3日空いたので、また最初からやり直す。FXの継続は「戻り方」を先に決める
仲値トレーダー
記録を3日空けました。
ノートを開いて、日付が飛んでいるのを見た瞬間に、そのまま閉じたくなる。あの感覚です。
私も何度も経験があるのですが、そこで手が止まるのは気が緩んだからではありません。頭の中で「1日目からやり直し」という計算が走るからです。
今日は「続けられる人は何が違うのか」を、意志の話を使わずに書いていきます。
1.直近23営業日の記録で、平均を超えた日は7日しかありません
まずは自分の記録から見ていきます。
私はドル円の朝9時台だけを毎日記録しています。7月20日から8月21日までの23営業日で、獲得できた値幅の合計は598.0pipsでした。pipsは為替の値動きの単位で、ドル円なら1pipsが0.01円です。
1日あたりの平均は 598.0 ÷ 23 = 26.00pips。中央値は19.2pipsになります。
平均26.00pipsを超えた日は、23日のうち7日だけでした。7 ÷ 23 = 30.4%。しかも平均以下の日は最長で7日続き、平均超えが続いたのは最長でも3日です。
つまり、記録を付けている期間の7割は「手応えのない日」になります。腕ではなく、数字の散らばり方がそうなっているだけです。私1人の記録なので母数は小さいですが、この形は手法を変えても似たように出ます。
手応えを基準に続けようとすると、7割の日で「今日はやめようかな」という理由が生まれる。ここが入口です。
2.続かない原因を意志の弱さに置くと、打ち手が出てきません
では、続く人は意志が強いのか。
アメリカの研究チーム、クレーデ氏らは、やり抜く力に関する88件の調査、のべ6万6,807人分をまとめ直しました。
結果として、やり抜く力と、性格特性のひとつである誠実性との相関は0.84でした。相関は2つの数字がどれくらい一緒に動くかを示す値で、1.00が完全一致です。0.84は、ほぼ同じものを別の名前で測っていた、という水準になります。成果との関係も中程度にとどまりました。
つまり「やり抜く力があるから続く」という説明は、思っていたほど何も説明していない。ここを読んだとき、私は正直ほっとしました。
意志を原因にすると、打ち手が「もっと頑張る」しか出てきません。仕組みに置き換えると、いじれる場所が増えます。
3.6万人の実験でいちばん効いたのは、休んだあとに戻ることへの報酬
では、何をいじればいいのか。
アメリカの複数の大学の研究者が合同で行った大規模な実験があります。フィットネスクラブの会員6万1,293人に、54種類の4週間プログラムを同時に走らせ、どれがジム通いを増やすかを比べたものです。
結果は、45%のプログラムがジム通いを増やしました。増加幅は9%から27%です。ただし、4週間が終わったあとも効果が残ったのは54本のうち8%。およそ4本だけでした。
大事なのはこの先です。最も成績が良かったプログラムは、行けなかった日のあとにジムへ戻ってきたら小さな報酬を出す、というものでした。
休まないことにではなく、戻ってきたことに報酬を出しています。
つまり継続の設計で効くのは「休みをゼロにする」ではなく「休んだあとの1回」だった、ということです。
4.1日抜けても曲線は落ちません。落とすのは仕切り直しのほうです
イギリスのロンドンの大学の研究チーム、ラリー氏らは、96人に毎日ひとつの行動を12週間続けてもらい、それがどれくらい自動的になるかを毎日測りました。
よく引用される「習慣化には66日」は、この研究の数字です。ただ、中央値が66日というだけで、実際の範囲は18日から254日。254 ÷ 18 = 14.1倍の開きです。
さらにこの研究では、1回やり損ねても習慣化の進み方に目立った影響はなかった、と報告されています。
1日抜けたこと自体は曲線を落としません。落とすのは、そのあとの「じゃあ来月から仕切り直し」です。
では、実際の数字で説明していきます。
1日あたり10%の確率で記録が抜けるとします。「1日も抜かさない」を条件にすると、66日を通せる確率は 0.9の66乗 = 0.0955%。約1,047回に1回です。
一方、条件を「週5日のうち3日以上」に変えると、実行率が70%でもその週を満たせる確率は83.7%。5日連続を条件にすると16.8%です。
