今回はらんぷ氏が上梓した『アダルト大全』のレビューをお送りしたい。まずは内容を紹介する前に率直な感想を申し上げよう。
本書の印象は、コラムのタイトルにもあるように、らんぷ氏という真っ当なビジネスパーソンによる、真っ当なビジネスパーソンに向けた、真っ当なエロ遊び指南書であるというものだ。一見して、エロ遊びのガイドブックに他ならないにも関わらず、そのような印象を読み手に与えるのはなぜだろうか。内容を紹介しつつ、その理由について解説していきたい。
まずは本書の概略を紹介しよう。本のタイトルが示すとおり、ネットを含めたエロ遊びをコンパクトに紹介するガイドブックである。ここで紹介されているエロ遊びは、本コラムのテーマであるハプバーから、風俗まで幅広い。エロ遊びが網羅的に紹介されているという意味では、本のタイトルどおりの大全である。
もっとも、個々の遊びの案内については、概要レベルの記述に留まっている。特にハプバーについての記載は物足りないと言わざる得ないが、実態を秘匿することで成立しているため、活字で詳細を説明することは困難であろう。
続いて、本書を引用しつつ、本書がビジネスパーソンによるビジネスパーソンのためのエロ遊び指南書である点を解説していこう。
まずは冒頭からの引用である。私はらんぷ氏が非モテだとは思わないが、これは一つのキャラ設定のようなものであろう。非モテであっても、本書を読めば遊べるようになるという、一種のマーケティングであると考えられるのだ。読者の心理的ハードルを下げるための巧妙な戦略であり、らんぷ氏が非モテなどではなく、ビジネスパーソンであることを窺わせる文章だ。
次にオンラインマッチングサービスのTinderを紹介しつつ、以下のようにコメントしている。鋭い分析であると思う。人と食事することは難易度の高い振る舞いであることを経験上知っていなければ出てこない発想である。つまり、見ず知らずの他人同士が一緒に食事をして、信頼関係を構築するなどということは、ビジネスの場においても極めて難しいのだ。(したがって、接待用の夜のお店やゴルフ、マージャンなどの手段を使う)
一度きりの関係で女性と遊ぶのと、継続的に食事をする関係を作るのでは、ターゲットと手段を間違わない限りにおいて、前者の方が圧倒的に容易なのである。
らんぷ氏は、このような文章で、食事の方が簡単であると勘違いしてしている男性に気づきを与えて、軌道修正をしてくれるのだ。
裏を返せば、遊び目的の女子が多いTinder にターゲットを絞り、遊ぶことだけに集中し、必要なコストさえかければ、自ずと目的は達成されるということだ。集中と選択、コストとリターンの発想である。この点もビジネスパーソンと極めて親和性が高い。
つまり、Tinderでただ女子と遊ぶだけなら、要求される水準はそう高くないのだ。むしろ、女友達や彼女など対等に継続する関係を作ろうとして、下手に食事などに誘うから、難易度が高くなり、失敗してしまうのである。目的と手段と努力の設定され間違わなければ確実に結果は出るということだ。コンサルタント的な発想であるとも言える。
エロ遊びを図式化したプレゼン手法もコンサルタント的である。話は逸れるが、以前にこの図式をTwitterで紹介した時は、ノンハプバーというカテゴリで店名の表記があったもとの記憶しているが、何らかのクレームにより、今回はカテゴリごと削除された。ノンハプバーや界隈バーはアングラ遊びのひとつであり、今後はコラムでも取り上げる予定である。
最後にらんぷ氏は以下のように語る。筆者もこの主張に強く同意する。ハプバーを含めたエロ遊びなどは、次のステージに進むための手段に他ならないのだ。ビジネスパーソンとしてのスキルさえ備わっていれば、遊べるかどうかは重要な課題ではないのである。仕事を頑張り、結果として、無理をせずに遊べるというのが理想的な姿ではないか。
また、らんぷ氏はエロ遊びを紹介しておきながら、本書の結びで、エロに対して、以下のように警鐘を鳴らす。遊びを尽くした人間であるからこその言葉であろう。その意味でも、真っ当に働くビジネスパーソンに向けた本として、お勧めのできるものだ。今後ともらんぷ氏の活動については注視していきたい。