登場人物
- 水野真由美(30):特命班所属の刑事。黒のビキニで潜入中。鋭い観察力と格闘術の達人。170cm/66kg/B94W63H105/太もも周り66cm/股下72cm、今日も太くて短い足を懸命に振り上げる
- 羽鳥瑠依(28):同じ特命班の仲間。機転の利くサポート役。
- 鳴海ジョージ(35):南国リゾートのオーナー。正体は密輸組織のボス。
- “サメ”の異名を持つ刺客(??):真由美を狙う冷酷な格闘家。
第1章:潜入!黒ビキニの処女刑事
――午前10時45分/南海諸島・アルベリオ島/リゾートフロント前
白い砂浜、透き通ったエメラルドグリーンの海。カモメの鳴き声と心地よい潮風が、常夏の楽園の空気を演出している。その島の中心に位置する、国際的に有名な五つ星リゾート『パラディソ・リベルタ』。今日も世界中の富豪やセレブ、政治家たちが招かれていた。
だが――
その受付カウンターに、ひときわ存在感のある女性が現れた。
黒のトライアングルビキニに身を包み、ボリュームのある脚。引き締まりながらも女性らしい丸みを帯びたヒップライン。鍛えられた腹部と豊かな胸元を隠すのは、最小限の布地。濡れたような艶のある黒髪を肩口で揺らしながら、その女は歩いてきた。
水野真由美(30)――警視庁・特命班所属の刑事。

(……“表の顔”だけじゃ、ここの闇には触れられない)真由美は胸元のネックレス型マイクに手を当て、微かに呟いた。
「水野真由美、潜入開始。ターゲット施設、到着済み」
インカム越しに女性の声が返る。
「了解。リモートサポートは私が担当する。羽鳥瑠依。よろしく」
「ええ。通信は30分ごとに更新。万が一接触を断たれた場合は、プロトコル“セントレアD”で」
「……了解」
真由美はカウンターに笑顔を向けた。
「予約していた“マユ・クロサワ”です。オーシャンビューのスイートで」
受付の女性が即座に対応し、ルームキーとウェルカムドリンクを手渡す。
「ようこそ、マユ様。本日は島でのプライベートパーティも予定されております。ぜひご参加くださいませ」
「もちろん。楽しみにしてるわ」
にこりと微笑み、ドリンクを一口――だが視線は、フロントの奥に設置された“防犯モニター”に釘付けだった。
(カメラの数、想定以上。主要通路に配置された“赤外線スキャナ”、それに……)
真由美は右手の指輪を軽く撫でる。内蔵カメラがすでにモニターの映像を転送し、羽鳥の端末にデータを送っていた。
「真由美、監視体制の多さが異常よ。一般リゾートじゃない。やっぱりこの施設、何か隠してるわ」
「ええ。まるで“収容施設”のようね」
真由美は背筋を伸ばし、スーツケースを引いてロビーを後にした。ヒールが大理石の床を静かに叩き、その背中に男たちの視線が注がれていることを、彼女は知っていた。
――午後12時10分/宿泊スイート・オーシャンビュー
部屋に入り、カーテンを開けると目前に広がるのは、美しい海と白い砂浜。だが真由美の視線は、遠くに浮かぶ水上ラウンジへと向いていた。
(“連続失踪事件”の共通点は、全てこのラウンジの夜だった)
女性宿泊者が突如消える。水死体として翌日沖合で発見されるか、もしくは――そのまま消息を絶つ。それが3ヶ月の間に5件も発生していた。
