Meta の Muse Wonder を既存のエージェントで試す前に:接続先、料金、学習に使われる条件、互換 API の落とし穴
ミオ|AI大好きな後輩
Meta の発表によると、Muse Wonder は10月12日(米国時間)から Meta Model API(従量課金)と Muse Code で使えます。上位版の Muse Wonder Full は Muse Code の Power Usage と Maximum Usage の購読でしか使えず、API の料金も付いていません。Meta の docs は Muse Wonder をプレビューと位置づけています。Claude Code・Codex・OpenCode から試すなら、接続先と model id、料金、学習に使われる条件、Anthropic 互換 API の制約の4点を先に押さえると、設定の手戻りが減ります。日本から使えるかと性能値の出どころも、あわせて整理しました。
既存のコーディングエージェントでモデルを切り替えて試したい開発者に向けて書きます。筆者は AI のモデルと開発ツールの仕様を公式資料と照らして追っていて、本稿は Meta の docs・利用規約・ヘルプ、Vercel の changelog、OpenCode の PR、Claude Code の issue、Hacker News のコメント、Artificial Analysis のページを10月13日の朝(日本時間)に取得して突き合わせました。性能値は出どころの整理にとどめ、優劣の判断と、Meta 自身のエージェント Muse Code の使い方には踏み込みません。
接続先と model id
Meta の docsによると、接続先は次のとおりです。
- OpenAI 互換(Responses・Chat Completions):api.meta.ai/v1
- Anthropic 互換(Messages):api.meta.ai(/v1 は付けず、Claude Code が /v1/messages を足します)
Meta の models のページによると、Wonder の model id は muse-wonder-1.0 で、API は Responses・Chat Completions・Messages が挙がっています。Vercel の AI Gateway の changelogによると、AI Gateway では meta/muse-wonder-1.0 と provider の接頭辞が付きます。Meta のモデルページは OpenRouter も導線に挙げていて、id の綴りは経由先ごとに違う場合があります。Meta が示す各エージェントの設定例は、どれも muse-spark-1.3 で書かれています。models のページは、Wonder と Spark は同じ要求を同じエンドポイントで受け付けるので、移すのは model ID の変更だと書いています。ただし各プロトコルのページは Muse Spark の提供だけを書いていて、記述が揃っていません(詳しくは「まだ分からないこと」)。
- Claude Code:ANTHROPIC_BASE_URL に Model API のホスト、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN にキーを入れます。ANTHROPIC_MODEL と opus・sonnet・haiku の各 alias、CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL は、すべて Model API が返すモデルに揃えます。揃えないと、Plan Mode やサブエージェントが Claude のモデルを呼びに行きます。Anthropic 以外のホストでは MCP の tool search が既定で止まるので、ENABLE_TOOL_SEARCH も true にします
- Codex:config.toml の provider に base_url・env_key・wire_api を書き、wire_api は responses にします。OpenAI のアカウントでログイン中なら、先に /logout するよう Meta の docs は案内しています
- OpenCode:Meta の docs は Muse Spark の例で @ai-sdk/openai(Responses)を勧め、@ai-sdk/openai-compatible(Chat Completions)では reasoning が次のターンへ引き継がれないと警告しています
料金とレート制限
Meta の料金のページによると、muse-wonder-1.0 は100万トークンあたり、入力 $4.00、キャッシュ入力 $0.20、出力 $20.00 です。長いコンテキストの割増はありません。Meta の models のページによると、コンテキストは1,048,576トークンです。
- レート制限:3,000 RPM・400万 TPM で、API キーごとではなくチームごとに数えます
- 支出の上限:Meta のヘルプは、利用を止める硬い上限は今のところ無く、月の支出アラートのメールだけだと書いています
学習に使われる条件
Meta の料金のページによると、Standard は、送った内容を Meta のモデルの学習に使いません。Contributor mode は、API では安い価格、Muse Code では多い利用枠の代わりに、送ったプロンプト・コード・ファイル・応答を将来のモデルの学習に使うことを認める仕組みです。

Meta の models のページ・料金のページ・Muse Code のヘルプ・利用規約に基づく図です。図の1行目「学習に使われません」は、Wonder を Standard Services として利用する要求の扱いです。利用規約は Contributor Model への振り分けの可能性と利用者の確認責任も定めているため、実際に使う層を確かめてください。同じ内容を後で Contributor への要求に含めれば、その送信分には Contributor の条件が適用されます。学習に使われないことは、保存されないことを意味しません。
- Model API の Wonder:学習に使われません。Meta の models のページによると、Wonder は Model API では Standard のみで、Contributor mode はありません
- Muse Code の購読:既定で学習への利用を許す設定です。Meta のヘルプによると、Muse Code の /settings で切り替えられ、切った後の内容は学習に使われません
