休暇や異動の前に、顧客対応の引き継ぎ、口頭だけで済ませていませんか?AIチャットで引き継ぎメモと確認リストを作る方法
AI実用ラボ
1. この記事で作るもの:引き継ぎメモ1枚と確認リスト
まず、この記事で作る完成イメージを先に見ます。
ここに出てくる会社名・人名・日付・状況はすべて架空の例です。
実在の会社や人物ではありません。
【引き継ぎメモの完成例】
- 顧客と案件の名前:見本商事の山田さん/保守サポートの見積
- 今の状況:見積を提出済みで、回答待ち
- 次の約束と期限:3月12日に佐藤さんから山田さんへ電話で回答の確認をする
- してはいけないこと:値引きの相談があっても、その場で約束しない。上長に確認してから返答する
- 判断を仰ぐ人:上長
- 連絡の癖:山田さんは午前中のメールをよく見る(架空の例)
この1枚が、この記事のゴールです。
休暇や異動の前に、顧客対応を同僚や後任へ渡すとき、口頭だけで「あとはお願いね」と伝えていませんか。
口頭だけだと、渡した側は「大事なことを言い忘れていないか」「休暇中に相手から連絡が来たらどうしよう」と不安が残ります。
受け取った側も、メモがないと、毎回同じ質問をしたり、どこまで自分が判断してよいのか分からなくなったりします。
また、いざ引き継ぎメモを書こうとすると、毎回どの項目を書けばよいか考え直すのも手間です。
そこでこの記事では、無料のAIチャットに架空化した案件メモを貼り、顧客対応の引き継ぎメモ1枚を下書きします。
そのあと、確認リストで元のメモと突き合わせて、渡せる状態に整えます。
この記事で使うものは、無料のAIチャットとブラウザ、そして架空化した案件メモだけです。
コード、API、むずかしい設定の知識は必要ありません。
AIチャットには「案件メモを貼り付けて指示文を送る」という使い方だけを行います。
ただし、この記事で扱わないこともあります。
契約・価格・値引きの承認可否や、法的責任の判断は扱いません。
これらはAIチャットに決めさせるのではなく、必ず上長など承認できる人に確認してください。
また、引き継ぎ漏れが何割減る、といった効果の数値も扱いません。
AIチャットは下書きを作る道具であり、最終的に内容を確認して渡すのは人です。
この記事で紹介する「顧客と案件の名前・今の状況・次の約束と期限・してはいけないこと・判断を仰ぐ人・連絡の癖」という6項目は、この記事での整理例で、公式の方法論ではありません。
すべての引き継ぎをこの6項目だけで済ませるという意味ではなく、顧客対応を渡すときに最低限ここを押さえるための下書きとして使います。
流れは3ステップです。
①案件メモをAIチャットに貼る、②引き継ぎメモ1枚にまとめてもらう、③渡す前に佐藤さん自身が元のメモと見比べ、AIが足した約束や日付がないか確認する。
田中さんが読めば、今の状況、次の約束、してはいけないこと、困ったときの相談先、連絡の取り方が分かる状態を目指します。


メール履歴や案件の資料をそのまま貼ったほうが、正確な引き継ぎメモになりませんか?

