鮨屋と通過儀礼
工藤元(kudogen)
いわゆる「回らない鮨屋」に入るというのが大人になる通過儀礼というか、それができるようになったことが、自分でも「大人になったなあ」と感じるひとつの経験だと思う。回転寿司はほぼ明朗会計だけど、いわゆる「回らない鮨屋」においては値段が「時価」、つまり分からないお店が結構あって、まあそもそもお会計自体が適当なお店も昔は結構あったと思う。
だからなかなかチェーン店でない「回らない鮨屋」に入るのは、お財布の面で少しは余裕を持っていないといけないので、相場が分からないからなかなかお金のない若いときには入りづらいということだろう。また「おこのみ」だと、何をどういう順番で頼めばよいのか分からないし、「あがり」だの「おあいそ」だのいわゆる符丁が多いことも敷居の高い一つの要素だと思う。
超高級店でないかぎり、いまどき一見お断りというお店も多くないとは思うけど、それでも中の様子が分からない店に、入るのは今でも勇気が少しいる。
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