1. この記事で作るもの:全員向けと担当者向けの周知文
まず、完成イメージを見てください。
以下は架空のサンプル社で、総務担当の鈴木さんが、経費精算の申請方法の変更を全社員に知らせる例です。
実在の会社・人物・制度ではなく、すべて架空の例です。
件名、変更内容、適用日、対象者、してほしい行動、問い合わせ先が入っています。
件名:【11月2日から】経費精算の申請はフォームに変わります 対象者:全社員 変更内容:経費精算の申請方法を、これまでの紙の申請書から社内の申請フォームに変更します。 適用日:11月2日(月)から してほしい行動:11月2日以降の経費精算の申請は、社内の申請フォームから行ってください。 問い合わせ先:総務の鈴木さん
このように、社内周知の文面は、長い挨拶や背景説明から始めるより、「いつから」「誰が」「何をするのか」を先に伝えるほうが読み手は動きやすくなります。
とはいえ、実際には「制度変更の社内通知を長く書いたのに読まれない」「誰が何をするのか伝わらない」「経理担当だけに必要な作業が抜けてしまう」という悩みが起きがちです。
この記事では、無料のAIチャットとブラウザだけで、周知文の下書きを作る方法を扱います。
使うのは、変更点をまとめたメモとAIチャットの無料アカウントだけです。
コード・API・専門的な設定の知識は不要です。
社内通達をAIで下書きし、制度変更の社内通知を読み手別に整えることを目指します。
作る周知文は2種類です。
1つは全員向けで、短く、変更点・適用日・してほしい行動・問い合わせ先を伝えます。
もう1つは担当者向けで、経理担当が自分の作業を確認できる内容にします。
たとえば、経理担当向けには「10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終え、フォームの受付確認を始める」といった行動を入れておくと、受け付ける側の動きが抜けにくくなります。
この記事で周知文に入れる項目は、件名・変更内容・適用日・対象者・してほしい行動・問い合わせ先の6つです。
これはこの記事での整理例であり、公式の方法論ではありません。
一般的な社内通達の解説では、件名、日付、対象者、変更内容、適用日、問い合わせ先、してほしい行動などが項目例として挙げられ、形式的な挨拶より実務的な情報を明確に伝えることが重視されています。
マネーフォワード クラウドの「社内通達」の解説でも、そのような考え方が示されています。
また、AIで社内通知を作る検証記事(Yoom、2026年7月15日公開)では、読む人を具体的に指定すること、してほしい行動を具体的に書くこと、日付と曜日の整合を人が確認することが挙げられています。
丸投げせず、元のメモと見比べる前提で使いましょう。
なお、この記事では、就業規則の改定手続き、法的な周知義務、労務判断は扱いません。
必要なときは担当部署や社会保険労務士に確認してください。
また、周知で読まれる割合が上がるなどの効果を数値で保証するものでもありません。
あくまで、社内周知の文面と担当者向けの周知文を、安全に下書きするための手順です。
例にある「11月2日(月)」は、2026年の暦では月曜日にあたります。
ただし、読者の会社で使う年や実際の適用日が違う場合は、必ず自分のカレンダーで日付と曜日の一致を確認してください。
AIが出した文をそのまま信じず、元のメモと突き合わせることが大切です。


社内の資料や規程をそのまま貼ったほうが、正確な周知文になりませんか?

