きっかけ:自分が動かないと止まる、をどうにかしたかった
一人で複数の事業を回していると、結局どこかで「自分が動かないと全部止まる」という瞬間にぶつかります。経営している人なら、一度は感じたことがあると思います。
普通はここで「人を増やそう」となる。それも正解です。ただ自分は、その前に一回試したいことがありました。「自分の代わりに動く仕組みを、どこまで作れるか」という実験です。
ずっと持っている感覚があって——やる気や気合いで回すのではなく、仕組みで回したい。気合いは自分が倒れたら終わるけれど、仕組みは残るからです。
その延長で、Claude Codeを使って「AIエージェントのオフィス」を自作してみました。やってみた実録なので、できたことだけでなく、普通に詰まったところも書きます。
何を作ったか:画面の中に、机に座った担当者がいる
ざっくり言うと、役割ごとのAIエージェントが、画面の中で「自分の机に座って作業してくれる」イメージのものを作りました。依頼を投げると、その内容に合った担当が動きます。
いまいる「社員」はこんな感じです。
- SNS運用まわりの担当
- 総務・人事まわりの担当
- 税務まわりの担当
- そして、自分の思考をうつしたクローン(壁打ち・下書き用)
それぞれ得意分野が違う。SNSのことはSNS担当に、税務っぽい相談は税務担当に。人間の会社で「その話なら〇〇さんに聞いて」とやるのと、ほぼ同じです。
最初に作ったときの感想は、正直「あ、これ会社っぽいな」でした。机に座らせている絵があるだけで、なんだか愛着が湧く。これは想定していなかった副産物です。
どう動くか:作業はAI、判断は人間
使っていると、役割分担が自然と落ち着いてきました。自分がやるのは、ゴールを決めること・出てきたものを確認すること・出すか出さないかを決めること。AIがやるのは、その間の作業です。
依頼を投げるだけで作業は進みます。でも「これ出していい?」の最後の判断は、絶対に人間に残す。ここは譲りませんでした。特に外に出す発信、お金、専門領域の話は、AIに下書きまではさせても、決定とボタンを押すのは自分です。
理由は、責任を取れるのは権限を持っている人間だけだから。AIが間違えても、最終責任は自分に来る。だったら最後のチェックは自分がやる。会社で部下に任せるときと、まったく同じ考え方です。
詰まったところ:一発では動かない
きれいごとなしで書くと、一発では動きませんでした。
一番つまずいたのが「役割の切り分け」。ここが曖昧だと、エージェント同士で仕事が被る。SNS担当に頼んだはずなのに別の担当が手を出してきたり、逆に「これ誰の担当?」となって誰も拾わなかったり。指示がふわっとしていると、出てくるものが意図とズレる。
ここで気づいたのですが——これ、まんま人間の組織設計と同じでした。誰が何を担当するのか。どこからどこまでがその範囲なのか。どこで人間が確認を入れるのか。これを決めないと、AIでも組織は回らない。逆に言えば、組織設計の考え方さえあれば、相手がAIでも応用できます。自分にとっては、これが一番の収穫でした。AIの使い方を覚えたというより、組織の作り方を学び直した感覚に近いかもしれません。
「設定シート」の考え方:エージェントは1枚で定義する
役割をどう切り分けるか。自分のやり方は、エージェント1体を「1枚の設定シート」で定義する、というものです。シートに書くのは、ざっくりこの4つ。
- ① 呼び名(name):このエージェントの名前
- ② いつ呼ぶか:どんな依頼のときに動くのか
- ③ 使える道具(tools):何ができるのか
- ④ 役割と判断基準:何を担当して、どう判断するのか
雰囲気が伝わるように、汎用的なダミー例を一つだけ。「SNS担当エージェント」を作るならこんな骨子になる、というサンプルです(中身は架空)。
name: sns-tantou
いつ呼ぶか:
SNSの投稿案づくり・下書き・運用相談のとき
使える道具:
下書き作成 / 過去投稿の参照
役割:
発信の下書きを作る担当。
判断基準:
- 出すか出さないかは人間が決める(自分は下書きまで)
- 過去の投稿のトーンに合わせる
- 誇張表現は使わないポイントは④で、「最後は人間が決める」という線引きをシート自体に書き込んでいること。これを書いておくと、エージェントが勝手に走りすぎなくなる。役割と一緒に「ブレーキ」も定義しておく感覚です。
これはあくまで骨子のサンプルです。実際に動かすときは、もっと細かい設定の書き方や、複数のエージェントをどう連携させるか、これをSNS制作のループにどう組み込むか——このあたりが肝になります。そのへんは、また別であらためてまとめようと思っています。
これから:制作の自動化ループに広げている
いまは、この「役割を切り分けて、人間が確認ポイントを持つ」という考え方を、SNS制作の自動化に広げているところです。ゴールを決める → 実行する → 検証する → 修正する。このループを回せないか試しています。ここでもやっぱり、全部を自動にはしない。作るのは自動でも、出すかどうかは人間。さっきと同じ線引きです。
うまくいったら、また実録で書きます。今回はここまで。
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