「RSIが70を超えたら売り、30を割ったら買い」
FXを始めて最初に覚える「逆張り」の型は、たぶんこれだと思います。ところが実際にやってみると、70を超えてからさらに伸びる。30を割ってからさらに落ちる。
教科書どおりに入っては損切りされ、
「期間を9にしたほうがいい」
「閾値は80/20が正解」
「RSIは順張りに使うものだ」
と情報を渡り歩いているうちに、いつの間にか自分が何を根拠にトレードしているのか分からなくなる。そんな経験はないでしょうか。
私自身、投資を始めた頃にまったく同じ道を通りました。そして20年経った今、はっきり言えることがあります。
RSIの正解パラメーターは、感想やポジショントークではなく、データで決めるべきものです。
本記事では、RSI逆張りをドル円の過去約20年分のデータで、延べ約2,563万通りのパラメーターの組み合わせから検証しました。検証には自作のEA(自動売買プログラム)とMT5のストラテジーテスターを使い、4つの時間足×2つの決済方式の8条件すべてを同じ判定基準で採点しています。
先に結論を一言で言うと、RSI逆張りは「時間足を間違えなければ」20年トータルでプラスになりました。 8条件のうち5条件で合格設定が見つかっています。
ただし、教科書の「14・70・30」は8条件すべてで不合格でした。そして、勝ち残った設定の中身を見ていくと、「逆張り」という言葉の意味を考え直さざるを得ない結果が出ています。
この発見は、RSIだけでなく他のオシレーター系指標を使う方にも応用できるはずです。
自己紹介
申し遅れました。金子剛と申します。
- 日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト
- FXコンテスト優勝(Forex.com開催)
- 投資関連セミナー講師
- 海外FX業者MYFX Markets様にて記事連載中
- 投資歴約20年。裁量・自動売買、スキャルピングから長期投資まで幅広く経験
これまで数百のEA(自動売買プログラム)を自作しては検証を繰り返してきました。本記事も検証専用のEAを自作し、MT5のストラテジーテスターで実施しています。
本記事は「移動平均線クロス」「ボリンジャーバンド逆張り」に続く検証記事シリーズの3本目です。シリーズを通じて検証条件と判定基準を揃えているので、手法同士を同じ物差しで比べられます。
検証の全体像
まず、何をどう検証したのかをすべて公開します。条件を隠した検証結果に価値はないと考えているからです。
検証したロジック
RSI逆張りには「閾値を抜けた瞬間に入る型」と「閾値の内側へ戻ってきたら入る型」の2種類があります。本記事で検証したのは後者の回復型です。

エントリーと決済の定義は次の通りです。
- 買いエントリー:RSIが売られすぎ閾値を下回ったあと、閾値の内側(上)へ抜け戻した足の終値で買い
- 売りエントリー:RSIが買われすぎ閾値を上回ったあと、閾値の内側(下)へ抜け戻した足の終値で売り
- 決済方式① TP/SL決済:エントリー時に固定pipsの利確(TP)と損切り(SL)を置き、どちらかに触れたら決済
- 決済方式② 中央線回帰決済:買いはRSIが50を上抜けたら決済、売りはRSIが50を下抜けたら決済。TPもSLも置かず、決済はRSIにだけ任せる。中央線は50に固定し、最適化しない
- ポジション:常に1つまで(保有中は新規シグナルを無視)。ロットは1.0(10万通貨)固定
- 時間フィルターなし、週またぎ保有あり
突入型(閾値を外側へ抜けた瞬間に入る型)は今回検証していません。理由は、回復型のほうが「反転を確認してから入る」という意味でエントリータイミングとして一般的だからです。
突入型は今後の更新で扱う予定です。
検証条件
バックテストの条件は以下の通りです。
- 通貨ペア:USD/JPY(ドル円)
- 検証期間:2006年7月1日〜2026年6月30日(約20年)
- 時間足:5分足・30分足・4時間足・日足の4本
- バックテストモデル:1分足OHLC
- 初期証拠金:100,000USD、レバレッジ100倍
- スプレッド:0.3pips固定
- 最適化手法:TP/SL決済は遺伝的アルゴリズム、中央線回帰決済は総当たり(理由は後述)
パラメーターの探索範囲は次の通りです。RSI期間と2つの閾値は8条件すべてで共通です。
- RSI期間:2〜50(1刻み、49通り)
- 買われすぎ閾値:55〜90(5刻み、8通り)
- 売られすぎ閾値:10〜45(5刻み、8通り)
- SL・TP(TP/SL決済のみ):10刻み。時間足ごとに現実的な値幅へ調整。5分足は10〜200pips、30分足は50〜400pips、4時間足は50〜500pips、日足は50〜700pips
組み合わせ総数は、TP/SL決済が5分足1,254,400通り、30分足4,064,256通り、4時間足6,635,776通り、日足13,660,416通り。中央線回帰決済はSLとTPを持たないので4本の時間足すべて3,136通りです。8条件の合計は25,627,392通り(約2,563万通り)になります。
RSI期間の下限が2なのは、探索を横着したからではありません。RSIは「値上がり幅の平均÷値下がり幅の平均」から計算するので、期間1では上昇した足で分母がゼロ、下落した足で分子がゼロになり、RSIは0か100しか取れなくなります。
つまり、期間2がRSIという指標として意味を持つ最短です。この点は後の考察で効いてきます。
遺伝的アルゴリズムとは?
