🔷R07_I-1|過去問題
異常気象をはじめとした気候変動への対策が世界的に強く求められる中で、製造企業や物流企業では、地球環境への配慮と企業の持続的成長の両立が喫緊の問題となっている。あなたが、この課題に取り組む担当技術者であるとして、以下の問いに答えよ。
(1)製造企業若しくは物流企業の立場を明記したうえで、近年発生している具体的な課題を2つ挙げて、存在する二律背反の内容と問題解決の困難さを技術的な観点から説明せよ。取り上げる課題は、自身の業務内で発生している課題、社会的に発生している課題のいずれでも構わない。
(2)前問(1)で示した課題の中から1つを取り上げて、その課題に対する解決策を、製品製造や物流に関する固有技術と、経営工学を中心にした管理技術とを組み合わせた形で提示せよ。
(3)前問(2)で示した解決策を実行したことによって発生が懸念される新たなリスクを説明せよ。
(4)前問(2)で示した課題に取り組む技術者に求められる要件を、社会的倫理や果たすべき義務・責務の観点から説明せよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例:①製造企業
1.気候変動対策における課題
〇立場
・製造企業の生産管理担当技術者
〇課題1:生産工程の省エネルギー化と生産能力維持の両立
・脱炭素要求による生産設備の消費電力削減の急務性
・省エネルギー設備導入に伴う技術的困難さ
〇課題2:サプライチェーンの環境負荷削減と調達コスト抑制の両立
・CO2排出量削減要求による環境配慮型材料採用の必要性
・LCA評価とTCO分析統合の技術的困難性
2.最重要課題およびその解決策
▼取り上げる課題
・生産工程の省エネルギー化と生産能力維持の両立
・製造業の競争力維持と環境責任履行の直結性
▽解決策1:IoT活用による生産設備最適制御システム導入
・エッジコンピューティングによるリアルタイムデータ処理
・多変量解析による生産計画最適化
▽解決策2:予知保全システムによる設備効率最大化
・振動解析・熱画像診断による異常早期検知
・故障リスク予測モデルによる最適保全タイミング決定
▽解決策3:生産ライン統合制御による全体最適化
・MESとPLC連携による統合制御構築
・需要変動対応リアルタイム生産計画調整
3.発生が懸念される新たなリスク
①システム依存度増大による生産停止リスク
・IoT・AI活用高度システムのダウン・サイバー攻撃リスク
・熟練技術者の手動制御技能喪失
②予知保全システムの誤判定による経済損失
・センサーデータ誤解釈やAIモデル精度不足
・故障見逃しリスクと過剰保全コスト増加の二律背反
③統合制御システム運用複雑化による品質リスク
・異システム間データ連携不十分によるデータ整合性喪失
・リアルタイム制御による品質問題早期発見の困難化
4.課題に取り組む技術者に求められる要件
☆技術者の責務と倫理観
・地球環境保全への貢献という高い社会的倫理観
・持続可能社会実現を最優先とする責務
☆専門的責務と配慮事項
・IoT・AI・データ分析等の最新技術継続学習
・自動化・効率化推進が従業員に与える影響への配慮