そして、今朝。6件目の被害者が出た。20代後半の日本人女性。前夜、ビキニ姿で“水上ラウンジ”のパーティに参加し、その後部屋へ戻らず行方不明。その記録映像を羽鳥が送信していた。
「真由美。今回の被害者、山野かすみ。旅行会社の事務員で、特にVIPではない。どうやってここに?」
「招待者リストを洗って。“一般客”として来た人間のうち、何らかの引っ掛かりがあるはず」
彼女はタブレット端末を操作しながら、鏡の前で再び黒のビキニを調整する。太ももまでのストラップガンベルトに、極小のナイフと追跡タグが忍ばせてあった。
(私はただの女じゃない。殺される側には、ならない)
そう呟いた真由美の表情に、笑みはなかった。
――午後1時/プライベートビーチ・レストラングリル前
真由美はサングラスをかけ、黒ビキニのままサラダとエビのグリルを食べていた。その傍らに近づいてきたのは――
「あなた、もしかして……モデルさん?」
軽く日に焼けた外国人男性が話しかけてくる。
真由美は微笑んだ。
「いえ、ただのOLよ。でも……そう言ってくれて光栄だわ」
男は名刺を差し出した。
「ジョージ・ナルミ。ここのオーナーだよ。もしよかったら、今夜の“パーティ”に来ないかい?VIP専用のね」
真由美の中で警告音が鳴る。“ジョージ・ナルミ”――噂では、麻薬密輸と人身取引の黒幕だとされる人物。
「興味あるわ。でも一人じゃ不安ね。護衛が必要かしら?」
「はは、必要ないよ。俺がずっと隣にいる」
(こいつで間違いない。次のターゲットは、私)
真由美はグラスを持ち、ジョージと乾杯した。
黒のビキニが、陽光に濡れて煌めく――だが彼女の心には、すでに“決戦の夜”の計算式が立ち始めていた。
第2章:消えた花嫁、黒い水面
――午後3時25分/アルベリオ島・サンセットウエディングチャペル
真由美は、黒のビキニの上にシースルーのガウンを羽織ったまま、島の北端にあるチャペルを訪れていた。そこは、このリゾートで最も人気のある“結婚式スポット”――だが、昨日その場で挙式予定だったカップルの新婦だけが、式直前に忽然と消えたのだ。
「ご見学ですか?」
声をかけてきたのは、チャペルのスタッフ。だがその視線には不自然な動揺がある。真由美は笑顔で応じる。
「ええ。実は来月ここで挙げるかもしれなくて」
「それは素敵ですね。最近人気があって、少々予約が混み合っておりますが……」
「昨日も挙式があったんでしょう?」
スタッフの顔が、ピクリと強張った。
「……はい。ですが、ちょっとしたトラブルで中止となりまして。今はご案内できる状態では――」
その言葉を遮るように、真由美は歩き出し、祭壇近くのバルコニーへと向かう。風がガウンをなびかせ、黒のビキニ姿が再び露わになる。
(式の直前、花嫁は“ドレス姿”のまま消えた。部屋にも戻らず、足取りも不明)
バルコニーの手すりには、まだ白いバラの花びらがいくつか残っていた。手すりの下――岩場と海が広がるそのポイントは、潮の流れが強く、もし転落すれば即座に沖へ流されてしまう。
「ここから落ちた、とでも?」
真由美は手すりの支柱を見つめ、微かな擦過痕と繊維の付着を確認した。
(押された跡……いや、揉み合った?)