- Spark の contributor 版:学習への利用を許す版です。muse-spark-1.3-contributor のように model id で切り替わる割引版で、Wonder にはありません
Meta の利用規約は、Contributor には機密情報や個人情報、秘密にする契約のあるコードを送ってはならないと定めています。Standard に送った内容でも、後の Contributor への要求に文脈として含めれば Contributor に送った内容になるとも定めています。主エージェントを Wonder、サブエージェントを contributor 版の Spark にする分担は、この経路になりえます(筆者の整理)。さらに利用規約は、アクセスしたときにシステムが Contributor Model へ振り分けることがありうるとし、意図した層のモデルを使っているかの確認を利用者の責任としています。
学習に使われないことと、保存されないことは別です。利用規約は、サービスの提供や法令の遵守などのために Meta が内容を保持すると定めています。Meta のヘルプによると、Zero Data Retention は組織単位で、Meta の営業を通して有効にします。
購読の資格情報は Muse Code 専用です。Meta の購読のページは、同じアカウントで作った追加の API キーは従量課金になると書いています。この記述を合わせると、Wonder Full は Claude Code・Codex・OpenCode からは使えません(筆者の整理)。
日本から使えるか
- 地理ポリシー:Meta の地理ポリシーの制限地域の一覧に、日本は入っていません。ポリシーは、公開する可用性の情報は参考で、継続的な利用を保証しないとも書いています
- ヘルプ:Meta のヘルプは、Model API を Meta AI が使えて課金に対応する国と地域の大半で使えると書いています
- 利用者の報告:Hacker News のコメントで、投稿者の minraws が購読は北米のみのままだと報告しています
日本から Model API と購読を使えるかどうかを名指しした Meta の記述は、取得した範囲にありません。
Anthropic 互換 API の注意点
Meta の Messages のページによると、Messages は Anthropic 形式の要求を Responses の要求に変えて処理する薄い adapter で、会話の状態は持ちません。履歴はクライアントが毎回送ります。
- 400 になる欄:stop_sequences・top_k・container・inference_geo と、未知のトップレベルの欄です
- 400 になる指定:名前を指定した tool_choice と、web_search の allowed_domains・blocked_domains・max_uses です
次の報告は、どちらも Muse Spark 1.3 のものです。
- Claude Code の #95021:報告者は Claude Code 2.1.274 から Messages で muse-spark-1.3 に向け、/goal の評価が毎回 400 になると報告しています。Claude Code が /goal の評価で送る構造化出力(output_config.format)の schema で、required に impossible が無く、Meta が strict な subset の違反として拒否した、と報告者は説明しています
- OpenCode の PR #51040:PR の本文は、Meta の API がネストの深さが10階層を超える tool schema と再帰する $ref を含む tool schema を、要求全体ごと拒否すると書いています。PR は schema を整えて回避する修正です
Meta の docs のうち、取得した tool calling・Messages・Chat Completions・Responses のページには、ネストの深さや再帰参照の制限の記載がありません。
性能値の出どころ
Artificial Analysis の Intelligence Index(v4.3.2)では、Muse Wonder が52.4、Muse Wonder Full が55.8、Claude Opus 5.5 が57.6、Claude Sonnet 5.5 が56.0です。いずれも effort が Max の設定の値です。Meta のモデルページの比較表に Sonnet 5.5 は載っていません。Meta のモデルカードは、第三者か提供元の値があればそれを使い、無ければ社内の検証・自己報告・公式リーダーボードの最高値を採ると書いています。
まだ分からないこと
- Wonder を呼べる API の範囲:Messages・Chat Completions・Responses の各ページは Muse Spark を提供すると書き、models のページは Wonder の API にこの3つを挙げています。docs の記述が揃っていません
- tool schema(PR #51040)や構造化出力の schema(#95021)の制限が Wonder にも同じかどうか:ここで挙げた報告は Spark のもので、Wonder の報告は取得した範囲にありません
次にやること
Wonder を API で使うかぎり Standard です。それでも利用規約が振り分けと確認責任を定めているので、設定に混ざった contributor 版の model id や、Muse Code の購読の既定を含め、どの層のモデルを使っているかを確かめてください。Spark を割り当てるときは、id に contributor が付いていないかを見てください。
硬い上限が無いので、エージェントに Model API のキーを渡す前に支出アラートを置くと安全です。上限の種類の見分け方と、上限に達したときの再試行の止め方は、有料の既刊 コーディングエージェントにAPIキーを渡す前に:止まる上限と通知だけの上限を見分け、上限到達で再試行を止める で扱っています。モデルごとの役割分担の記録は、有料の既刊 安いモデルで実行し上位モデルでレビューする:Claude Codeのサブエージェントが実際に走ったモデルと月額を記録で確かめる で扱っています。
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