2025年5月15日
前橋地裁第2刑事部合議係
4号法廷
事件番号:令和4年(わ)第334号
罪名:名誉毀損、虚偽告訴
被告人:新井祥子
裁判長:山下博司
書記官:金井美樹
<事件概要>
この事件は、元草津町議の新井祥子被告人が、黒岩草津町長に強姦されたと虚偽の記者会見や抗議を行い、強制わいせつの刑事告訴まで行った、名誉毀損、虚偽告訴事件である。飯塚玲児こと飯嶋辰昭被告人は、新井被告人の言い分に沿った電子書籍を執筆、販売し、共に記者会見を開き、黒岩町議への名誉毀損を担ったとされる。
問題が二人の犯行に留まらなかったのは、所謂「リベラル」「フェミニスト」とよばれる人々が、新井祥子被告人を悲劇のヒロインのように扱い、その言い分を一方的に全国、いや、全世界に発信したことである。そして、事件は黒岩町長一人の名誉毀損ではなく、草津町民、草津町全体が名誉棄損されたに等しい状態となった。
例えば、上野千鶴子は、黒岩町長を被害者、新井被告人を被害者として断罪し、新井被告人へのリコール運動自体を批判した。また、全国フェミニスト議員連盟は、リコール運動について、「性被害を告発したこと自体を否定する」人権侵害であると、抗議文を送った。問題は、新井被告人の主張が虚偽であるか否かの筈であるが。
性犯罪についての刑事法検討会委員という要職に在り、先日の性犯罪関連の刑法改正を主導した山本潤は、SNSで「レイプの町草津」というタグを広め、新井被告人へのリコールに反対した。草津町のフラワーデモにも立った。
ライターの北原みのりは、AERAにて、「町長にたとえ加害の事実がなかったとしても、この議会そのものが十分に性暴力でミソジニーだった」と訳の分からない批判を行った。
フラワーデモは、「セカンドレイプの町草津」と書かれたカードを持ち、新井被告人と共に草津町の街頭に立った。
虚偽告発が「勇気ある告発」として讃えられ、正当な反論が「セカンドレイプ」として批判されるという、倒錯した状況にあった。
冤罪被害を受けたのは、黒岩町長にとどまらず、草津町全体であった。その意味で、「草津町冤罪事件」と言える。
このような騒動の中、新井祥子被告人と飯嶋辰昭被告人は在宅起訴されたのであった。
この結末はどうなるか、擁護者たちはどのように幕引きを図るつもりか、注目された。

<法廷の風景>
13時の傍聴券の締め切りまでに、枚数に満たない人数が並ぶ。全員入廷できる様子であったが、それでも初公判より傍聴人が来ているとのことだった。入廷前、荷物預かり、金属探知機によるチェックが行われた。空席は、10数席あった。
黒岩町長も傍聴に訪れており、緑井の二席の関係者席のうち、一つに座っていた。その周囲にも、町長の関係者らしき人々が座る。
記者席は6席指定され、3人が座る。
黒岩町長は、関係者らしき人と、事件の報道は、唯一の女性議員に猥褻を行ったことにされた、と話していた。高橋ユキさんとも、「町長室を見せて、納得しても、ああいうニュースにした」と話している。海外マスコミの報道に不満のようだ。関係者らしき男性は、「向こう(新井被告人)の不利なことは書こうとしない」と話をしていた。
町長「決定的に解ったの、ボイスレコーダーですよ」
高橋「墓穴掘った」
町長「ええ」
また、町長は、検察官が風呂敷を使っていることに驚いていた。
検察官は、髪を肩まで伸ばした中肉の3~40代の女性一名。私服の上に、スーツジャケットを羽織っている。記録を机の上に積み上げ、ページをめくっている。
裁判長は、眼鏡をかけた短髪の痩せた中年男性。裁判官は、中年女性と、痩せた黒髪ロングの整った顔の若い女性。
13時30分から開廷予定であったが、被告人も弁護人も入廷しないため、職員が外に呼びに行く。弁護人と被告人は、入廷する。
弁護人は、白髪の眼鏡をかけた、がっしりした体格の初老の男性。
被告人は、髪をショートカットにした、眼鏡をかけた、小太り中背で丸顔の中年女性。白い上着、白い服を着ている。在宅起訴であるため、刑務官はついていない。
裁判長『開廷前、注意します。静かに。不規則発言は、退廷を命じます。よろしいか。開廷します』
