

女性刑事・南原めぐみは、国際的な人身売買組織への囮捜査中に拉致される。目覚めた場所は、絶海の孤島に築かれた監禁施設――通称「P-07実験区画」。通信手段は封鎖、周囲には猛者ぞろいの男たちと高性能監視カメラ。脱出すれば死、従えば心が壊される。極限の肉体と知性の戦いのなかで、めぐみは仲間の刑事たちと合流し、“生きて帰る”ための反撃を開始する!
🎭登場人物(抜粋)
- 南原めぐみ(26):特捜班所属。高い戦闘能力と精神力を持つ。今回の主人公。
- 安原真美(28):格闘系のベテラン刑事。島の別区画に囚われていた。
- 安藤瞳(28):知能派の捜査官。無人島の構造を分析し脱出計画を担う。
- 中原綾(25):情報解析官。敵のネットワークから遠隔支援。
- リード(38):元軍人の傭兵。島の警備主任。格闘のプロ。
- マクス(45):脱走不可能を誇る管理者。違法実験に関与。
- その他:島に配置された複数の元犯罪者や改造傭兵たち(全員男性)
第1章:【拉致された女刑事――目覚めた地獄】
【Scene1:拉致】
薄暗い倉庫の中。南原めぐみは、違法人身売買組織の潜入捜査中だった。

地元の売春ルートに入り込み、半月。女としての尊厳を守りながら、組織の幹部・クライブに近づく計画だった。
その夜、取引が行われるという情報が入った。密輸コンテナが港に運ばれ、若い女性たちが“出荷”される。
めぐみ(心の声)「今夜が山場……ここで幹部を押さえれば――」
だが、めぐみがコンテナの奥へ踏み込んだ瞬間、背後から何かが押し寄せた。
「――しまっ――!」
鼻を突く薬品の匂い。視界が揺れ、足元が崩れる。暗闇に落ちていく意識の中、誰かが呟いた。

「こいつは……使えるな。あの島行きだ」
【Scene2:目覚め】
ジリ……ジリ……金属が軋む音。どこかでサイレンのような警報音が鳴っている。
めぐみが目を覚ましたとき、彼女は鉄製のベッドに手錠で固定されていた。服装はそのまま――白のミニスカ制服。だが、ポケットの通信機もバッジも剥ぎ取られている。

薄暗い部屋。むき出しのコンクリート壁。カメラ、排気口、そして天井には鉄格子。
めぐみ「……ここ、どこ……?」
耳元のスピーカーが作動する。
「ようこそ、観察区画P-07へ」「あなたは現在、【人間再構成プログラム】に参加中です」「脱出は不可能。従わぬ者には制裁を」
電流が手錠に走り、めぐみの身体が一瞬跳ねる。
めぐみ「ッ……! ふざけるな……ここは監獄か……?」
だが、看守の姿はない。カメラだけが、じっとこちらを見つめていた。
【Scene3:観察される女】
鉄格子の小窓から、外を覗く。
そこには、広大な熱帯植物に覆われた森、そして崖下に波打つ海――“孤島”。
めぐみ(心の声)「……島? 本当に……こんな場所が実在するの……?」
部屋の端に、1枚の紙が差し込まれる。
【本日午後、オリエンテーションに参加せよ】【反抗者は“除外”されます】
その下には、**“過去の除外対象者の写真”**が印刷されていた。裸足で吊るされ、首元には数字。目には光がない。
めぐみは、奥歯を噛みしめた。
「……やってやろうじゃない。私を“商品”にできると思ったら大間違いよ」
【Scene4:男たちの視線】
午後。“オリエンテーション”と称された集会が行われる広場に、めぐみは連れてこられた。
そこには、20人以上の男たち。軍人、犯罪者、傭兵のような者まで――全員が“何かの理由で”島に来た者たち。
そして、彼らの視線が一斉にめぐみに集まる。

「あいつ……女か?」「どう見ても囮捜査だな」「でも、もう戻れねえよ」
中央のモニターに、仮面をつけた人物の映像が映し出される。
「新入りの紹介だ。特捜刑事、南原めぐみ。奴は我々の“新たな観察対象”となる。好きに扱えとは言わない。だが――行動は常に監視されている。彼女の運命は、君たちの手にかかっている」
めぐみ「……全部、見られてるってわけか……なら、“私のやり方”で見せてあげる」
【Scene5:反逆の開始】
部屋に戻されためぐみは、壁の配線に目をやる。天井の配管、通気口、ベッドのフレーム。使えるものを瞬時に頭の中で組み立てていく。
「手錠のピン……折れたヘアピンでいける。あとは、抜け出して地図と監視網の確認……」
そのとき、扉が開く。
入ってきたのは、複数の男。そのうちの一人が言った。
「おい、夜のお相手を頼まれたんでな。お嬢さん、悪く思うなよ」
だがその瞬間――
「悪く思うのは、そっちだって――!」
めぐみの両脚が跳ね上がり、ハイキックが顔面に炸裂!