そのとき、彼女のインカムに羽鳥からの通信が入る。
「真由美、先ほどの“消えた花嫁”――式前の控室のカメラ映像が届いたわ。数分間、映像が飛んでる」
「カメラの死角、または“意図的なノイズ”……消された時間が犯行タイミングね」
「しかもその後、記録上は彼女が“チェックアウトしたことになってる”」
「……偽装された退去記録、か」
真由美はチャペルの柱の裏に、小型の監視カメラを見つけた。だが赤ランプは点いておらず、すでに“オフライン”になっていた。
(この施設全体が、何者かの“手”で動いている)
彼女は再びバルコニーから海を見下ろす。海面は、穏やかに光を反射していたが、その下には深い暗黒が広がっていた。
――午後5時00分/ビーチ沿い・レセプションバー
陽が傾き始め、空がオレンジ色に染まり始めていた。真由美はバーで軽くカクテルグラスを傾けながら、隣の席で談笑する外国人観光客の会話に耳を傾けていた。
「……聞いたか?昨日の花嫁の話」
「また女が消えたのか。なんなんだ、この島は。呪われてるのか?」
「いや、もっと現実的な話を聞いた。あの“水上クラブ”で夜な夜な開かれる、裏のオークションの話……」
真由美の耳が、鋭く動く。
(裏のオークション……やはり“商品”は――)
そこへ、不意に別の女性客が声をかけてきた。
「あなたも招待されたの? あのVIPパーティ……黒のカードが届いてるってことよね?」
「ええ、まあ……」
女性が真由美に見せたのは、黒のエンボスカード。同様のものが、真由美の部屋のポストにも投函されていた。
「私は昨日断ったの。怖くて。前に参加した友人が……戻ってきたあと、なんだか別人みたいになってたの」
「別人?」
「笑顔が無理やり貼りついたみたいで。喋ってる内容も、まるで“録音された台詞”みたいで……」
真由美の中に警鐘が鳴る。
(何か“操作”されている? 薬か、洗脳か――)
彼女は再び、視線を海へ向けた。
そのとき――
海上、約200m先の浮遊デッキに、一瞬だけ赤い光が点滅した。
「羽鳥、今の見た?」
「確認中。……通信妨害が入りかけた。座標は、例の水上ラウンジ近辺」
「今夜、そこに“潜入”する」
――午後6時45分/真由美のスイートルーム
鏡の前で真由美は再び、黒のビキニを締め直していた。だがその目は、どこまでも冷静だった。
(消えた花嫁。消えた女性たち。そして、私に届いた黒い招待状)
ビキニの下に薄型のトレーサー、脚には改造型の小型キックナイフ。「黒ビキニ」はただの水着ではない。戦闘用潜入装備に他ならなかった。
「ターゲットが“私を狙っている”なら、それは好都合。こちらから仕掛ける」
黒いヒールを履き、彼女は立ち上がる。
バルコニーの外には、夕陽を映す真紅の海。
“黒い水面”が、今夜すべてを呑み込もうとしていた――
第3章:波打ち際の接触
7時50分/アルベリオ島・プライベートビーチ
月が静かに昇り始め、空は深い藍に染まりつつあった。リゾート全体が柔らかな照明に包まれ、海辺には幻想的な光が揺れている。
だがその美しさとは裏腹に、空気には一種の“ざわめき”が漂っていた。
波音、そして音楽。すでにVIP用の“ナイト・パーティ”が水上クラブで始まり、セレブ客が小型ボートで移動していく。
その光景を、砂浜から見送る女がひとり。黒ビキニにロングガウン、黒いハイヒール――
水野真由美(30)。
だが今夜の真由美の瞳は、昼間の微笑みとは別人のように鋭い。潮風にガウンが舞い、引き締まった腰と太ももが月光に照らされる。
インカムが静かに囁いた。
「真由美、鳴海ジョージが動いたわ。さっき小型クルーザーで“クラブ裏側のドック”に向かった」
「本命ルート、ね。正面は“客用”。奴らの本拠地は裏にある」
真由美は、脚に仕込んだ小型の防水トラッカーを再確認しながら、静かに波打ち際を歩き始めた。
――午後8時05分/ビーチ南端・監視の死角エリア
島の南側、通常の客が立ち入れないエリア。岩とジャングルに挟まれたその場所に、真由美は辿り着いた。
そのとき――
「そこまでだ」
暗闇から、黒いシャツを着た男たちが三人、音もなく現れた。ヘッドセットに短剣、明らかに“ただのリゾートスタッフ”ではない。
真由美は、立ち止まったまま言った。
「……ご招待、じゃなかったの?」
「お前の身元は確認済みだ。警視庁・水野真由美。残念だったな。ここまでだ」
「だったら遠慮なく行かせてもらうわ。……身体でね」
次の瞬間――
真由美が地を蹴った。
回転しながらの右ハイキックが、1人目の顔面を直撃!月光の下、真由美の脚が美しく弧を描き、男のサングラスを吹き飛ばす。

「グッ……!」