裁判長が、冒頭にこのような注意をするのは異例だ。傍聴人による不規則発言が行われた、あるいは行われる恐れがあるということか。それほどまでに、被告人は恨みを買っているという事なのか。ともあれ、新井祥子被告人の公判は、10時30分近くに開廷した。
裁判長『本日、被告人質問から始めます。被告人、前へ』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『座って』
被告人『はい、失礼します』
被告人は、かつての議員先生らしく、丁寧に挨拶し、証言台の椅子に座る。
裁判長『ゆっくりはっきり大きな声で、重ならないように』
被告人『はい』
被告人の話し方は、決してゆっくりではなかった。また、弁護人からの質問には、非常に饒舌であった。
<ワクタ弁護人の被告人質問>
弁護人『ワクタから。この裁判、二つの罪』
被告人『はい』
弁護人『名誉棄損、飯塚との共謀ない。性的行為あったと』
被告人『はい』
どういう事だろうか。黒岩町長からの性加害について、まだあったと言い張っているのだろうか。
弁護人『虚偽告訴、記載の事実、真実と異なることは認める』
被告人『はい』
弁護人『聞いていく』
被告人『はい』
弁護人『学校出た後は』
被告人『短大卒業した後、桐生の製縫会社に勤めました。サンダースピリット、新聞社の事務経て、草津に移転しました。落選し、本選に立候補し、一回目の当選、議員の職得て、二回目落選。二期目、当選。保険会社と町議の仕事兼務していましたが、失職して、今は無職です』
弁護人『怪我のため、保険会社退職。肩の治療は』
被告人『いえ、思ったより深刻で、病院に針治療で通院しています』
弁護人『鈴木さんに、職場で誤解、セクハラされたと』
被告人『はい、サンダースピリットの上司から、体触られたり、キスされたり、セクハラ受けていました』
弁護人『重度のアトピー』
被告人『はい』
弁護人『何ですか』
被告人『顔とか、人目つくところ多いです。搔きむしると膿が出て、ジュクジュク湿った状態でした。毎日取り換えて掻きむしり、夜眠れない状態でした。絶望感で一杯で目が覚める日々送っていました』
弁護人『いじめ、差別は』
被告人『手を掻くのをまねされたり、気持ち悪いと。草津では化け物と言われました』
本当か?温泉町ならば、湯治に来るアトピー患者も見慣れていそうに見えるが。
弁護人『草津移住は』
被告人『40代の頃です』
弁護人『選挙と別』
被告人『はい』
弁護人『温泉、効く』
被告人『温泉治療に興味持ち、巡っていました。ハンセン氏病の治療でも有名と、湯治することにしました』
弁護人『よくなる』
被告人『はい。移住してからは毎日、改善して、アトピーよくなりました』
弁護人『感じたことは』
被告人『そうですね、とても驚いたことは、女性をとても蔑ろにする発言、目立ちました。あそこの社長の愛人はどこそこに勤めている。あそこの女将は愛人がいる。人のうわさ話と不倫が娯楽。外から来た人が疎外されている。昔は、物売ってもらえないほど差別されている。金額三倍も違う。湯治した人も差別にあって、旅館の掃除させられる。三代住まないと草津人とはいえない。今まで住んでいたところとは大分違うなと思いました』
弁護人『排他性あり、選挙に出た』
被告人『女性の議員出たことがないと、出てほしいと、恩返しになるのならと、立候補しました』
弁護人『2011年4月選挙』
被告人『はい』
弁護人『活動は』
被告人『まず女性議員ということありますけど、一町民から出た、町民目線の仕事がしたいと、しょこたん通信作り、意見反映できるようにしました。議会必ず出るようにしました』
弁護人『立場弱い人の状況、感じたことは』
被告人『草津は、スポーツ部会、多かったんですけど、町議会議員招待されるが、宴席に招かれるの男性ばかりで、女性は挨拶すると引っ込んでしまう。いるのは、仲井さん、コンパニオンさんで、男ばかり。若い男性の消防団員、裸踊り素っ裸でさせられる。女性がその場にいる意識がない。酒とSEXはやめられないと、飛び交う場所で驚きました』
傍聴席から、つぶやきが聞こえた。また、被告人の言を鼻で笑っていた。