(追記・修正歴)
2022年4月21日 精神科追記・修正
2022年5月31日 精神科追記・修正
2023年5月20日 美容外科以外のの自由診療追記
精神科、麻酔科、形成外科、美容外科、美容外科以外の自由診療について、将来性をデータを交えてまとめました。
精神科
忙しさ ハイポ ★☆☆☆☆ ハイパー
手技の量 知識重視 ★☆☆☆☆ 手技重視
女性の働きやすさ 最低 ☆☆☆☆★ 最高
将来性 将来性なし ☆★☆☆☆ 将来性あり
資格取得にかかる年数 3年以上
給料 低い ☆☆☆★☆ 高い
QOL 低い ☆☆☆☆★ 高い
忙しさ
精神科は忙しくない診療科です。初診は予診を合わせて1時間以上かけることもありますが、それほど数は多くありません。精神科の入院患者さんは慢性期の方が多く、病状は急変しないため、入院患者さんの診察は1週間に1回という場合が多いです。医者が直接行う検査もありません。大きな病院ではECT(電気痙攣療法)を行なっていることがありますが、一人30分程度なので、数人行ってもそれほど2、3時間で終わります。また、急変もほとんどないため、土日に主治医が呼び出されることはありません。当直も基本的に寝当直となります。
ただし、精神科が楽なのは単科精神病院においてのみです。総合病院勤務の精神科医の場合、救急外来にきた精神疾患患者、他科の夜間せん妄などの対応が必要になります。また、精神科の患者が身体疾患を合併した場合に、他の科の医者に頭を下げて治療をお願いする必要があるのです。なぜなら、精神疾患をもつ患者は他の科において、扱いにくい患者と思われているため、受け入れが難航するからになります。
手技の量
手技は基本的にはないです。あえて言うなら、ECT(電気けいれん療法)くらいでしょう。
女性の働きやすさ
精神科は女性も働きやすい職場です。実際女医さんもたくさんいます。週4日勤務も可能ですし、17時丁度に帰宅できるので、子育てをしながら勤務もできます。手技がなく、力も必要ないので、体の小さい女性も働くことが可能です。
将来性
出典:精神保健医療福祉のデータと政策
精神科の将来性は悪いと思います。なぜなら、上図のように精神疾患の患者数は増加しているにもかかわらず、入院患者は減少傾向にあるからです。精神科の薬の進歩により、入院せず外来通院が可能になる人が増えており、入院するとしても入院期間が短くなっているのです。また、長期入院患者の死亡退院も多くなっています。国としても精神科の入院患者を減らす方向に政策を作っており、この傾向は今後も続くと思われます。「医療保護入院については将来的な廃止も視野に入れ、縮小する方向で検討する」というニュースがあったくらいです。しかし、すぐに日本精神科病院協会の反発により、「将来的な継続を前提とせず、縮減に向け検討」と表現は修正されました。
(追記:2022年4月21日)
2022年5月30日のニュースによると、「将来的な継続を前提とせず、縮減」との文言も有識者検討会の報告書案から削除されました。
(追記:2022年5月31日)
入院患者の方が外来患者よりも保険点数は大きいので、精神科病院の経営は苦しくなっているのです。将来的に、精神科医の仕事は外来や訪問診療メインへと変わってくるでしょう。なので、現状の精神単科病院勤務のように楽な仕事ではなくなってくると推測しています。ただ、最近ではTMSといううつ病の治療法が普及してきており、自由診療領域で市場が伸びています。TMSはアメリカのFDA認可(日本の厚労省に相当)を受けており、日本でも治療抵抗性のうつ病には保険適応(1回1200点)があるエビデンスのある治療法です。ただし、TMSクリニックで働けるのは精神科でなくてもどの科でも大丈夫なので、精神科だからといって優位性があるわけではありません。
資格取得にかかる年数
精神科ではまず精神保健指定医という国家資格を取ることになります。精神保健指定医を取ることで、実務に必要な隔離や強制入院の権限を得ることができるからです。指定医の要件は3年の精神科医としての臨床経験となっています。なので、まず3年で指定医を取るのが目標となるでしょう。指定医を取得することで収入アップも見込めます。
一方、精神科専門医を取得するには、3年以上の精神科後期研修を受けることが条件となっています。なので、大体4〜5年程度で専門医を取得する方が多いです。まずは指定医を3年で取得してから、その後2年以内に専門医を取得することが一般的でしょう。指定医だけとれば十分実務はこなせるので、年配の先生方の中には指定医しか持っていない方も多いです。しかし、専門医を取ることでコンサータの処方が可能となったり、抗精神病薬の多剤処方、睡眠薬の長期処方したときなどの精神療法の診療報酬の減算を免れるなど専門医にしかない権限もあることからこれから精神科を目指す方は専門医を取ることが必須だと思います。専攻医を指導するために必要な指導医は専門医が必要なので、指導医をとりたいなら専門医は必須です。
給料
精神科はどちらかというと稼ぎやすい診療科になります。基本的に土日は休みなので、バイトをすることができるからです。医者のバイトは時給1万円なので、毎週1日バイトをすれば、年収が400万円アップします。専門医をとれば週5日で1500万円程度稼げるので、週1日バイトをすれば年収1900万円が見込めます。
QOL
精神科はQOLが高い診療科です。普段の業務量が少ないのに、他の診療科と同程度の給料がもらえます。急変はほとんどないため、精神的負荷も少なく、歳をとっても働くことが可能です。土日の呼び出しがないため、家族との時間もしっかりと確保できます。