TP/SL決済の4条件は、組み合わせが最大1,366万通りと膨大です。これを1つずつ総当たりでテストすると非常に長い時間がかかります。
そこで使うのがMT5に標準搭載されている「遺伝的アルゴリズム」です。生物の進化を模した最適化手法で、仕組みはシンプルです。
- まずランダムに選んだパラメーターの組(=個体)を多数テストする
- 成績の良かった組を「親」として選び、親同士のパラメーターを掛け合わせた「子」を作る(交配)
- 時々ランダムな変化も加える(突然変異)
- この世代交代を繰り返すと、テストが「有望なパラメーター領域」に自動的に集中していく
つまり、有望な領域を絞り込んでバックテストできるということです。本記事では、TP/SL決済の各条件について「◯通りから最適解を検証」と表記します。全パターンを回したのではなく、有望な領域を集中的に探索した結果だからです。
一方、中央線回帰決済は組み合わせが3,136通りと少なく、総当たりでも現実的な時間で回りきります。そのため中央線回帰の4条件は遺伝的アルゴリズムを使わず、全3,136通りを総当たりで検証しました。こちらは「見落とし」が原理的に存在しません。
判定基準
合格ラインは3つあります。すべて満たした設定だけを合格としました。
- プロフィットファクター(PF)1.2以上:PF=総利益÷総損失。1.0超で黒字ですが、1.2以上でようやく実戦を検討できる水準です
- 最大ドローダウン25%以内:資金の最大落ち込み幅。25%を超えると精神的に耐えるのが困難です
- 取引回数100回以上:回数が少ない好成績は「たまたま」の可能性が高く、統計的に信頼できません
さらに合格設定については、パラメーターを少し動かしても成績が崩れないかという「ロバスト性(頑健性)」を、感度分析・独立した収束・複数の型の共存という3つの証拠で判定しています。詳しくは有料部分で扱います。
検証結果の大枠:使えるのか、使えないのか
結論から言います。RSI逆張り(回復型)は、4時間足と日足で20年トータルのプラスになりました。 8条件のうち5条件で合格設定が見つかっています。
ただし、5分足はTP/SL決済で1,409パス中2件、中央線回帰で3,136通り中6件と、ほぼ全滅と言っていい水準です。8条件の結果を一覧にしたのが次の表です。

この表だけでも「時間足で決まる」ことは読み取れると思います。ここから、無料部分で公開してよいと判断した発見を2つお伝えします。
どちらも、有料部分を読まなくても持ち帰る価値があると私は思っています。
発見①:逆張りは、時間足を上げるほど生き残る
合格設定の件数を時間足順に並べると、きれいな階段になります。TP/SL決済では5分足2件(1,409パス中)→30分足57件(1,882パス中)→4時間足289件(2,513パス中)→日足594件(2,509パス中)。
中央線回帰でも5分足6件→30分足85件→4時間足329件と同じ向きに増えます(日足だけ54件と減りますが、これには別の理由があり有料部分で扱います)。
移動平均線のクロスでは5分足にも合格がありました。

ところが逆張りは違います。前回のボリンジャーバンドの逆張りでも5分足は全滅で、4時間足が主戦場でした。

今回のRSIでも同じ形が出たことで、私の中では「短い時間足の逆張りは構造的に不利」がほぼ確信に変わりました。 逆張り2手法で独立に同じ結果が出ているからです。
なぜそうなるのかは有料部分で詳しく書きますが、ヒントを一つだけ。
5分足の中央線回帰で最も稼いだ設定は、20年で15,481回取引して純損益プラス47,903USD、1取引あたりの期待利得は3.09USDでした。これは1pipsに満たない額です。
「スプレッドやスリッページがほんの少し広がるだけで消えるエッジを、逆張りは短い時間足で拾わされている」ということです。
発見②:純損益1位を信じると、この手法を捨てることになる
MT5の最適化結果は純損益の大きい順に並びます。多くの人は上位だけを見て「使える・使えない」を判断します。
ところが今回、8条件のうち4条件で純損益1位が不合格でした。特に中央線回帰は4条件中3条件で1位が不合格です。
典型例が30分足の中央線回帰です。純損益1位はRSI期間3・閾値70/15で、20年で23,085回取引して純損益プラス43,895USD。ところがPFは1.04、1取引あたりの期待利得は1.90USDしかありません。
