【第1回】ハプバー民の意識調査について
ハプガチ!
ハプバー民の意識調査について
先日ハップ・マンによって「ハプバー民の意識調査」が行われたので、今回のコラムでは結果を考察していきたい。
もっとも、りょーちん氏からは説明の誘導性について疑義が呈されており、私も誘導性や恣意性について同意するところである。
したがって、そのような疑いのある設問については、その有意性について付言することとした。
設問解説
さっそくではあるが、個別の設問について、その意図と回答結果について分析していきたい。
設問①
最初の設問は、あまりにも具体性を欠く内容であり、ハップマンに対する印象だけで回答がなされたものと考えられる。
ここでは7割以上がハップマンに対してネガティブな感情を抱いているという事実が提示された。
設問②
まずは設問の誘導性について解説する。
本来は待ち合わせの来店することが禁止されているはずであるという、ハップマン個人の前提や意見が設問に反映されており、一定の誘導性が認められる。
「待ち合わせして、来店するのは?」
・賛成
・反対
という設問が適切であったと考えられる。
もっともルールについては店に依存するため、そのような振る舞いが許されるかどうかという個人的な意見が表明されるべきだろう。
それでこその意識調査であるからだ。
アンケートの結果ついては、待ち合わせ来店については半々の意見であったように思う。
待ち合わせがどのような状況を想定しているかは定かではないが、Twitterで事前に知り合ってから店で対面したり、店で知り合った人とTwitterで繋がったうえで、店で再会するような事例が考えられる。
このような状況を「ポストハプバー」と私は呼称しコラムでも取り上げてきた。
ところで、興味深いのはパピヨン阿部店長に対する質問とその回答である。
質問というよりは、Twitterで繋がっていないと遊べない現状をどうにかするよう阿部店長に懇願するものであるが、それに対する阿部店長の応答が面白いのだ。
そのような状況は店長ではどうにもできないので、「自分でどうにかしろ」というもっともな回答であるが、Twitterをやっていない人のほうが安心であり、後腐れもないと評している点は注目すべきであろう。
私もこの見解に同意するものである。
Twitterを含めたSNSが社会に及ぼす影響は不可避であり、現実的には、個人として如何に向き合うかという意識の問題であるからだ。
(もっとも、SNSやGAFAの問題については、別途、社会的に論じされるべきものではある。)
設問③
いわゆる「店外オフ会」の是非を問う内容である。
私の知る限り、相互フォローなどTwitterで繋がることは黙認されているような風潮ではあるが、DMで連絡を取り合って、店外で客同士が会ってオフ会をすることを認めている店は存在しないと考えられる。
カラーズのみ連絡先交換を認めているが、それは店頭の面前での当事者の同意に基づくものである。
この点、7割の意見は店外オフ会について反対を表明するものとなった。
もっとも、設問については、Twitterで繋がることの是非と店外オフ会の是非を区分できていないため、この点は疑問に残るところではある。
そう考えると、以下のような設問が適切であったと思われる。
「店内で知り合った人と店外オフ会をやることは?」
・賛成
・反対
設問④
続いては、Twitterで繋がることの是非を問うものである。
Twitterで繋がることの定義が、
- 相互フォローなのか
- DMでのやりとりなのか
不明確である点を問題として指摘したい。
またTwitterで繋がることが、
- 連絡先交換ではないので問題ないと考えているのか
- 連絡先交換自体を問題ないと考えているのか
この設問では明らかになっていない。
したがって、以下のような設問が適切であったと考えられる。
「店内で知り合った人と相互フォローによりTwitterで繋がることは?」
・賛成
・反対
「店内で知り合った人とTwitterのDMで連絡を取ることは?」
・賛成
・反対
そうはいっても、6割がTwitterで繋がることについて問題ないと回答しており、昨今の状況を反映しているものと考えられる。
設問⑤
来店ツイートに関する是非を問う内容である。
待ち合わせ来店について、反応が二分した設問②と関連するものである。
4割は否定的な反応をしており、過渡的な状況であることが伺える。
設問⑥
法的なリスクを回避するために、店内の出来事を公にすることは各店舗とも明文上で禁止しているのはないかと、個人的には考えている。
しかしながら、6割弱が店内の出来事をツイートすることについては問題ないと考えているようである。
おそらくではあるが、店名を秘匿し内容を取捨選択すれば、直近の出来事であってもツイートしても問題ないと考えている人が増えているのではないだろうか。
設問⑦
設問の意図が明瞭であるように思う。
「店がルール守れないなら店を変える」という選択肢が意味するところが、
- 「行く店を変える」ことなのか、
- 「店の態勢を変えさせる」ことなのか
が一見して明らかではないからだ。
また「ルール違反」の具体的な行為についても示されていない。
回答結果についても、何らかの現状を反映するようなものではなかったように思う。
質問の意図を斟酌すれば、以下のような設問が適切であったと思われる。
