本日は米国の市場について書いてみる。
こちらでは抜粋版で簡素化して読みやすくなってます。
S&P総合500は終値としては2月15日以来の高値を付けた。四半期ベースでは情報技術が21.5%上昇したことを手掛かりに、2四半期連続で値上がりし、第1・四半期としてはナスダックが16.8%、S&Pが7%、ダウ工業株30種が0.4%それぞれ上昇した。単月としては、ナスダックは月間でも6.7%上昇した。
ナスダックが買われた背景としては、以前もTwitterに書いたが、消去法的に買われていることを記載した。
3月はSVBの破綻問題からCSの問題まで浮上し、一時パニックとなっていたが、株式の選別としてはナスダックの大型の銘柄に資金流入し徐々に他の銘柄、銀行株にまで資金が流れショートカバーを促している。
この資金の流れの中でなぜナスダックの銘柄なのかというお話であるが、単純に銀行の融資がなくても経営できるほどのグローバルな企業にお金が単純に流れたというだけである。
これは米国経済が根強い、一種に指標となっているRussell指数すらもその際売られている状況を見ると辻褄も合う。もちろん日本株は売られていたが世界的に投資対象としてはRussellと同等、それ以下であると認定されていると再確認もできた。
現在3月末の段階で多くのオプションが介在している4,065ドルというSP500の節目を上に抜けていったわけであるが、これは何か?ということだが、単にボラティリティが低下するとマクロ系のファンドやCTAが動き出すので、環境ではなく、実態のフローの要因はこれであろう。ここについては数週間もすればBloombergあたりでニュースにでもなるはずである。
では、ここから先のお話が個人投資家として気になるところで、要は4月以降の見通しである。そこについて書いていきたいと思う。
まず目先のターゲットとして、4/12にCPIが発表されるが、ここがコンセンサス以下になるようであれば5月の利上げが停止されるコンセンサスが形成されるので、ひとまずリスクオンの相場が持続されると見るのが1つの見方であろう。
ただし、これに乗じた形でカバーとFで相場を強く持ち上げすぎると5月FOMCにてパウエルがカードを切りづらくなるので注意をしておこう。
最低でもCPIは5%を1つのラインとして見ている節があるので、この辺りは見ながら相場と向き合うべきであるが、この数年のバブル相場のみ経験している人がワクワクするのはわかるが、それは当面こないので、過度な期待はしないように。
あくまでもレンジで抜くだけでよしとすべきなのは、米国自体はオーバーキルの瀬戸際にいることを理解すべきであり、短期的にマネーサプライが緩み始めた形で押し目で資金が流れているだけだからである。制御不能となれば皆が想像している形となるであろう。
1つ流れは去ったがSVBの破綻の大きな問題点のその先について非常に重要なので書いておく。要はインフレと銀行リスクのお話である。
まずFED自体は、引き締め自体はする必要はもうなく、銀行の破綻問題から勝手に景気が締まっていくと考えているはずなので、銀行を調査し、貸出が減り景気が悪くなるのとインフレとのバランスを考えながら市場と対話をしながらインフレ対応をするであろう。
この銀行破綻問題の根源は運用失敗がミクロ要因ではあるものの、インフレ対応により金利を急激に上げたこと、勿論コロナ対応によるFEDの過度なバランスシート拡大に起因するものだが、FEDの対応はFACTベースではいつでも間違いだらけであり、遅すぎるということは常に知っておいて欲しい。
今回破綻した銀行は一部の地銀であるが、調査し、高金利に耐えられない銀行が出てきても全くおかしくないということは片隅に置いておこう。
米国債の金利は高い状況であるが、市中の銀行金利は上がっておらず、移動してきたマネーややがて気付くであろう国民の預金引き上げのリスク、絞れば絞るだけ高金利は銀行も顧客をも同時に破綻をさせていくのは経済的には当たり前のことである。そしてFED自体もそのリスクは理解しているであろう。マネーサプライが増え続けないと維持できない中央銀行依存の欠陥システムともいえるからである。
多くの銀行は、定期ではない預金に対する金利を上げておらず、政策金利は4.75%まで上がっているのに、アメリカの銀行口座にお金を預けていても金利が付かない。国民は徐々に気付き始めており、そして銀行からお金がなくなってゆき、銀行がお金を貸せなくなると小規模事業者の預金が減り、銀行が更に苦境に陥る。
相場としては、ここまではインフレ予想をベースに債券市場を見ながら相場と付き合ってきたであろうが、経済動向の予想というよりは今後は金融危機の予想はできないまでも意識するフェーズである。
現に高金利を発端とした銀行破綻がFACTベースで起きてしまったからである。
銀行内の債券トレーダーも長期に渡り金融緩和状態の相場しか経験してこなかったために、対応すらできない人間、リスク管理ができない銀行すらあるということが証明されたわけである。
よく過去のリーマンショックと比較されるが、その前にベアスターンズが破綻し、6ヶ月の猶予期間があった。
リーマンブラザーズが破綻した週は、実は株式市場は上昇に向かっており、いつも間違うFedは利下げをしなかった。なぜなら、インフレが大きく懸念されており、声明文にもその通り書かれていた。
実際は1年半前から住宅価格のピークを迎えていたが、バブルの終了に気付かない投資家も数多く、急に終焉を迎えた。
現状アメリカは、銀行危機とインフレという二重苦に迫られたアメリカ経済については、着地が非常に難しく、SVBの破綻がアメリカ経済に対する高金利の影響を明らかに物語っているにもかかわらず、ゲームの終了を読み取れない参加者がまだ大勢残っている現状はよく考えておいた方が良い。
そのような現状をわかりながら、日本においても、つみたてNISAなどという最初から詰んでいる商品に、自分で考えることも放棄させ、何もせずに寝ていれば金が儲かるという妄想の代償にかられている。
問題となっている米国のチャールズシュワブの事業を知らない人間は、中身を理解し現状起きていることがわかれば早めに気付けるであろうが、数年前までこれを正とし日本ではそれをマスにと囃し立て、導入を試みたりした事業者は既にオワコン化しているわけで、現状を伝えるべきである。
投資の裾野を広げる行為は、考えさせることを放棄させたり妄想パッケージの押し付けではなく、本来経済、企業、事業活動の興味を訴求させることに意味があり、株式であれば根源から教えることをやっていかねば小手先では何も変わらないのである。