貼らないほうが安全です。顧客名や金額は架空化するか削り、必要な項目だけを短いメモにして渡しましょう。
2. 準備:必要なものと、貼る前に気をつけること
準備するものは3つです。
1つ目は、無料のAIチャットのアカウントです。
2つ目は、ブラウザです。
3つ目は、架空化した案件メモです。
案件メモには、顧客名、今の状況、次の約束、注意点、連絡の癖などを入れておきます。
追加費用は不要です。
無料の範囲で始められます。
特別なソフトのインストールや、プログラミングの知識も要りません。
案件メモは、いきなり完璧に整える必要はありません。
たとえば、次のような情報を箇条書きにしておきます。
- 顧客:見本商事の山田さん(架空)
- 案件:保守サポートの見積
- 今の状況:見積を提出済みで、回答待ち
- 次の約束:3月12日に佐藤さんから山田さんへ電話で回答確認
- 注意点:値引きの相談があっても、その場で約束しない。上長に確認してから返答する
- 判断を仰ぐ人:上長
- 連絡の癖:山田さんは午前中のメールをよく見る(架空の例)
ここで大切なのは、実際の顧客名・担当者名・金額・メールアドレス・電話番号・パスワードをAIチャットに貼らないことです。
実際の情報をそのまま貼るのではなく、架空の名前に置き換えるか、削ります。
たとえば「株式会社A社のBさん」とし、金額と連絡先は削ります。
メール履歴を参考にする場合も、そのまま貼らず、個人名や連絡先を消してから使います。
パスワードなどの機密情報は、AIチャットに貼るのではなく、社内の別の管理方法で渡してください。
一般的な引き継ぎ書の解説では、担当業務やプロジェクトの概要、重要な連絡先・関係者、進捗状況と課題点、優先度・重要度などを書くことが挙げられています。
また、「後任者が知らないこと」を起点に書くこと、パスワード等の機密情報は別管理にすること、上司や同僚によるレビューを行うことなども注意点として挙げられています。
これはマネーフォワード クラウドの「業務引継書の重要項目と注意点」(ページ表記の更新日2026年4月27日)で説明されている範囲です。
今回作る顧客対応の引き継ぎメモは、正式な業務引継書そのものではありませんが、同じように「受け取る人が知らないこと」を意識して書くと役立ちます。
同じ解説では、アクセス権限の引き継ぎ状況や、最終確認の記録と責任者の明示も確認観点として挙げられています。
今回の6項目は、顧客対応をAIチャットで下書きするための入口です。
必要に応じて、社内の正式な引き継ぎ書や上司の指示に合わせて項目を足してください。
AIチャットの学習利用についても、貼る前に確認しておきましょう。
OpenAIの場合は、WebでSettings、Data controls、Improve the model for everyoneをオフにすると、これ以降の新しい会話が学習に使われない設定になります。
ただし、保存済みの会話は削除されない点に注意してください。
これはOpenAI Helpの「Data controls in ChatGPT」で案内されている範囲です。
Claudeの場合は、プライバシー設定でモデル改善を変更できます。
また、シークレットチャットは、モデル改善を有効にしていても改善に使われません。
これはAnthropicの公式サポートで案内されている範囲です。
機微な情報の入力は慎重にし、安全分類で検知された会話は設定にかかわらず安全性改善に使われる場合があることも公式に案内されています。
画面や設定名は変わることがあるため、実際に使う前に公式ヘルプで最新の方法を確認してください。
準備ができたら、次は架空化した案件メモをAIチャットに貼り、引き継ぎメモの下書きを依頼します。
このときも、実際の顧客情報や機密情報を入れないことが前提です。
AIチャットは、メモにない約束や日付を補ってしまうことがあります。
そのため、元の案件メモやメール履歴は手元に残し、あとで突き合わせられるようにしておきましょう。
渡す前の確認リストも、この突き合わせのために使います。
3. 手順①:案件メモを渡して、引き継ぎメモを作ってもらう
ここからはすべて架空の例です。
実在の会社名・人名・出来事ではありません。
休暇や異動の前に口頭だけで顧客対応を渡すと、次の約束、言ってはいけないこと、困ったときの相談先が抜けやすくなります。
そこで、無料のAIチャットに架空化した案件メモを貼り、引き継ぎメモの下書きを作ってもらいます。
コードやAPI、特別な設定の知識は不要です。
まず、元になる案件メモを用意します。
実際の顧客名・担当者名・金額・メールアドレス・電話番号・パスワードはAIに貼らないでください。
架空の名前に置き換えるか、削ります。
以下は、サンプル社の営業担当・佐藤さんが休暇に入り、田中さんが代理で対応する場合の架空例です。
案件メモ(架空)
- 顧客と案件の名前:見本商事 / 保守サポートの見積
- 今の状況:見積は提出済みで、顧客の回答待ち
- 次の約束と期限:3月12日に、佐藤さんから見本商事の山田さんへ電話で回答の確認をする
- してはいけないこと:値引きの相談があってもその場で約束せず、上長に確認してから返答する
- 判断を仰ぐ人:上長
- 連絡の癖:山田さんは午前中のメールをよく見る
- 補足:佐藤さんは休暇に入り、田中さんが代理で対応する
ここでは、代わりに対応する人がすぐ動けるように、顧客と案件、状況、次の約束、注意点、相談先、連絡のコツを1枚にまとめる、という考え方で進めます。
次に、無料のAIチャットに上の案件メモを貼り付け、続けて次の指示文を送ります。
サービスごとの画面操作やボタン名、料金、文字数上限は気にせず、案件メモを貼り付けて指示文を送るだけです。
そのまま貼れる指示文
あなたは顧客対応の引き継ぎを手伝うアシスタントです。
次の案件メモだけを根拠に、代わりに対応する田中さんが読んですぐ動ける引き継ぎメモを、顧客と案件の名前・今の状況・次の約束と期限・してはいけないこと・判断を仰ぐ人・連絡の癖の6項目で作ってください。
メモにない日付・金額・約束は書かず、分からない点は【情報なし】と書いてください。
送ったあと、AIが返してきた下書きを確認します。
完成状態は、次の6項目が見出しや箇条書きで分かれていることです。
1つ目は「顧客と案件の名前」、2つ目は「今の状況」、3つ目は「次の約束と期限」、4つ目は「してはいけないこと」、5つ目は「判断を仰ぐ人」、6つ目は「連絡の癖」です。
この6つがすべて見つかれば、下書きの形は整っています。
もし、顧客名と状況が長い文章に混ざっている、次の約束が別の項目に入っている、してはいけないことが書かれていない、判断を仰ぐ人が抜けている、連絡の癖がない、といった状態なら、そのまま渡さずに、もう一度AIへ「6項目の見出しごとに分け、メモにない情報は足さず、【情報なし】と書いてください」と追加で送ります。
AIが別の見出しを増やした場合も、元のメモにない内容なら採用しません。
まずは6項目がそろっているかを、上から順に指で追うように確認してください。

