前任者のファイルがない種類の文書でも、紙に6項目を書き出せば下書きは出てきます。まず、なぜ今まで当たり障りのない文しか返ってこなかったのかから。
前任者のファイルに、今月だけ見本がない
役員になってから配る紙は、ずっと前任者のファイルを開いて作ってきたのではないでしょうか。日付を書き換えて、行事の名前を入れ替えて、印刷する。それで半年はしのげます。
ところが今月は違います。清掃が雨で中止になり、集めた参加費を返す連絡を出さなければいけない。前任者のフォルダーを探しても、そんな紙は入っていません。
何から書き出せばいいのか分からないまま、パソコンの前で30分が過ぎる。結局その夜は一文字も進まずに終わる。役員の仕事でいちばん時間を取られるのは、行事の当日ではなく、この「白紙から書き始める時間」です。
負担を感じているのは、あなただけではありません。横浜市が自治会・町内会に行った調査では、「役員のなり手が少ない」が77.9%で最も多い課題に挙がり、「会員の高齢化」が63.4%で続きました。船橋市の調査では、役員の決め方に関わらず、会長の7割以上が「負担である」と答えています。神戸市は2026年1月に「自治会業務負担軽減の事例集」を公開しました。行政の側も、役員が抱えている事務量を課題として扱い始めています。
AIが一般論を返すのは、性能のせいではありません
すでにChatGPTを試した方もいるはずです。そして、こう思ったのではないでしょうか。「当たり障りのない文章しか出てこなかった」と。
「自治会のお知らせを書いて」と入力すると、たしかに文章は返ってきます。ただ、そこに並ぶのは「日頃より自治会活動にご協力いただき、誠にありがとうございます」で始まり「皆様のご参加をお待ちしております」で終わる、どこの町内会でも通用する文です。日付も場所も締切も入っていません。そのまま回覧に出せるものではありません。
多くの人は、これをAIの性能の問題だと考えます。もっと賢いAIなら、もっと高いプランなら、と。けれど原因は別のところにあります。まだ決まっていないことを、AIに決めさせようとしていることが原因です。
日時が決まっていなければ、AIは日時を書けません。読んだ人に何をしてほしいのかが決まっていなければ、AIには「ご参加をお待ちしております」と書くしか残されていません。一般論が返ってきたということは、渡した材料が一般論だったということです。
そしてここが意外な点なのですが、役員が1年間に作る文書は型が5つしかありません。案内、依頼、報告、お詫びと訂正、議事録。このどれかに収まります。さらに、AIに渡すべき項目は6つだけです。型と6項目が決まってしまえば、残りの言い回しはAIの得意分野です。

やり方を変えれば、白紙から書き始める時間はかなり短くできます。必要なのはAIの知識ではありません。紙に6つの項目を書き出すことです。前任者のファイルが残っていない種類の文書でも、この6項目さえ埋まっていれば下書きが出てきます。逆に言えば、6項目が埋まらないうちは、AIに何度聞いても一般論のままです。
この先でやること
この先では、明日から何をどの順番でやればいいかを、具体的な手順にして解説します。
- STEP1 手元の用件を5つの型に分ける(10分)
- STEP2 「決定事項メモ」6項目を紙に書く(10分)
- STEP3 プロンプトに貼り付けて下書きを出す(10分)
- STEP4 回覧前チェック6項目で直して確定する(10分)
所要時間は初回で40分、2回目以降は10分ほどが目安です。内容によって前後します。
必要なものは、ChatGPTの無料アカウントと、紙とペンだけです。有料プランや専用ソフトは使いません。スマートフォンだけでも進められます。
付けている道具は、決定事項メモの様式、プロンプト3本、回覧前チェック6項目、失敗パターン5件、そして住民の個人情報をAIに入力しないための伏せ字ルールです。