男が吹き飛び、壁に叩きつけられる。
残る2人が襲い掛かるが、めぐみは壁を蹴って宙返り、肩に乗って反転落下――ひとりを床に沈める!
「ミニスカ刑事を甘く見たわね!」
銃はない。通信もできない。味方もいない。
けれど――
めぐみ「この脚と、この意志がある限り……私は、絶対に負けない」
【Scene6:遠くの檻から、微かな声】
夜。
監房の鉄格子越しに、誰かの声が聞こえる。
「……ミニスカの子……南原めぐみ、ね……?あんた、強いんだって? だったら……“わたし”を、ここから出して……」
その声に、めぐみは顔を上げる。
壁の向こう、檻の中にいたのは――かつての仲間、安原真美だった。
「真美……? 嘘でしょ……あなたもここに……?」
第1章・完
→ 次章:【第2章:男たちの罠と最初の戦い】へ続きます。
【第2章:男たちの罠と最初の戦い】
【Scene1:檻越しの再会】
「……真美……?」めぐみの声が震える。鉄格子の向こうに、かつての戦友の姿があった。
無機質な監房の奥、赤い囚人服を着せられた女が壁にもたれかかっていた。髪は乱れ、頬はやつれ、だがその瞳はまだ強く光を放っている。

「久しぶりだな、めぐみ……」声はかすれていたが、確かに――安原真美だった。
真美「こっちに来て何日目だ?」
めぐみ「……今朝、目が覚めたばかり。囮捜査中に拉致された。あなたも?」
真美「ああ。3週間前。情報収集に動いてたら、裏をかかれて……。気がついたらここだった」
めぐみ「島の全貌は?」
真美「広い。全体で8ブロックに分かれてる。私の区画には10人以上の男がいた。あんたのとこも似たようなもんだろ」
めぐみ「連絡手段は?」
真美「一切遮断。電波もジャミングされてる。無線も使えない。監視は全部AIカメラだ」
めぐみ「脱出は?」
真美「不可能――って言いたいところだけど、あたしは諦めてない」
その目が、鋭く光った。
【Scene2:夕刻の訓練広場】
オリエンテーションの翌日。めぐみは再び“選ばれた者”として広場に連行される。
そこには十数人の男たちがいた。全員が受刑者か脱走兵のような風貌。その中央で指導に立つのが、リード――この島の警備主任。元軍人。
リード「今日から“順応訓練”を始める。ここでは強さだけがルールだ。抵抗は処分、協調も処分。役立つ者だけが生き残る」
並ぶ男たちの目が、再びめぐみを舐めるように見る。
「女ひとりで生き残れるかよ」「いい具合に壊してやればいいんだ」
リードが指さす。
「そこのお前――女刑事。お前の実力、見せてもらおうか」「対戦相手は……デュークだ」
現れたのは、200cmを超える筋骨隆々の男。丸太のような腕。その顔に刻まれた無数の傷が、彼の過去を物語っていた。
【Scene3:最初の戦い】
円形訓練場。男たちが周囲を囲む中、めぐみとデュークが対峙する。
リード「武器なし、制限時間なし。どちらかが倒れるまで。なお、止めを刺したらボーナスだ。さあ、始めろ」
男がニタつきながら歩み寄る。
デューク「ずいぶんと可愛いお姫様だな。どうせすぐ泣くんだろ?」
めぐみは構えた。重心を落とし、脚に力を込める。
「……口の軽い奴ほど、最初に沈む」
デュークが殴りかかる。拳は質量の塊のように唸りを上げて迫る――
だが、めぐみはその腕を読んでいた。スウェイでかわし、肘をすり抜けて、体勢を入れ替える!
「……甘い!」
回転しながらの後ろ回し蹴り――**ズドン!**と鈍い音を立てて、男のこめかみに命中!

