最近、特に白身なんかは「塩で召し上がってください」という店が増えた気がする。
以前は当たり前のようにお造りを盛り合わせのように皿に盛って出すというのが一般的だったと思うけど、最近、特に高級店では最初付け台にそのまま切り身を出す店が多くて、「これは味ついてますから」「これはお好みで山葵を」とかなんとか言って2~3種類のネタを出す、その時ほぼ全ての店で塩で食べるネタがある。
山葵を醤油に溶くか溶かないか問題と同じように、これは寿司の文化というよりも、懐石とか日本料理の文化だと思う(そういえば天ぷらも、なんか塩で食べるのが粋みたいな風潮だけど、本当は逆じゃないかと感じる)。
ステーキとか焼き鳥なんかもソースやタレというより、塩胡椒だけというお店が多くなって、これは全体的に「できるだけ素材の味を楽しむ」という風潮の現れなんだろう。逆に言えば、そのまま食べるよりも美味しくするのが所謂「江戸前の仕事」だったんだけれど、逆に手をかける事はいくらでも出来る時代には、そのままを有難がるということなのかもしれない。
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