貼らないほうが安全です。名前や金額は架空化するか削り、変更点・適用日・してほしい行動だけを短いメモにして渡しましょう。
2. 準備:必要なものと、貼る前に気をつけること
準備するものは3つです。
1つ目は、無料のAIチャットのアカウントです。
2つ目は、ブラウザです。
3つ目は、変更点メモです。
追加費用は不要です。
特別なソフトやAPI、社内システムの設定は必要ありません。
まずは、AIチャットに貼り付けられるように、変更内容を短いメモに整理します。
変更点メモには、変更内容、適用日、対象者、してほしい行動、問い合わせ先を書きます。
実際の社員名や会社名、金額、連絡先はそのまま書かず、架空の例に置き換えるか削ります。
たとえば、サンプル社の鈴木さんが経費精算の変更を伝える場合は、次のようなメモにします。
これもすべて架空の例です。
- 会社:サンプル社
- 変更内容:経費精算の申請を、紙の申請書から社内の申請フォームに変える
- 適用日:11月2日(月)から
- 対象者:全社員(申請する人)と経理担当(受け付ける人)
- 全社員にしてほしい行動:11月2日以降の申請はフォームから行う
- 経理担当にしてほしい行動:10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終え、フォームの受付確認を始める
- 問い合わせ先:総務の鈴木さん
このメモを見ると、全社員向けには「11月2日以降はフォームから申請する」を伝え、経理担当向けには「10月30日までに紙の受付を終える」「フォームの受付確認を始める」を伝える必要があると分かります。
このように、同じ制度変更でも、読む人によってしてほしい行動が違います。
AIチャットにメモを貼り付けて指示文を送る前に、まず「誰に何をしてほしいか」を分けておきましょう。
自分の会社でいつも使っている項目があれば、6項目よりそちらを優先して構いません。
貼る前に気をつけることがあります。
実際の社員名、金額、メールアドレス、電話番号、パスワードはAIに貼らないでください。
仮の名前にする、金額をぼかす、連絡先は「総務の鈴木さん」のような架空の名前にする、といった対応をします。
機密情報や個人情報も同様です。
AIチャットは便利ですが、社外に出す前提の情報と、社内だけで扱う情報を分けて考えましょう。
AIチャットの学習利用についても確認しておきます。
OpenAIの場合は、WebでSettings、Data controls、Improve the model for everyoneをオフにすると、これ以降の新しい会話が学習に使われない設定にできます。
ただし、保存済みの会話は削除されない点に注意してください。
Claudeの場合は、プライバシー設定でモデル改善の扱いを変更できます。
また、シークレットチャットはモデル改善を有効にしていても改善に使われません。
画面は変わることがあるため、最新の公式ヘルプで確認してください。
AIは、メモにない理由や日付を補ってしまうことがあります。
そのため、下書きを受け取ったら、元のメモにない情報が足されていないか、対象者ごとの行動が書かれているかを読者自身で確認します。
10月30日(金)などの締め日も、日付と曜日がずれていると混乱を招くため、AIに任せきりにせず自分のカレンダーで確認してください。
3. 手順①:変更点メモを渡して、2種の周知文を作ってもらう
ここでは、架空の会社「サンプル社」を例にします。実際に使うときは、自社の情報に置き換えてください。周知文の項目は、第1章で示した件名・変更内容・適用日・対象者・してほしい行動・問い合わせ先の6つです。
まず、AIチャットに貼るための「変更点メモ」を用意します。
メモは、周知文に入れたい事実だけを短く書いたものです。
次の内容をそのまま使うと、架空の例として練習できます。
【変更点メモ(架空の例)】
会社名: サンプル社
担当・問い合わせ先: 総務の鈴木さん
変更内容: 経費精算の申請方法を、紙の申請書から社内の申請フォームに変更する。
適用日: 11月2日(月)から
対象者: 全社員(申請する人)と経理担当(受け付ける人)
全社員にしてほしい行動: 11月2日以降の申請は、紙ではなく社内の申請フォームから行う。
経理担当にしてほしい行動: 10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終え、フォームの受付確認を始める。
日付と曜日は、必ず自分のカレンダーでも確認してください。
この例では、2026年の暦で11月2日は月曜日、10月30日は金曜日です。
実際の年や社内カレンダーとずれていないかを見ておくと、あとで読む人が迷いません。
次に、AIチャットに上のメモを貼り、続けて次の指示文を貼って送ります。
AIチャットのサービスごとの画面操作やボタン名はここでは扱いません。
「変更点メモを貼り付けて、指示文を送る」だけで進めます。
あなたは社内の周知文づくりを手伝うアシスタントです。次の変更点メモだけを根拠に、全員向けの周知文を200字以内で作ってください。件名・変更内容・適用日・対象者・してほしい行動・問い合わせ先を入れ、メモにない日付や金額や理由は書かず、分からない点は【情報なし】と書いてください。続けて、経理担当向けの周知文も作ってください。経理担当向けには、経理担当が自分の作業と期限を確認できる内容にしてください。
