生成AIへ仕事の文章を貼る前に、氏名だけ消して安心していませんか? 会社名、役職、地域、正確な日時や金額が残れば、組み合わせから人物や案件を推測できることがあります。本教材では、情報を「削除・置換・一般化」に分け、3分で安全な入力文へ変える7ステップを解説します。
無料部分では、設定と入力許可が別問題である理由、匿名化で見落としやすいポイント、最初の判断基準を紹介します。有料部分には12種類の伏字辞書、4つの場面別完成例、コピペ用テンプレート4本、3分チェックリスト、社内ルールのたたき台を収録しています。
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仕事の文章をAIに貼る前に
3分でできる匿名化・伏字変換キット
個人情報・社外秘を見分け、安全な入力文へ変える7ステップ
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はじめに
生成AIにメールの下書き、議事録の要約、問い合わせ返信、企画書の整理を頼むと、仕事はかなり速くなります。一方で、元の文章をそのまま貼り付けた瞬間に、顧客名、電話番号、未発表の数字、契約条件などを外部サービスへ送ってしまう可能性があります。
「個人情報は全部入れない」と覚えるだけでは、実務では役に立ちません。何を消せばよいか分からずAIを使えなくなるか、反対に名前だけ消して安心してしまうからです。必要なのは、情報を種類ごとに見分け、AIが仕事をするために必要な意味だけ残す手順です。
本教材では、その手順を **止める、分ける、判定する、削る、置き換える、範囲を狭める、最後に確認する** の7段階に整理しました。読み終えたら、メールや議事録を見て「この情報は削除」「これは顧客Aへ置換」「この数字は比率へ一般化」と判断できる状態を目指します。
本教材は法律相談ではありません。勤務先の情報管理規程、顧客との契約、利用しているAIサービスの規約を必ず優先してください。「学習に使われない設定だから入力してよい」という意味でもありません。

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第1章 最初に覚える3つの原則
原則1 設定と入力許可は別問題
ChatGPTには、会話をモデル改善に利用するか選ぶデータコントロールや、履歴・メモリを残さないTemporary Chatがあります。これらは重要なリスク低減策です。しかし、設定を変更しても、会社が外部AIへの入力を禁止している情報を入力してよいことにはなりません。
安全性は次の3層で考えます。
1. **組織の許可**:勤務先が利用を認めているAIか、対象業務か2. **サービスの設定**:データ利用、履歴、メモリ、接続アプリは適切か3. **入力内容**:個人、会社、取引先を特定できる情報を必要最小限にしているか
どれか1つだけ確認して終わりにしないことが大切です。
原則2 「名前を消す」だけでは足りない
氏名を「Aさん」に変えても、会社名、部署、役職、地域、珍しい案件名、正確な日時が残れば、組み合わせから人物や案件を推測できることがあります。匿名化は単語を黒く塗る作業ではなく、**再特定につながる手掛かりを減らす作業**です。
たとえば次の文章を考えます。
> 9月8日14時、株式会社青空電機の札幌支店長・山田太郎様から、開発中のBlueWing X2を10月15日に300台納品できるか問い合わせがあった。
氏名だけを消しても、企業名、支店、役職、製品コード、納期、数量が残っています。AIへ伝えたい目的が「丁寧な返信文を作る」ことであれば、次の情報で十分かもしれません。
> 取引先の担当者から、開発中製品を約1か月後に数百台納品できるか問い合わせがあった。現時点では確約できないため、確認に3営業日ほしい。丁寧な一次返信を作ってください。
これなら返信に必要な状況を残しつつ、固有情報を大きく減らせます。
原則3 迷ったら送らず、人へ確認する
次の情報が含まれる場合は、自己判断で加工して送るより、責任者や情報システム担当へ確認する方が安全です。
- 健康、思想、信条、犯罪歴など慎重な扱いが必要な情報- パスワード、APIキー、アクセストークン、秘密鍵- クレジットカード番号、口座情報、本人確認書類- 未公表の決算、買収、人事、製品、脆弱性- 契約で第三者提供を制限されている資料- 顧客から預かった原文やデータ一式
「うまく匿名化できたと思う」は承認の代わりになりません。
