同志諸君、ごきげんよう。 街がイルミネーションに浮かれ出し、山下達郎が脳内で流れ始める季節がやってきた。
そう、クリスマスだ。
そして、画面の前のあなたが密かに抱いている野望も、私は知っている。 「あわよくば、気になっているあの20代のあの子と、クリスマスイブに食事がしたい」
…待て、早まるな。スマホを置け。LINEの画面を閉じろ。 そのまま玉砕覚悟で突撃すれば、あなたの社会的地位と人間関係はクリスマスツリーの飾りよりも脆く砕け散るだろう。
相手は20代女性。こちらは、悲しいかな「おじさん」だ。 しかも日は「クリスマスイブ」。この意味の重さを理解しなければならない。
今回は、無謀とも言えるこのミッションを成功させるための、**最も効果的かつ、最も傷を浅く済ませるための「大人の生存戦略」**を伝授する。
心して読んでほしい。
前提:なぜあなたの誘いは「キモい」と思われるのか?
まず、残酷な真実を直視しよう。 20代女性にとって、関係性の薄いおじさんからの「イブ空いてる?」は、ホラー映画の導入部でしかない。
なぜか? それは、あなたの誘いに**「隠しきれない下心」と「重たいプレッシャー」**が透けて見えるからだ。
- 「俺のこと好きなのかな?」という勘違い
- 「あわよくばホテルへ…」という欲望
- 「高い店で釣れるだろう」という慢心
これらが少しでも滲み出た瞬間、あなたは「生理的にムリ」な存在へとカテゴライズされる。
では、どうすればいいか? 答えはシンプルだ。「恋愛イベント」を「グルメイベント」にすり替えるのだ。
作戦会議:成功率を最大化する3つのステップ
Step 1. マインドセット:あなたは「サンタ」ではなく「美食家の紳士」であれ
まず、当日に何かが起こる期待は捨てよう。ゼロだ。 あなたの役割は、彼女に「素晴らしい食体験」を提供し、スマートに帰宅させること。これに尽きる。
- NG行動: 若作りしたファッション、聞かれてもいない武勇伝、ボディタッチ、2軒目への執拗な誘い。
- OK行動: 清潔感のある服装、聞き役に徹する姿勢、美味しい料理への純粋な感動、早めの解散。
「この人といると美味しいものが食べられて、しかも安全で楽しい」と思わせることが、この作戦のゴールだ。
Step 2. 誘い文句:「たまたまイブになっちゃった」作戦
これが今回の核心だ。 絶対に「クリスマスイブだからデートしよう」と言ってはいけない。
誘うタイミングは12月上旬〜中旬。会話の流れで自然に切り出すのがベストだ。
【最強の誘い文句】
「〇〇さん、この前話してた『予約が全然取れない〇〇(人気店)』なんだけどさ、奇跡的にカウンター2席だけ空きが出たって連絡が来て。
ただ、日程がまさかの24日のイブなんだよね(笑)。
おじさん一人じゃさすがに行きづらいから、もし〇〇さんがまだ予定空いてて、美味しいもの食べるのに付き合ってくれるなら、一緒にどうかな?ご馳走するよ!」
<この誘い文句のポイント>
- 「店」が主役であること: 「あなたと過ごしたい」ではなく「この店に行きたい」を前面に出す。
- 「たまたま」の強調: イブを狙ったわけではなく、不可抗力であることをアピールして重さを消す。
- 「助けて」のスタンス: 「一人だと行きづらいから付き合って」と下手に出ることで、相手に断る罪悪感を与えず、OKする理由(おじさんを助けてあげる&美味しいご飯)を与える。
これなら、もし相手に彼氏がいたり予定があったりしても、「えー!そのお店超行きたかったです!でも残念ながら予定が…」と、角を立てずに断ることができる。あなたのダメージも最小限だ。
Step 3. お店選び:「予約困難店」または「カウンターのお寿司」一択
間違っても、カップルだらけの夜景が見える高級フレンチや、チェーンの居酒屋を選んではいけない。
- 夜景フレンチ: 重すぎる。「口説く気マンマンじゃん」と引かれる。
- チェーン居酒屋: 「私ってその程度の価値?」と幻滅される。
狙うべきは、**「女子同士でも行きたいけれど、自分のお金ではちょっと行きづらい、食事が美味しい話題の店」**だ。
- ベストな選択肢: なかなか予約が取れない人気のビストロ、話題の中華、あるいは清潔感のあるカウンターのお寿司屋さん。
特にカウンターはおすすめだ。横並びなら視線が合わないので緊張感が和らぐし、目の前の料理人に話題を振ることもできる。
「この店に行けるなら、相手がおじさんでもまあいいか」
そう思わせるパワーを持った店を予約できるかが、あなたの腕の見せ所だ。
最後に:聖夜の奇跡は「スマートな撤退」に宿る
もし、奇跡的にOKをもらえたとしよう。おめでとう。 だが、勝負はここからだ。
当日は、美味しい食事を楽しみ、彼女の話を笑顔で聞き、支払いをスマートに済ませたら、遅くとも22時には解散しよう。
「え、もう帰るの?」と相手が思うくらいでちょうどいい。 「終電まで…」なんて粘れば、せっかくの楽しい時間が台無しになる。
「今日は付き合ってくれてありがとう。最高のイブになったよ。気をつけて帰ってね」
そう言ってタクシーに乗せ、自分は逆方向へ歩き出す。 その背中こそが、大人の男の余裕であり、次のチャンス(普通の日の食事)へと繋がる唯一の道なのだ。
健闘を祈る。Good Luck.