送ると、AIは「全員向け」と「経理担当向け」の2種類の下書きを返します。
ここではまだ文章の上手さを判断しなくてかまいません。
まず、2つの下書きのそれぞれに6項目が入っているかを確認します。
確認のしかたは簡単です。
全員向けの下書きを見て、件名、変更内容、適用日、対象者、してほしい行動、問い合わせ先の6つを指で追います。
経理担当向けも同じように6つを確認します。
全員向けには「11月2日以降の申請はフォームから行う」、経理担当向けには「10月30日までに紙の受付を終え、フォームの受付確認を始める」という行動が入っているかも見ます。
もし項目が足りなければ、AIに「対象者を明記してください」「問い合わせ先を入れてください」と追加で指示します。
6項目がそろっていれば、次の手順に進む準備ができています。

4. 手順②:読む人に合わせて整え、元のメモと突き合わせる
AIの下書きは、そのまま送る完成品ではなく、たたき台です。
Yoomの検証記事では、読む人(対象者)を具体的に指定してトーンを合わせること、してほしい行動を具体的に書くこと、日付と曜日の整合を人が確認することが挙げられています。
ここでは、その考え方に沿って整えます。
全員向けは、短く、変更点・適用日・全社員がすること・問い合わせ先が一目で分かるようにします。
たとえば「対象: 全社員。
11月2日(月)から、経費精算の申請方法が紙の申請書から社内の申請フォームに変わります。
11月2日以降の申請は、フォームから行ってください。
問い合わせ先: 総務の鈴木さん」という形です。
形式的な挨拶が長い場合は削り、実務的な情報を前に出します。
担当者向けは、経理担当が「自分は何を、いつまでにやるのか」を確認できるようにします。
たとえば「対象: 経理担当。
10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終え、フォームの受付確認を始めてください。
問い合わせ先: 総務の鈴木さん」という形です。
整えたあとは、必ず元の変更点メモと見比べます。
AIは、メモにない理由や日付を足すことがあります。
たとえば、メモでは11月2日からなのに、AIが「11月9日から」と書いてしまう。
あるいは、メモにない「セキュリティ強化のため」といった理由を付け加える。
こうした内容は、事実と違う可能性があるので、そのまま使ってはいけません。
元のメモにない理由や日付は削るか、社内で事実を確認できたものだけに直します。
日付は、数字だけでなく曜日も見ます。
この例では11月2日(月)、10月30日(金)です。
実際の年で曜日が合っているか、自分のカレンダーで確認してください。
AIに「合っていますか」と聞くだけで済ませず、元のメモを定規のようにして、自分の目で突き合わせます。
AIは自分の書いた文章を正しいと言ってしまうことがあるためです。
確認するときは、6項目、日付、曜日、対象者、してほしい行動、問い合わせ先を一つずつ照らし合わせます。
もし違和感があれば、元のメモに戻って直し、必要なら人に確認します。
最後に、読む人へ「分からない点があれば総務の鈴木さんへ質問してください」と添えると、迷ったときの戻り先が伝わります。

AIが作った周知文を、そのまま全員に送ってはいけませんか?

AIはメモにない理由や日付を足すことがあります。元のメモと見比べて、違う箇所は自分で直してから送りましょう。
5. 具体例:周知文の完成と、送る前の確認リスト
ここでは、サンプル社(架空の会社)の総務担当・鈴木さん(架空の人物)が、経費精算の申請方法を変える場面を例にします。
実際の会社名・人名・日付・金額はそのまま使わず、自分の環境に置きかえて読んでください。
変更点のメモは、次のような内容だったとします(すべて架空の例です)。
- 変更内容:経費精算の申請を、紙の申請書から社内の申請フォームに変える
- 適用日:11月2日(月)から
- 対象:全社員(申請する人)、経理担当(受け付ける人)
- 全社員にしてほしい行動:11月2日以降の申請はフォームから行う
- 経理担当にしてほしい行動:10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終え、フォームの受付確認を始める
- 問い合わせ先:総務の鈴木さん
このメモをもとにAIチャットで作った下書きを、人が整えた完成例が次の2つです。
全員向けの周知文(完成例)
件名:【11月2日(月)から】経費精算の申請は社内フォームに変わります
変更内容:経費精算の申請が、紙の申請書から社内の申請フォームに変わります。
適用日:11月2日(月)から
対象者:全社員(申請する方)
してほしい行動:11月2日以降の申請は、紙の申請書ではなく、社内の申請フォームから行ってください。
問い合わせ先:総務の鈴木さん
経理担当向けの周知文(完成例)
件名:【10月30日(金)まで】紙の申請書の受付終了と、フォームの受付確認の開始
変更内容:経費精算の申請が、紙の申請書から社内の申請フォームに変わります。
適用日:11月2日(月)から
対象者:経理担当(受け付ける方)
してほしい行動:10月30日(金)までに紙の申請書の受付を終えてください。