「連れ出しや待ち伏せなどのルール違反者について、店が黙認している場合どのように対応するか」
・行く店を変える
・やむないと考える
設問⑧
設問③では「店外オフ会」についての是非であったが、本問は「店内オフ会」に関する内容である。
この設問については、誘導性を指摘しなくてはならない。
「店内オフ会」が規約違反であるかどうは定かではないからだ。
以下のような設問にすべきであったといえる。
「Twitterで知り合った人と店内オフ会をやることは?」
・賛成
・反対
しかし3人以上での来客を断っている店が多いことから、その意味では「店内オフ会」は、ほとんどの場合、明文上禁止されているとも考えることもできよう。
ところで店内オフ会を繰り返したところ、オーナーから目を付けられ、実質的に界隈出禁に追い込まれてA氏の事例もある。
結果としては、わずかながら「店内オフ会」に反対が賛成を上回った。
「店内オフ会」は「店外オフ会」に比べて心理的抵抗感が少ないといえる。
設問⑨
まず設問の不備を指摘したい。
「マナー」「ルール」が意味するところが定かではないからだ。
具体的には、
- 狭義に店が明文化している規約を示すものなのか
- 広義に業界全体の不文律や暗黙(それがある前提で)のルールまでを示すものなのか
が明らかではないのである。
このような欠陥をはらんだ設問であるため、回答結果についても、特段言及するところはない。
設問⑩
設問につき、極めて顕著な誘導性を指摘できる。
商材が怪しいということを前提とした内容になっているからだ。
そのため本問は無効であるとするのが相当である。
個人の意見としては、以下のコラムで取り上げたように、商材については有効性を認める立場である。
個別店に関する情報がない状況では、1~2回の来店分のコストは法外とは言えないからである。
以下に紹介するものは、もぐにん氏の商材である。
設問⑪
「マナー」や「ルール」の定義が定かではないので、設問⑨と同様の欠陥が指摘できよう。
回答結果によれば、時代の変化に左右されない普遍的なルールがあるとするのは、2割以下の少数に留まった。
個人の見解を述べれば、重要なのは、何を保守すべきるルールとするかの問題であると考えている。それは同時に「ハプバー」という言葉の定義に関する問題でもある。
また追加質問でいうルールは、当初の質問で暗示された普遍的なルールではなく、明文的な契約であるように思われる。
この点を混同させているので、恣意的な質問であると言わざるを得ない。
イデオロギー的な色彩が強いが、以下のような設問が適切であったと考えられる。
「明文化された規約以外にも、不文律や暗黙の了解などを遵守すべきであるか?」
・賛成
・反対
「不文律や暗黙の了解事項などが時代によって変わっていくことは?」
・賛成
・反対
設問⑫
設問には誘導性や恣意性は認められない。
来店時に有利に立ち回れることを目的としてTwitterやスペースを行うことについては、否定的な意見が多い結果となった。
設問⑬
ルールの定義が明確ではないので、本設問も適切ではない。
追加の質問に対しても、Twitterで繋がることと、連絡先を交換することを併記してしまっているため、回答者を困惑させる内容となっている。
前述したが、「Twitterで繋がることを連絡先交換とみなすかどうか」は、現状では店の運用に大きく依存する事項であると考えられる。
結局のところ、店内で知り合った人とTwitterで繋がることの是非を問う、設問④と重複した設問である。
設問④によれば、個人の信条として、店内での遊びとTwitterを繋げることについては、6割が許容しているという現状が興味深い。
これは質問②で取り上げたように、「Twitterで繋がらないと遊べない」という意見と関連性が高いものと思われる。
つまり、
- 「店内で遊べないからTwitterで繋がる」
- 「Twitterで繋がっていないから店内で遊べない」
という円環構造になっていると考えることができるからだ。
設問⑭
本設問は遊び方のスタンスを問う内容であると考えられる。
8割程度の人が一期一会を選択しており、回答結果は性別に関係ないようである。
設問⑮
設問⑭と重複する内容である。
リピート狙いも3割程度いるようであるが、Twitterで繋がることには消極的であるようだ。
設問⑯
出待ち、待ち合わせ、連絡先交換については、5割程度の人が店に影響がないという認識を持っているようだ。
そのような行為がすでに横行している現状を示したものであるとも考えられる。
まとめ
おおむね、Twitterと店との関係性に着目したアンケートであったように思う。
しかしTwitterをやっているハプバー民を回答者としているため、結果にはバイアスがかかっていたことは否定できないだろう。
そのような事情を差し引いても、昨今のTwitterとハプバーの近接性の高さは指摘できよう。
現状は過渡期であるが、設問⑬で示した通り、遊びないからTwitterで繋がり、Twitterで繋がらないから遊べないという構造が成立しつつあるようにも思える。
今後、状況がどう推移していくかに注目が集まるところだ
最後に、今回の意識調査との関係は不明であるが、相葉氏のツイートを紹介し結びとさせていただきたい。
【了】
【更新履歴】2022/7/31