一方、合格ベストは純損益で19位のRSI期間44・閾値65/30。純損益は26,969USDと1位の6割ですが、PFは1.25、最大ドローダウンは9.32%、取引回数は518回。私が実際に運用資金を置くなら、迷わず後者です。
「取引回数が多い=稼げそう」という直感は、逆張りではまったく逆に働きます。回数の多さは、薄いエッジをコストと引き換えに何度も拾わされている証拠になりやすい。
5分足の全滅と、30分足の「1位が不合格」は、実は同じ現象の裏表です。短い時間足の逆張りは、勝てないのではなく、勝ち分がコストに削られてゼロに近づく。
そして、なぜ4時間足以上ではそうならないのか、そもそも生き残った設定は本当に「逆張り」なのか。この答えを、有料部分で数字とともにお見せします。
有料部分で得られるもの
有料部分では以下を公開しています。
- 8条件すべての純損益TOP10と、合格設定の上位一覧(TP/SL決済4条件・中央線回帰4条件)
- 時間足別・決済方式別の詳細考察:なぜ4時間足と日足で機能し、5分足で消えるのか。テクニカルアナリスト視点の解説
- 「逆張り」の正体:勝ち残った設定のTPとSLの比率から見えた、この手法が実際にやっていること
- ロバスト性(パラメーター安定性)の分析:感度分析・時間への翻訳による独立した収束・複数の型の共存の3つの証拠で、条件ごとに最高評価/高評価/低評価を明示
- カーブフィッティングの見抜き方:純損益1位なのに期間を1つ動かすだけで損益がマイナスへ転落する設定を名指しで解説
- RSI期間2という結果が意味するもの:私が外部情報なしに再発見した、ある有名な短期逆張り設定との一致
- 実運用の推奨設定(第1候補・第2候補)と、各候補の向き不向き、非推奨条件の正確な敗因
- 検証の限界の開示と、今後の更新予定
価格と販売条件
本記事の価格は次の通りです。
- 先着3名様:7,980円
- 4名様以降:9,980円
本記事は今後も更新を予定している「育つ記事」です。突入型の検証、探索範囲の拡張など、内容が充実するほど価格を見直す可能性があります。購入後の更新は追加費用なしで読めるので、早めのご購入が最もお得です。
2大特典(未購入の方も受け取れます)
本記事には2つの特典を用意しました。1つ目はご購入の有無にかかわらず受け取れます。
特典①【どなたでも】5分足×TP/SL決済の生データ(Excel)
本記事を感想付きでXでシェアしてくださった方には、ご購入の有無にかかわらず、5分足×TP/SL決済の最適化結果(全1,409パス)の生データをお渡しします。8条件で最も合格が少なかった条件です(1,409パス中2件)。
内容の内訳は次の通りです。
- 1,409パスすべての純損益・PF・最大ドローダウン・取引回数・期待利得
- 各パスのRSI期間・買われすぎ閾値・売られすぎ閾値・SL・TP
- 成績上位のパラメーターがどの範囲に分布していたか(純損益1位はRSI期間2・SL10pips・TP190pipsで10,865回取引してPF1.09、といったことがご自身で読み取れます)
私の解釈を挟まず、ご自身の目で確認していただけます。「5分足でRSI逆張りをやるならこの組み合わせは選ばない」と決められるだけでも、守れる資金があるはずです。
特典②【ご購入者限定】検証EA(.ex5)+全条件の生データ(Excel)
ご購入者には、次の2点をお渡しします。
- 【実戦検証用】本検証で使用したオリジナルEA(.ex5):ご自身のMT5で同じ検証を再現できます。決済方式(TP/SL・中央線回帰)とエントリー型(回復型・突入型)はパラメーターで切り替えられるので、本記事で未検証の突入型もご自身の手で回せます
- 【超詳細】過去約20年分の詳細検証結果データシート(Excel):8条件すべてのバックテスト生データ(総計約2万パス)をお渡しします
私が20年分を回した環境をそのままお渡しするので、次の一手はご自身の手で確かめられます。本記事の結論を出発点に、その先まで踏み込めます。
受け取り方(共通)
特典の受け取り手順は次の3ステップです。
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