複数店舗の売上メモ、急な増減に気づけていますか?AIチャットで異常値だけ教えてもらう方法
AI実用ラボ│Ai活用で入社3年役付社員
1. この記事で作るもの:急に増えた店舗・急に減った店舗だけの確認メモ
まず完成例です(店名・売上・比率はすべて架空です)。
前週の火曜と今週の火曜を比べ、基準を例として±20%としたときの確認メモです。
増減率は「(今週−前週)÷前週」で計算します。
| 店名 | 前週の火曜 | 今週の火曜 | 前週同日比 | 確認メモ |
| A店 | 82,000円 | 85,000円 | +3.7% | ー |
| B店 | 91,000円 | 58,000円 | -36.3% | 急減。原因候補を確認 |
| C店 | 64,000円 | 97,000円 | +51.6% | 急増。原因候補を確認 |
基準±20%を超えたのはB店とC店だけです。
A店は+3.7%なので、今回は確認メモを残さない、という形で「急な変化があった店舗だけ」に目を向けられます。
複数店舗の日次売上を表やメモで管理していると、毎日全店舗の数字を並べて見比べる余裕はなかなかありません。
気づいたら数日後、B店の落ち込みやC店の急増を後から見つける、ということが起きます。
そこで使うのが、ChatGPTやClaudeなどのAIチャットです。
売上の表をコピーして貼り、「前週の同じ曜日と比べて20%以上変わった店舗だけ教えて」と頼めば、見るべき候補を絞れます。
比較の考え方として、Squareヘルプの「レストランの日次売上を確認する」では、日次売上の確認で前週同日比(WoW)や前年同日比(YoY)を見られると説明されています。
この記事では、まず前週の同じ曜日と比べます。
曜日をそろえると、平日と週末の違いによる変動を避けながら変化を確認しやすくなるためです。
必要に応じて前年同日比も使えますが、最初は前週同日比だけで十分です。
この記事で扱うのは、手元の日次売上をAIチャットに貼り、急増・急減した店舗だけを挙げてもらい、元の表で検算して確認メモを完成させるところまでです。
売上予測、POS・BIツールの導入、自動アラートの設定は扱いません。
追加の有料契約は不要で、ChatGPTまたはClaudeの無料版アカウントと、コピーできる売上表があれば始められます。
コードや関数を書く必要もありません。

2. 準備:必要なものと、AIに貼る前の売上表の整え方
用意するものは3つだけです。
ChatGPTまたはClaudeの無料版アカウント、コピーできる売上の表、そして比べる曜日を決めるメモです。
表はスプレッドシートでも、手書きのメモを書き写したものでも構いません。
追加費用や契約、コード、関数は必要ありません。
貼る前に、表を次の4列にそろえます。
ここで使う店名と数字はすべて架空の例です。
| 店名 | 前週の火曜 | 今週の火曜 | メモ |
| A店 | 82,000 | 85,000 | |
| B店 | 91,000 | 58,000 | |
| C店 | 64,000 | 97,000 |
整えるときのポイントは4つあります。
- 店名はA店・B店のように置き換え、従業員名やお客様の情報は表に入れません。
- 税込と税抜を混ぜません。Squareヘルプは売上を総売上高や純売上高などに分けて説明し、純売上高を「総売上高より正確にパフォーマンスを示す指標」と記載しています。どれを使うかは自店で決め、全店舗・両週で同じ基準にそろえてください。
- 比べる日は「前週の同じ曜日」にそろえます。火曜なら前週の火曜と今週の火曜です。曜日が違うと、平日と週末の差が混ざって増減が読みにくくなるためです。
- 休業日、臨時イベント、値引きがあった日は、メモ欄に一言書きます。AIは表にない事情を知らないので、書いておくと確認メモを作るときに役立ちます。
- スプレッドシートの表は、範囲を選んでコピーし、そのままチャット欄に貼れます。手書きのメモは「店名|前週の火曜|今週の火曜|メモ」の形で書き写してから貼ります。
- 貼った内容の扱いは、利用するサービスの設定や利用規約で決まっています。確認したうえで、社外に出したくない数字は貼らないでください。
3. 手順①:AIチャットに貼って、増減が大きい店舗だけ挙げてもらう質問文
AIチャットを開き、次の質問文に、準備した表を続けて貼ります。
次の表は、複数店舗の売上(円)です。前週の火曜と今週の火曜を比べて、
店舗ごとの増減率を計算してください。
増減率は(今週−前週)÷前週です。
増減が±20%を超えた店舗だけを挙げてください。
計算式と、使った2つの数字も書いてください。
貼った表にない数字や店舗は使わないでください。
原因は断定せず、確認すべき点の候補として出してください。
店名|前週の火曜|今週の火曜|メモ
A店|82,000|85,000|
