保全・形成する観点から環境配慮計画を策定することとなった。この業務の担当責任者として、以下の内容について記述せよ。
(1)環境配慮計画を策定するために、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を示すとともに、留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R06_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
(1)生物の生息・生育状況調査
・重要種、希少種、外来種のリストアップと生息状況
・季節変動を考慮した複数シーズンの調査実施
(2)生態系ネットワークの連続性調査
・水系とエコロジカルコリドーの分布状況把握
・GISによる生態系の連続性と分断箇所の可視化
(3)環境配慮施設の設計条件検討
・魚道等の生物移動支援施設の構造検討
・ゾーニング計画と環境配慮型施工方法の整理
(4)地域知見の収集と合意形成
・地域住民や専門家からの在来知見の収集
・科学的調査を補完する地域情報の活用
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
〇手順1事前情報収集と調査計画立案
・既存文献と環境影響評価法の確認
・ドローンやGISによる重点調査エリアの絞込
〇手順2:現地調査の実施とデータ整理
・生物の活動時期を考慮した非破壊調査の実施
・環境DNAやセンサーカメラの先進技術導入
〇手順3:環境配慮計画の策定と評価
・回避、低減、代償の三原則に基づく影響評価
・複数代替案の多角的比較とシミュレーション
〇手順4:モニタリング計画の策定
・順応的管理手法による長期的観察体制の構築
・地域住民との参加型モニタリングの導入
(3)関係者との調整方策
①地域住民との調整
・構想段階からの参画型ワークショップ開催
・生き物観察会による維持管理への住民参加促進
②農業者・土地改良区との調整
・営農効率と環境保全の両立に関する丁寧な説明
・省力化手法と財政支援体制の提示
③行政機関との調整
・関係部署による横断的連絡会議の設置
・許認可手続きの事前協議と補助制度の活用検討
④環境専門家・研究機関との調整
・技術検討委員会による科学的知見の導入
・最新の環境配慮技術に関する情報収集
⑤NPO・環境保全団体との調整
・意見交換会による提案や懸念事項の把握
・対等なパートナーシップによる持続的保全体制
🔶R06_Ⅱ-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
1. 生物の生息・生育状況調査
対象地域における動植物相の現況把握として、環境省や都道府県指定の重要種・希少種・外来種のリストアップを行う。水田、水路、ため池等の農業水利施設における魚類、両生類、水生昆虫等の生息状況を調査するとともに、畦畔、樹林地、草地等における鳥類、哺乳類、昆虫類の生息状況を把握する。植生調査として、水辺植物、湿性植物、草本類の分布状況を記録する。調査時期は季節変動や生物のライフサイクルを考慮し、複数シーズンにわたり実施する。
2. 生態系ネットワークの連続性調査
既存の水路、河川、湖沼等の水系ネットワークの連続性を確認し、生物の移動経路として機能する樹林帯、草地帯、水辺等のエコロジカルコリドーの分布状況を把握する。水田と水路間の連続性として、落差工や堰等の生物の移動を阻害する要因を抽出する。周辺地域の自然環境や既存のビオトープとの位置関係を地図上に整理し、GISを活用した空間解析により生態系の連続性や分断箇所を可視化する。
3. 環境配慮施設の設計条件検討
魚道、小動物の脱出スロープ等の生物移動支援施設の設置箇所と構造を、対象生物種や流量条件を考慮して検討する。多自然型水路、魚巣機能を有する水田、ビオトープ等の生息・生育空間創出施設の配置計画を立案する。既存の良好な環境を保全すべきエリアを特定し、改変を回避する区域を設定するゾーニング計画を策定する。環境配慮型の施工方法として、低濁度工法の採用や重要種の活動期間を避けた工事時期の制約等を整理する。
4. 地域知見の収集と合意形成
地域住民や専門家からのヒアリングにより、在来の環境保全に関する知見を収集し、計画へ反映させるための基礎資料とする。地域が長年培ってきた生物や環境に関する情報を活用することで、科学的調査を補完するとともに、計画の実効性を高める。
🔶R06_Ⅱ-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