4. 手順②:項目と言い回しを整え、元のメモと突き合わせる
AIが出した下書きは、そのまま渡さず、受け取る人が迷わないように整えます。
前の章で触れた解説にあるとおり、「後任者が知らないこと」を起点に書くのが基本です。
受け取る田中さんが知らないことを先に書いておけば、次に何をすればよいか迷いにくくなります。
整え方の1つ目は、次の約束を「誰が・いつ・何を」に分けることです。
元のメモに「3月12日に、佐藤さんから山田さんへ電話で回答の確認をする」とある場合、日付と行動は入っていますが、佐藤さんが休暇なら誰が電話するのかが曖昧です。
「3月12日に、山田さんへ電話して見積の回答を確認する。
担当は田中さん(元は佐藤さんの予定)」のように、担当者だけを置き換え、日付と行動は元のメモのまま残します。
担当を誰にするかが決まっていなければ、上長に確認してください。
勝手に日付を変えたり、新しい約束を足したりしないでください。
2つ目は、してはいけないことに理由を一言添えることです。
たとえば「値引きの相談があっても、その場で約束しない。
金額に関わる返事を担当者だけで決めないため、上長に確認してから返す」と書きます。
禁止事項だけだと、受け取った人は「なぜダメなのか」「どこまでなら答えてよいのか」で止まってしまいます。
理由が一言あると、判断に迷ったときの行動がそろいます。
3つ目は、判断を仰ぐ人を役割で書くことです。
個人名だけではなく「上長」のように役割で書きます。
担当者が休暇中でも、誰に確認すればよいかが分かりやすくなります。
4つ目は、連絡の癖を具体的に書くことです。
たとえば「山田さんは午前中のメールをよく見る」のように、相手に合わせた連絡のコツを残します。
これは緊急時や確認時の動き方を助けます。
次に、AIがメモにない約束や日付を足していないか確認します。
たとえば、元のメモでは「3月12日」なのに、AIの下書きが「3月21日に電話」と書いていたら、その日付は元のメモにありません。
また、見積に含まれていない割引を「10%割引を提示する」のように足していたら、それも元のメモにない内容です。
AIは文章をなめらかにするために、もっともらしい日付や条件を補うことがあります。
元の案件メモやメール履歴と見比べ、違っていれば自分で直してください。
AIに「合っていますか」と聞くだけで済ませず、最後は自分の目で一次情報を確認します。
もし元のメール履歴に「3月21日」とあり、案件メモに「3月12日」とあるなら、どちらが正しいかを自分で決めず、上長に確認します。
値引きの可否や契約条件の判断も、この手順では決めません。
承認者に確認する前提で、引き継ぎメモには「その場で決めない」「上長に確認する」と残します。
渡す前には、受け取る人に「読んで分からない点があれば質問してください」と添え、必要なら上司や同僚にも見てもらいます。

AIが作ったメモを、そのまま田中さんに渡してはいけませんか?