あわせて、フォームの受付確認を始めてください。
11月2日以降は、全社員の申請がフォームに切り替わる前提で確認をお願いします。
問い合わせ先:総務の鈴木さん
全員向けは短く、経理担当向けは自分の作業と期限が分かるようにしてあります。
あいさつは最小限にし、実務的な情報を前に出しています。
次に、送る前の確認リストで点検します。
上から順に、次の6項目を一つずつ見てください。
- 適用日と曜日が元のメモと一致しているか。「11月2日(月)」「10月30日(金)」が、自分の手元のメモや社内カレンダーと合っているかを人が確認します。2026年の暦では11月2日は月曜日ですが、自分の日付と曜日の組み合わせは必ず自分の目で確かめてください。
- してほしい行動が対象者ごとに書かれているか。全員向けには「11月2日以降はフォームから申請する」、経理担当向けには「10月30日までに紙の受付を終え、フォームの受付確認を始める」が入っているかを見ます。全員向けに経理担当の作業を混ぜると、読む人が自分ごとと捉えにくくなります。
- 問い合わせ先が書かれているか。両方に「総務の鈴木さん」が入っているかを確認します。
- AIが足した理由や日付がないか。たとえば「経費削減のため」「4月から順次」など、メモにない説明が増えていないかを見ます。あれば削ります。
- 貼ってはいけない情報が入っていないか。実在の社員名、金額、メールアドレス、電話番号、パスワードなどが残っていないかを確認します。入っていたら、その会話は使わず、架空の名前に置きかえるか項目ごと削って、新しい会話で作り直します。
- 読む人に、分からない点を質問してもらう依頼を添えたか。周知文の最後に「分かりにくい点があれば総務の鈴木さんまで聞いてください」のように一文を足します。これは確認リストの一部であり、読み手が止まらずに動くための備えです。
この指示文と確認リストは、次回もそのまま使い回せます。
変えるのは変更点のメモだけです。
メモを新しい内容に差し替え、同じ指示文を送り、同じ6項目で点検する、という順番を毎回繰り返してください。

6. 完了確認と、うまくいかないときの戻り方
完了したかどうかは、次の4点で判断します。
1つ目は、2種の周知文に「件名・変更内容・適用日・してほしい行動・問い合わせ先」が入っていることです。
対象者を分けて書いている場合は、対象者の項目も入れてください。
抜けがあれば、その項目名を指示文に書き足して作り直します。
2つ目は、適用日と曜日が元のメモと一致していることです。
11月2日(月)と10月30日(金)のように、日付と曜日を並べて自分の目で照合します。
曜日が違っていたら、正しい曜日をメモに書き直し、そのメモで作り直します。
曜日をAIに計算させず、人が確認するのが安全です。
3つ目は、第5章の確認リスト6項目がすべて通ることです。
適用日と曜日の一致、対象者ごとのしてほしい行動、問い合わせ先、AIが足した理由や日付がないこと、貼ってはいけない情報がないこと、質問してもらう依頼を添えたこと、の6つです。
1つでも通らなければ、その項目だけを直します。
4つ目は、読む人が質問なし、または少ない質問で動けることです。
経理担当に「紙の受付はいつまで?」
と聞き返されない状態なら、してほしい行動が具体的に書けています。
質問が多かった場合は、その質問を次のメモに追記してから作り直すと、次回の精度が上がります。
うまくいかない例と戻り方を4つ示します。
- AIがメモにない理由や日付を足した。指示文に「変更点メモだけを根拠にし、メモにない日付や理由は書かず、分からない点は【情報なし】と書いてください」を入れ直して作り直します。出てきた文は、必ず元のメモと並べて突き合わせます。理由を本当に伝えたい場合は、メモの側に理由を書き足してから渡してください。
- 全員向けが長すぎて読まれない。指示文に「全員向けは200字以内」「入れる項目は件名・変更内容・適用日・してほしい行動・問い合わせ先の5つ」のように、字数と項目数を指定して作り直します。経理担当向けは別の文として分け、全員向けに混ぜないようにします。
- 担当者ごとのしてほしい行動が抜けた。元のメモに「経理担当:10月30日までに紙の受付を終え、フォームの受付確認を始める」を書き足し、そのメモで作り直します。AIに推測させるのではなく、人がメモを補うのが確実です。
- 貼ってはいけない情報を貼ってしまった。その会話は使わず、実在の名前や連絡先を架空のものに置きかえるか削って、新しい会話で貼り直します。実際の社員名、金額、メールアドレス、電話番号、パスワードはAIに貼らないでください。
なお、就業規則の改定手続きや法的な周知義務の判断が必要な場面では、この手順で決めず、担当部署や社会保険労務士に確認してください。
AIチャットは下書きを作る道具であり、判断を代わりにしてくれるものではありません。
次の一歩は、次に実際に出す周知を1件だけ選び、会社名・人名・金額・連絡先を架空のものに置きかえたメモを作るところから始めます。
そのメモに、この記事の指示文と同じ確認リストを使って、2種の周知文を作ってみてください。
初心者にも分かりやすいAI活用情報をこれからもお届けします。
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