双極II型障害(Bipolar II Disorder)とは何か ――静かに、深く揺れる気分の波

寄り添わない心理カウンセラー【Y】:代表
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双極II型障害とは
双極II型障害(Bipolar II Disorder)は、気分障害の中でもしばしば誤解され、見落とされやすい障害の一つです 双極I型障害のような極端な躁状態(躁病エピソード)は見られず、その代わりに「軽躁状態(hypomania)」と「うつ状態(major depression)」が繰り返されます
一見すると「少し元気な時期」と「少し落ち込む時期」の繰り返しのように思えるが、実際には、特にうつ状態の深さと重さが生活に大きな影響を与える 軽躁状態では本人も周囲も「調子がいい」と錯覚することがあり、その分、相談や治療が遅れることも多い
診断と基本的な特徴
双極II型障害の診断には、以下の2つのエピソードの経験が必須とされている
・少なくとも一度の「うつ病エピソード」 ・少なくとも一度の「軽躁エピソード」
軽躁状態は、双極I型の「躁状態」ほど破壊的ではなく、通常は入院を要するほどではない しかし、気分の高揚、自己評価の高まり、活動量の増加、睡眠欲求の減少、多弁、衝動的行動といった症状は明確に存在しており、周囲から見ると「いつもよりテンションが高い」「妙に元気すぎる」と映ることがある
軽躁エピソードの期間は最低4日間とされる 仕事や家庭での役割はある程度こなせることが多いため、本人も異常とは感じず、むしろ「調子が良い」「頭の回転が速い」と歓迎することすらある だが、その後に訪れる深刻なうつ状態によって、生活は大きく崩れてしまう
うつ状態の重さと頻度
双極II型障害では、うつ状態の期間が長く、頻度も多いことが特徴だ 軽躁状態が「一瞬の晴れ間」だとすれば、うつ状態は「長く続く重たい雨雲」のようなものだ
・意欲の喪失 ・自己否定感や罪悪感 ・集中力の低下 ・身体のだるさ、眠気、頭痛などの身体症状 ・自殺念慮や自傷行為への傾き
こうした症状が数週間から数カ月続くこともあり、職場復帰や社会生活への参加が困難になる 双極II型障害では、このうつ状態の重さと繰り返しに悩まされるケースが非常に多い
特に問題となるのが、自殺リスクの高さだ 双極I型障害に比べ、双極II型障害の方が自殺既遂率が高いという報告もある それは、うつ状態が長期化しやすいこと、軽躁時の「一時的なエネルギー」が危険な衝動行動につながることが関係している
見落とされやすい障害
双極II型障害は、その軽躁の性質ゆえに「うつ病」と誤診されることが少なくない 精神科に相談する時点では、ほとんどの相談者がうつ状態であり、過去の軽躁エピソードについて自覚が乏しいこともある
たとえば、「やたらポジティブだった時期があった」「いつもよりテンションが高く、あれこれ新しいことを始めていた」といったエピソードが、実は軽躁だった可能性がある しかし、相談者も周囲もそれを「異常」とは認識していないことが多いため、診断が遅れる原因になる
また、発達障害と誤解されることもある 衝動的な行動や感情の揺れが目立つ軽躁状態では、ADHDなどと混同されるケースもあり、正確な診断には時間がかかることも多い
治療と心理カウンセリングの視点
双極II型障害の治療でも、中心となるのは薬物療法だ 気分安定薬(リチウム、ラモトリギンなど)が第一選択となる 抗うつ薬はうつ症状の軽減に有効なこともあるが、軽躁への切り替わりを引き起こすリスクがあるため、慎重な使用が必要だ
心理カウンセリングでは、まず相談者が自分の気分の変動パターンに気づくことが大きな支援の出発点となる 多くの相談者は「波がある」とは感じているが、それが「障害の一部」だとは気づいていない
気分の記録(ムードチャート)を取りながら、自分にとっての軽躁・うつのサインを明確にしていくことで、再発を防ぐための対応力が養われる 心理カウンセリングでは、衝動的な行動を起こす前の「予兆」に気づき、生活リズムを整えるサポートが求められる
さらに、自己否定感の強い相談者に対しては、「病気である自分を受け入れる」プロセスが不可欠だ 双極II型障害は性格ではなく、脳とこころのバランスの崩れによって起きている 自分を責めることは回復の妨げになる
長く付き合う、だからこそ理解が必要な障害
双極II型障害は、慢性の病として長期的な視点が必要になる 特効薬のような解決策はなく、気分の波と共に生きることを前提とした支援が求められる
しかし、その波はコントロール可能だ 自己理解と適切な支援があれば、再発の頻度を減らし、安定した生活を送ることも十分に可能だ
心理カウンセラーの役割は、「いつもと違う自分」に気づける視点を持たせ、そこから自分自身との付き合い方を見つけていく手助けをすることにある
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