持続性抑うつ障害(Persistent Depressive Disorder, Dysthymia)(1900文字)

寄り添わない心理カウンセラー【Y】:代表
こんにちは🍵
「なんとなく落ち込んでるだけでしょ」と軽く見る人には寄り添わない心理カウンセラー【Y】です
持続性抑うつ障害は、長く静かに続きます
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持続性抑うつ障害とは
持続性抑うつ障害は、以前は「気分変調症(Dysthymia)」と呼ばれていた障害で、軽度〜中等度の抑うつ状態が2年以上にわたってほぼ常に続くという特徴をもつ 症状は大うつ病ほど強くはないが、日常生活や自己評価、社会的な役割にじわじわと深い影響を与え続ける
その持続性こそが問題の核心であり、本人も周囲も「いつからこうだったのか分からない」「性格のように見える」と感じてしまいやすい まるで心にずっと薄く霧がかかっているような感覚に、何年も、あるいは何十年もつき合いながら生活しているケースも少なくない
診断基準と基本的な症状
持続性抑うつ障害の診断には、次のような条件がある
・抑うつ気分が、少なくとも2年間(18歳未満では1年間)ほぼ毎日持続している ・その間、症状が完全に消失する期間は2か月未満 ・抑うつ気分に加えて、以下のうち少なくとも2つの症状がある ・食欲の変化(増加または減少) ・睡眠の問題(不眠または過眠) ・疲労感、エネルギーの低下 ・自己評価の低さ ・集中困難、決断困難 ・絶望感
重要なのは、これらの症状が「常にある」という点だ 時折うつっぽくなるのではなく、日常的にずっと続いている
にもかかわらず、本人は「自分はこういう性格なんだ」と受け入れてしまっていることが多く、専門的な支援につながるまでに時間がかかる傾向がある
慢性的な自己否定感と生きづらさ
持続性抑うつ障害において最も目立つのは、「自己評価の低さ」だ 「自分には価値がない」「誰かの役に立てていない」「生きている意味が分からない」という感覚が、日常の中にしみついている
これらは劇的な感情ではなく、静かで地味で、しかし根深い思考として存在し続ける だからこそ、周囲からは「頑張っているように見える」「普通に見える」と言われることが多いが、本人は日々「仮面をかぶって生きている」と感じている
人間関係でも「どうせ自分は嫌われる」「無理に明るくしてるのがバレたら見放される」といった不安を抱えやすく、親密な関係の中でも本音が出せず、孤独感を抱えやす
特殊なパターンと見過ごされやすさ
持続性抑うつ障害は、大うつ病と併存することがある これを「ダブル・ディプレッション」と呼ぶ
もともと持続的に軽いうつ状態が続いていた人が、ある出来事をきっかけに大うつ病のような深い落ち込みに陥る状態だ
また、本人が幼少期から一貫して気分の低さを抱えていた場合、それを「自分の一部」「性格」として受け入れてしまっているケースが多く、専門家による支援を求める発想がそもそも浮かばないことがある
加えて、「気分は沈んでいても行動はできる」「働けているし、家事もこなせている」という理由で、支援の必要性が周囲に伝わらず、孤立が深まっていくこともある
心理カウンセリングと治療の可能性
持続性抑うつ障害の治療は、薬物療法と心理カウンセリングの併用が基本となる 抗うつ薬によって、脳内の神経伝達物質を安定させることで、気分の底上げが期待できる
一方、心理カウンセリングでは、「自分に染みついているネガティブな思考パターン」をゆっくりとほどいていくことが重要となる 持続性抑うつ障害の相談者は、自分を責める癖が深く根づいているため、「自分を責めない」思考を取り戻す作業には時間がかかる
認知行動療法では、自動的に浮かぶ否定的な思考に気づき、それを書き換える訓練を行う また、「小さな成功体験を重ねる」「自分が良いと感じられる感覚を記録する」といった支援も、自己評価を回復させるうえで有効になる
重要なのは、「変わらなければならない」というプレッシャーを与えるのではなく、「変わることが可能だと感じられる体験」を積み重ねていくことだ 心理カウンセラーは、相談者が「ずっとこんな気分だった」という前提を、少しずつ書き換える伴走者として関わる
長く続く気分の低さと、向き合う姿勢
持続性抑うつ障害は、その「目立たなさ」ゆえに、見逃されやすく、回復のきっかけもつかみにくい だが、気分が常に沈んでいる状態は、たとえ軽度でも、人生の質を大きく損なう
だからこそ、「自分はおかしいわけではないが、苦しんでいる」という感覚を持てたときこそが、回復への最初の一歩になる 気分の低さが性格ではなく、治療可能な状態であるという視点を持つことは、相談者にとって大きな転機となる
心理カウンセリングは、その「曇り空」に小さな光を見つけ、少しずつ晴れ間を広げていく作業だ その作業には時間も根気も必要だが、確かな意味がある
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