同じ人、同じ実行率で5倍の差が出ます。腕ではなく、条件の書き方の差ということです。
5.決まった時間に固定するほど、あとで崩れます
もうひとつ、通説と逆の結果を紹介します。
アメリカの研究チーム、ベシアーズ氏らは、ある企業の従業員2,508人を対象に、ジム通いへの報酬の出し方を2種類に分けて比べました。ひとつは、毎日決まった2時間の枠に行ったら報酬。もうひとつは、その日のうちに行けばいつでも報酬です。
普通は、固定したほうが習慣になりそうに思えます。
結果は逆でした。時間を固定したグループのほうが、実験中も、報酬をやめたあとも、ジムに行く回数が少なくなっています。
ちなみに、日本の一次データにも似た形があります。店頭FX会社を対象にした業界団体の実態調査では、10回すべての調査で取引実績があった41社のうち、10年間ずっと自動売買ツールを提供し続けた会社は13社で31.7%。取引の自動化に使うAPIという仕組みでは、わずか3社の7.3%でした。
会社が組織で取り組んでも、10年続くのは3割から1割以下です。個人が1人で続けるのは、その何倍も難しい。
6.実際に戻り方を決める
では、今日から何を変えるか。3つです。
- 条件を「毎日」から「週◯日」に書き換える 「毎日つける」をやめて「週3日つける」にします。実行率が同じでも達成率が5倍近く変わります。
- 抜けた日の扱いを先に決めておく 「抜けた日は空欄のまま次に進む」と、いま決めます。さかのぼって埋めない。ここを決めないと、埋める作業が重くて丸ごとやめます。
- 戻った日にだけ、小さな印を付ける 6万人の実験でいちばん効いたのがここでした。空欄の翌日に書けたら、行の頭に印をひとつ足す。それでOKです。
記録の中身は3項目で十分だと思っています。日付、その日の値幅、判断が揺れたかどうか。
野球で例えるなら、毎打席ホームランを狙うのをやめて、打席に立った回数を数える感じです。次はホームラン?ヒット?ってなるから振れないのであって、立つだけと決めていたら立てます。
7.私の負けパターン
最後に、私が記録を止めたときの型を並べます。
- 項目を増やしすぎる 最初に10項目くらい作って、3日でやめました。書くことが多いほど、書かない理由が増えます。
- 負けた日を書きたくない 都合の悪い日ほど飛ばす。見返すと、いい日だけが並んだ別人の記録になっていました。
- 月初にリセットする 「来月から本気で」と決めて、そこまでの2週間ぶんを捨てる。何度もやりました。
続けるかどうかは、始め方より戻り方で決まる。気付いたのは、だいぶあとになってからでした。
8.まとめ
覚えて帰っていただきたいのは、この3行です。
- 手応えのない日のほうが多いのが普通です。私の23営業日でも、平均超えは7日、30.4%でした
- 1日抜けても習慣の曲線は落ちません。落ちるのは、そのあとの仕切り直しのほうです
- いちばん効くのは「休まないこと」ではなく「休んだ次の日に戻ること」です
ただし、損失が月の許容額を超えているときと、睡眠が削れているときは、記録より先にロットを下げるか、いったん離れてください。
今日やることは一つだけです。
「週◯日つける」の◯に、いまの自分が確実に達成できる数字を1つ書いてください。3でも2でも構いません。低いほうが続きます。
以上が、継続の設計になります。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
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ただ、実際に記録を続けようとすると、次の壁が出てきます。
- 毎日「今日は見る日か」を判断するところで疲れてしまう
- 見送った日を記録に残すかどうかで、毎回迷う
- 同じ基準で見ているつもりが、日によって見る足がずれる
これも意志の問題ではありません。毎回同じ基準で判断すること自体が、それなりに重い作業だからです。
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矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
まずは今日の記録から始めてください。受け取るのは、そのあとで大丈夫です。