B店|91,000|58,000|
C店|64,000|97,000|
質問文には、役割の違う4つの指示が入っています。
「計算式と使った数字も書いて」は、次の章で検算するための材料です。
「貼った表にない数字は使わない」は、AIが数字を足すのを防ぎます。
「原因は断定しない」は、AIの推測を事実のように受け取らないための指示です。
回答の例(架空)は次のような形です。
| 店名 | 前週の火曜 | 今週の火曜 | 増減率 |
| B店 | 91,000円 | 58,000円 | -36.3% |
| C店 | 64,000円 | 97,000円 | +51.6% |
A店は+3.7%で基準内のため挙がりません。
±20%という基準は、この記事の説明用に置いた例です。
この記事で参照した資料には、基準にできる数値の記載がありません。
自店の普段の振れ幅(たとえば、いつもは前週と1割くらいしか違わないのか)を見て、自分で決めてください。
迷うときは、まず多めに挙がる基準で始めて、確認が負担なら基準を上げます。

4. 手順②:AIの回答を、元の表で必ず検算する
AIチャットは、貼った表を読んで計算してくれる便利な相手ですが、計算を間違えたり、表にない数字を混ぜたりすることがあります。
特に前週比のような割り算は、桁や符号を間違えると大きく見え方が変わります。
そのため、AIが「B店が急減」「C店が急増」と挙げても、そのまま信じず、元の表の2つの数字で必ず検算します。
ここで使うA店・B店・C店と売上額はすべて架空の例です。
検算は、AIが挙げた店舗ごとに、元の表から「前週の同じ曜日」と「今週の同じ曜日」の2つだけを見ます。
計算式は次のとおりです。
(今週の売上 − 前週の売上)÷ 前週の売上
たとえばB店なら、前週の火曜が91,000円、今週の火曜が58,000円です。
電卓で、 58,000 − 91,000 = −33,000 −33,000 ÷ 91,000 = −0.3626… と計算します。
小数をパーセントに直すと約−36.3%です。
表示は−36.3%として、AIの回答と符号・小数点以下を比べます。
ここが一致していれば、その店舗についてはAIの数字を採用してよいと判断できます。
次に、基準内の店舗が挙がっていないかを見ます。
例として±20%を基準にした場合、A店は82,000円から85,000円で、(85,000−82,000)÷82,000=約+3.7%です。
これは基準内なので、急増・急減の一覧に載らないのが自然です。
逆にA店が「+37%」などと挙がっていたら、AIの計算か、貼った表の見方を疑います。
また、表にない店舗名や、表にない売上額が回答に混ざっていないかも確認します。
見つけたら、その数字は使わずに元の表へ戻ります。
AIの答えが検算と一致しないときは、同じ表を貼ったうえで、次のように追加して聞き直します。
「貼った表の数字だけを使って、計算式も書いてください。
基準は±20%の例で、前週同日比の増減率を店舗ごとに出してください。」
このように頼むと、どの数字をどう計算したかが返ってくるので、どこでずれたかを確認しやすくなります。
それでも合わない場合は、AIの回答を採用せず、元の表で自分で計算した数字を正としてください。
検算の目的は、AIに決めてもらうことではなく、見落としを減らしながら、最終的に自分の表で確認できる状態にすることです。
5. 具体例:確認メモを作って、関係者に共有する
検算まで終わったら、実際に残す「確認メモ」を作ります。
ここでは、A店・B店・C店の前週火曜と今週火曜の売上が次のようだった、という架空の例で進めます。
- A店:82,000円 → 85,000円(+3.7%)
- B店:91,000円 → 58,000円(−36.3%)
- C店:64,000円 → 97,000円(+51.6%)
例として±20%を基準にすると、急な増減として挙がるのはB店の−36.3%とC店の+51.6%です。
A店の+3.7%は基準内なので、今回の確認メモには入れません。
これは「A店に問題がない」という意味ではなく、いつもの範囲として今回は急な増減の確認対象から外す、という意味です。
続いて、AIチャットに次のように頼みます。
「原因を断定せず、確認すべき点を店舗ごとに1行で書いてください。」
たとえば、返ってくる確認メモの例は次のようになります。
ここに書く休業・人手不足・天候・団体予約・イベント・入力ミスは、あくまで架空の確認候補であり、実際の原因ではありません。
- B店:前週火曜91,000円→今週火曜58,000円(−36.3%)。確認すること:休業、人手不足、天候などの影響がなかったか。
- C店:前週火曜64,000円→今週火曜97,000円(+51.6%)。確認すること:団体予約、イベント、入力ミスがなかったか。
