技術士R03【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-2 |1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|ため池の機能診断と健全度評価
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R03_Ⅱ-2-2|過去問題
機能診断が終わった農業水利事業地区における農業用パイプラインの機能保全計画を作ることになった。この担当者として業務を進めるに当たり、以下の問いに答えよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R03_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
(1) 機能診断結果の整理と課題抽出
・劣化箇所のGISデータ整備と評価マトリクスによる優先度の定量化
・最新技術を活用した効率的な現地調査の実施
(2) 営農状況調査と用水需要予測
・ヒアリングによる現場実態の把握と気候変動影響の考慮
・スマート農業導入状況の調査と配水実績データの分析
(3) 対策工法の比較検討と概算事業費の算定
・更新と補修の技術的・経済的比較と営農への影響評価
・ライフサイクルコストの算定と路線見直しによる事業費削減
(4) 機能保全計画書の策定
・国庫補助事業の採択要件を満たす計画内容と費用対効果分析
・緊急度を考慮した年次計画と長寿命化による更新時期の平準化
(2)調査・検討における留意点と工夫点
(1) データの信頼性確保と視覚化
・機能診断データの信頼性確認と追加調査の実施
・GISによる劣化箇所の視覚的把握と区間別ランク分け
(2) 将来予測の精度向上
・気候変動による用水需要への影響考慮
・ICT活用による用水管理効率化の検討
(3)関係者との調整方策
<1> 土地改良区との調整
・検討段階からの定期協議と管理データの共有
・事業実施後の維持管理体制と営農への影響最小化方策の協議
<2> 農業者(受益者)との調整
・地区全体説明会と劣化状況のわかりやすい説明
・アンケート調査による意向把握と集落単位でのきめ細かな対応
<3> 行政機関との調整
・都道府県・市町村との連携による地域農業振興計画との整合
・国庫補助事業活用に向けた事前協議と道路・河川管理者との調整
<4> 施工業者・コンサルタントとの調整
・技術提案型入札方式とECI方式導入の検討
・定期協議による適切な施工管理の徹底
🔶R03_Ⅱ-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①施設の劣化状況と機能診断結果の分析
機能診断で明らかになった管路の腐食、継手部の漏水、弁類の作動不良等の劣化状況を詳細に把握する必要がある。管種別、埋設年次別、土質条件別に劣化の進行度合いを整理し、劣化要因を特定することが重要である。非破壊検査データや過去の補修履歴を分析し、残存耐用年数を推定するとともに、水理計算により流量配分や圧力分布を検証し、通水機能の健全性を評価する。
②営農状況と用水需要の変化
地区内の作付体系、栽培品目、作付面積の変遷を調査し、将来の営農計画を把握する必要がある。農業者の高齢化や担い手への農地集積状況を確認し、用水需要量の変動を予測する。省力化や高収益作物への転換等、営農形態の変化に伴う必要水量や送水時期の変更を検討し、地域の農業振興計画や圃場整備計画との整合性を確認する。
③更新・補修の優先順位設定
劣化度、重要度、影響範囲を基準として施設の更新・補修の優先順位を設定する必要がある。全面更新、部分更新、補修・補強等の対策工法を比較検討し、費用対効果を分析する。施設のダウンサイジングや統廃合の可能性を検討し、ライフサイクルコストの最小化を図る。
④事業費と財源確保の検討
事業実施期間中の営農への影響を最小限とする段階的整備計画を立案する。国庫補助事業の活用や地元負担金の調整等、財源確保の方策を検討し、世代間公平性に配慮した負担方式を設定する。
🔶R03_Ⅱ-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