ふらつくデューク。だがその体格と耐久力は尋常でない。再び突進してくる。
今度はタックル。めぐみは体ごと掴まれ、地面に叩きつけられる!
めぐみ「ぐっ……!」
歓声と罵声が飛ぶ。だが――めぐみは笑っていた。
「……お楽しみは、これからよ」
懐に潜り込んで、太ももで相手の首を挟み込む“スリーパー・クラッチ”!そのまま回転し、後頭部から地面に叩き落す!
デューク「ガハッ……!」
静まり返る訓練場。
デュークの巨体が微動だにしない。
リードがゆっくりと拍手をした。
「――面白い」
【Scene4:無言の通告】
訓練後、めぐみの部屋に小さな紙切れが投げ込まれた。
【次は、あなたが“壊される”番】
裏には、今朝見た“吊るされた女”のモノクロ写真が添えられていた。
めぐみ(心の声)「この島では、力を示せば、狙われる――……それでも、負けは選ばない。私は“誰かの犠牲”になりに来たんじゃない。正義を奪われないために来たんだ」
その夜、眠れぬまま天井を見上げながら、めぐみはある決意を胸に固めた。
【Scene5:真美との再接触】
その深夜。鉄格子越しに、ふたたび囁き声がした。
真美「聞いたぜ。お前、やってくれたらしいな。あのデュークを倒すなんて」
めぐみ「こっちはこっちで、“宣戦布告”されちゃったけどね」
真美「上等じゃないか。そろそろ始めようぜ――“脱出の準備”を」
静かな闇の中。島のどこかで、監視カメラが“ピッ”と起動音を鳴らしていた。
第2章・完
→ 次章:【第3章:武器なき抵抗と仲間の痕跡】へ続きます。
【第3章:武器なき抵抗と仲間の痕跡】
【Scene1:情報封鎖の島】
翌朝。めぐみは食料配給と称された時間に呼び出される。
コンクリート造りの簡易食堂。男たちの目が集まる中、めぐみは孤立無援の席へと導かれた。
「昨日のデュークの件、全員見てたぜ」「おまえ、ただの女じゃねぇな」
周囲は笑っていたが、その瞳は獲物を狙う捕食者のように光っていた。
めぐみ(心の声)「全員が敵。けど、それなら――動くのは“今”しかない」
彼女は周囲を冷静に観察していた。
・監視カメラの死角・食堂への通路構造・食器の素材(ナイフの先端、折れば鋭利)・トレイ裏の刻印「Unit03:西エリア供給倉庫」
めぐみ(心の声)「供給ルートが分かれば、そこから“武器”を……いや、“仲間の痕跡”を辿れる」
そのとき、背後からこっそりと紙が滑り込まされた。
【東ブロック 倉庫区画に“例の痕跡”あり】
書いたのは誰か?だが、この島にまだ“戦える者”がいるとするなら――めぐみにとって、それは希望だった。
【Scene2:東ブロック侵入】
夜。
めぐみは独房の通気口を利用し、東ブロックへと侵入する。
高くそびえる柵、無人の鉄扉、そして一基の壊れた警備ドローン。その奥、倉庫の壁には何かが刻まれていた。
【N.D.S.P / 2024.05】【AN - HT - YM】
めぐみ「このイニシャル……“南原”“瞳”“真美”……!?」
さらに、床板をめくるとそこには――
・手製のナイフ・壊れた通信端末・防弾素材のベスト・そして、ミニスカ制服の切れ端
それは確かに、あの時囮として送り込んだメンバーたちの遺留品だった。
めぐみ「3人とも、ここにいた……生きてた。いや、もしかしたら今も……!」
だがその瞬間、背後に気配。
「そこまでだ、ミニスカ刑事」
暗がりから現れたのは、リードと2人の武装男。
【Scene3:拘束】
リード「勝手な移動、監視区域の侵入、規則違反三件。これは――“再教育案件”だな」
めぐみは拳を握りしめた。
めぐみ「それで? 地下の“処理室”送りかしら」
リード「違う。君には……“実験区画”に参加してもらう」
次に彼女が目を覚ましたとき、場所は変わっていた。
【Scene4:実験区画P-06】
P-06。島のさらに奥深く。かつて研究施設だった地下構造を再利用した“適応テストエリア”。
めぐみは床に転がされていた。周囲にはほこりまみれの機器、壊れたストレッチャー、そして――処置痕のある“拘束椅子”。
その時、薄暗いモニターにメッセージが浮かぶ。
【ミニスカ刑事・南原めぐみ――生体強度テスト開始】
天井から照明が灯り、同時に天井裏から重い音が響いた。
現れたのは、人型兵士――改造人間“セクター07号”。
・両腕が義肢で、先端に鋭利な鉤爪・瞳孔のない義眼・防弾チタンの胸部プロテクター・“人間性”のかけらもない機械の動き
めぐみ「まさか……“実験体”にされるつもり!?」
AI音声が鳴る。
【あなたの抵抗を測定し、次の実験データとします】
【Scene5:反撃開始】
だがめぐみは、歯を食いしばって笑った。
「この服を着てる限り――黙ってやられるなんて、ありえないのよッ!」
襲い掛かってくるセクター07号の鉤爪をスウェイで回避!床に落ちていた器具の金属フレームを脚で蹴り上げ、センサー部にぶつける!
セクターがバランスを崩した隙に、めぐみは金属支柱を利用し、空中回転蹴りを叩き込む!

バゴォォォッ!
ノイズを発し、倒れる兵士。だが完全停止はしていない。再起動までの時間を逆算し、めぐみは扉へ走る!
「このままじゃ終わらない……必ず戻って、仲間を連れ出す――!」
【Scene6:通信の兆し】
その頃――
島の外、遠く離れた拠点で。
情報分析官・中原綾の端末に、わずかな“電波の揺らぎ”が感知されていた。

綾「これは……誰かが、施設内部から“ローカルアクセス”を開いた……?」