- A店:前週火曜82,000円→今週火曜85,000円(+3.7%)。基準内のため今回はメモの対象外。
このメモをオーナーや店長へ送るときは、長い文章にせず、「店名・増減・次に確認すること」の3項目だけにします。
たとえば、B店なら「B店、前週火曜91,000円→今週火曜58,000円で−36.3%。
休業・人手不足・天候の影響があったか確認してください」。
C店なら「C店、前週火曜64,000円→今週火曜97,000円で+51.6%。
団体予約・イベント・入力ミスがなかったか確認してください」という形です。
確認メモの型です。コピーして、○○の部分を埋めて使えます。
店名:○店
増減:前週の○曜 ○○円 → 今週の○曜 ○○円(○○%)
次に確認すること:
送る前に、次の3点を見ます。
1つ目は、増減率が元の表の数字と一致しているか。
2つ目は、急増・急減の店舗だけが載っているか。
3つ目は、「店名・増減・次に確認すること」の3項目がそろっているか。
もしAIが原因を断定した文を返したら、「原因は断定せず、確認する質問の形にしてください」と追加して整えます。
相手から「なぜそうなったか」と聞かれた場合も、この時点では原因を決めず、店舗に確認した内容を追記してから共有します。

6. 完了確認と、うまくいかないときの戻り方
まず、ここまでできたら完了です。
- AIが挙げた店舗について、自分で前週同日比を計算し、元の表の数字と一致している。
- 確認メモに、1店舗につき1行で「店名・増減・次に確認すること」が入っている。
たとえば、次のようなメモです。
- B店|前週比 -36.3%|店長に確認(休業・臨時休業、イベント、入力漏れ)
- C店|前週比 +51.6%|店長に確認(団体予約、イベント、入力ミス)
- A店|前週比 +3.7%|基準内。必要ならメモのみ
計算は「(今週-前週)÷前週」です。
B店なら(58,000-91,000)÷91,000=-36.26…となり、-36.3%です。
A店は+3.7%、C店は+51.6%になるか、電卓や表の式で確認します。
AIの計算は誤ることがあるため、元の表で検算するのが必須です。
うまくいかないときは、次のように戻ります。
- 全店舗が異常と出る:基準の数字が小さすぎるか、前週が休業日だった可能性があります。±20%は例なので、±30%のように大きくして試します。前週が休業日で0円や空欄なら、比較から外すか店長に確認します。
- 1店舗も出ない:基準の数字が大きすぎるか、数字の貼り間違いが考えられます。±10%のように小さくして再確認し、前週と今週の店舗順・列ずれがないか見ます。
- 数字が合わない:税込と税抜の混在、貼り付け時の桁ずれがよくあります。両週・全店で同じ基準にそろえ、元の表からコピーし直します。
- AIが原因を断定する:「原因を決めつけず、確認候補として挙げてください」と聞き直します。
原因が分からない場合は、無理に結論を出さず、確認メモの「次に確認すること」に「店長へ確認」と残します。
一致しないままなら、表の貼り付けに戻り、同じ質問文をもう一度試します。
7. 次に活かす:毎週のルーティンにして、色分けで補助する
毎週続けるには、うまくいった質問文をそのまま保存します。
スマホのメモやPCのテキストファイルで構いません。
毎週同じ曜日、たとえば火曜日に、前週の火曜日と今週の火曜日の売上を表からコピーし、保存した質問文に貼り直します。
店名はA店・B店・C店のように置き換え、顧客情報や従業員名は貼りません。
同じ手順なら、AIチャットの回答を毎回同じ目で確認できます。
表で見るのが楽なら、スプレッドシートの増減率の列に色を付ける補助もあります。
Googleドキュメント エディタ ヘルプの「条件付き書式」では、セルを選び、メニューの「表示形式」→「条件付き書式」を開き、「カラースケール」を選んで最小値・最大値と任意の中間値を指定し、「完了」で適用すると説明されています。
色の濃淡でプラス・マイナスや大小を眺めやすくなります。
ただし必須ではありません。
AIチャットだけでも、質問文と表の貼り付けだけで完結します。
前週同日比に慣れたら、前年同日比を見る方法もあります。
Squareのヘルプ「レストランの日次売上を確認する」では、前週同日比(WoW)に加えて前年同日比(YoY)が確認できると説明され、より正確な成績評価に使えるとされています。
季節の影響を分けて見たいときに、前年データがあれば試してください。
最後に、個人情報や顧客情報は引き続き貼らないでください。
売上管理の数字だけを扱い、店名は架空の呼び名に置き換えるのが安全です。
初心者にも分かりやすいAI活用情報をこれからもお届けします。
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