AIはメモにない日付や約束を足すことがあります。元のメモと見比べて、違う箇所は自分で直してから渡しましょう。
5. 具体例:引き継ぎメモの完成と、渡す前の確認リスト
ここでは、サンプル社の営業担当・佐藤さんが休暇に入る前に、代理で対応する田中さんへ、見本商事の山田さんに関する案件を引き継ぐ場面を架空例で示します。
実在の会社名・人名・日付ではありません。
まず、完成した引き継ぎメモは次のとおりです。
顧客と案件の名前:見本商事 / 保守サポートの見積
今の状況:見積を提出済みで、回答待ち。
次の約束と期限:3月12日に、佐藤さんから山田さんへ電話で回答確認をする。
してはいけないこと:値引きの相談があっても、その場で約束しない。上長に確認してから返答する。
判断を仰ぐ人:上長
連絡の癖:山田さんは午前中のメールをよく見る。
今回の6項目は、一般的な引き継ぎ書の考え方を顧客対応の1案件に絞り、AIチャットに下書きさせるための形にしたものです。
下書きができたら、渡す前に元の案件メモと突き合わせます。
確認リストは次の6点です。
- 次の約束と期限が元のメモと一致しているか。 ここでは「3月12日に、佐藤さんから山田さんへ電話で回答確認をする」が元メモと同じか見ます。日付、相手、連絡方法が違っていたら直します。
- してはいけないことが書かれているか。 「値引きの相談があっても、その場で約束せず、上長に確認してから返答する」が残っているか確認します。
- 判断を仰ぐ人が書かれているか。 「上長」など、迷ったときの相談先が明記されているか見ます。
- AIが足した約束や日付がないか。 元の案件メモにない「次回訪問日」「再見積の期限」などが増えていないか確認します。あれば削るか、元のメール履歴と照合します。
- 貼ってはいけない情報が入っていないか。 実際の顧客名・担当者名・金額・メールアドレス・電話番号・パスワードなどが残っていないか見ます。入っていたら、その会話は引き継ぎに使わず、架空化して新しく作り直します。パスワード等はメモに書かず別管理にします。
- 受け取る人が読んで分からない点を質問できるか。 メモを渡すときに「読んで分からない点があれば聞いてください」と添え、田中さん役の人に確認してもらいます。
受け取る人への短い添え文の例です。
田中さん、休暇中の見本商事・山田さん対応をお願いします。添付の引き継ぎメモに、今の状況、次の約束、注意点、判断を仰ぐ人、連絡の癖をまとめました。3月12日に佐藤さんから山田さんへ電話で回答確認をする予定です。値引きの相談はその場で答えず、上長に確認してください。読んで分からない点があれば、遠慮なく聞いてください。
次回も同じ指示文と確認リストを使い回せます。
案件メモの顧客名、日付、次の約束を入れ替え、実在情報を架空化して貼れば、同じ6項目の下書きを作れます。
確認リストも毎回同じ6点を見れば、渡す前に抜けに気づきやすくなります。


受け取る人が、分からないまま動いてしまわないか心配です。

渡すときに「読んで分からない点があれば聞いてください」と添えてください。田中さん役の人に読んでもらうのも有効です。
6. 完了確認と、うまくいかないときの戻り方
完了の目安は、次の4つを満たしていることです。
- 引き継ぎメモが6項目に分かれている。
- 次の約束と期限が、元の案件メモと一致している。
- 渡す前の確認リスト6項目が通る。
- 受け取る人が読んで、質問なし、または少ない質問で動ける。前の章の解説では、後任者が単独で業務を遂行できた時点を完了とする考え方も示されています。ここではまず、田中さん役の人が「次に何をすればよいか」「何をしてはいけないか」「困ったら誰に聞くか」を説明できる状態を目指します。
うまくいかないときは、次のように戻ります。
- AIがメモにない日付や約束を足した。 指示文に「次の案件メモだけを根拠にし、メモにない日付・金額・約束は書かず、分からない点は【情報なし】と書いてください」と入れ直して作り直します。それでも残る場合は、元のメール履歴や予定表と突き合わせ、読者自身で削除・修正します。
- 項目が長すぎて読まれない。 指示文に「各項目は2行以内で書いてください」と足して作り直します。長い経緯は引き継ぎメモ本体ではなく、別の参考メモに分けます。
- してはいけないことが抜けた。 元の案件メモに「値引きの相談があっても、その場で約束せず、上長に確認してから返答する」などを書き足してから、もう一度AIチャットに貼り直します。元メモにない注意点はAIには分からないため、先に元メモを直すのが戻る場所です。
- 貼ってはいけない情報を貼ってしまった。 その会話は使わず、顧客名を「顧客A」、担当者名を「担当者B」、金額や連絡先を削るなど架空化したメモを作り、新しい会話で貼り直します。パスワード等の機密情報は引き継ぎメモに載せず、別の安全な方法で管理します。
契約・価格・値引きの承認可否や法的責任の判断が必要なときは、AIに決めさせず、上長や専門家に確認してください。
引き継ぎメモには「その場で約束しない」「判断を仰ぐ人」として書くところまでにします。
次の一歩として、実際の案件を1件だけ選び、顧客名や担当者名、金額、連絡先を架空化した案件メモを作ります。
前の章の指示文を送って6項目の下書きを出し、確認リスト6点で点検し、田中さん役の人に読んでもらいます。
これで通れば、同じ指示文と確認リストを他の案件にも使い回せます。
まずは1件だけで試し、渡す直前に元メモとの突き合わせを必ず行いましょう。
初心者にも分かりやすいAI活用情報をこれからもお届けします。
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