相場が動いた理由を、あとからニュースで確かめている。FXのニュースは「読む順番」を先に決める
仲値トレーダー
負けた夜に、理由を探します。
ニュースサイトを開きます。
「米金利の上昇でドル買いが優勢」と書いてある。
なるほど、と思って画面を閉じます。
ところが、翌朝も同じ負け方をします。
私も長いあいだ、この順番で相場を見ていました。
今日は「何を読むか」ではなく「いつ読むか」の話をします。
1.ニュースで説明できたのは、3回に1回まででした
では、少しずつ説明していきます。
アメリカの研究チーム、カトラー氏らが株の値動きを調べました。
景気や金利のニュースで説明できたのは、値動きの3分の1まで。
つまり、3回のうち1回ぶんしか説明できません。
もっと意外なのは、その先でした。
この人たちは、大きく動いた日を選びます。
そのうえで、その日のニュースを探しにいきました。
ところが、大きな発表が見つからない日が多かった。
動いた日ほど、理由が見つからないのです。
私が「理由が分かった」と思うとき。
たいていは、あとから貼った説明でした。
2.未来のニュースを先に教えても、当たりませんでした
次は、為替そのものの調べです。
アメリカの研究者ミース氏とロゴフ氏が、ドル相場を調べました。
当時の代表的な予想のやり方を並べます。
そのうえで、1か月先から12か月先までを当てにいきました。
結果は、どれも当たりません。
「今日と同じ値段が続く」と置くだけのやり方に負けました。
ここが、いちばん驚くところになります。
この2人は、予想のやり方に未来の数字を渡していました。
金利も、お金の量も、貿易の数字もです。
発表される前の答えを、先に教えていたわけです。
それでも当たりませんでした。
つまり、中身を先に知っていても当てられません。
私たちは、発表されたあとに読んでいます。
先に知っていた人でも当たらない。
それを、あとから読んで当てにいっています。
3.動かしているのは、ニュースではなく注文の量です
では、何が値段を動かしているのか。
アメリカの研究者、エバンズ氏とライオンズ氏の調べです。
銀行同士の注文を数えました。
その日の買いと売りの差を、1日ずつ並べます。
すると、円とドルの1日の値動きの45%が説明できました。
10回のうち4回から5回ぶん、ということです。
同じやり方で、ドルとマルクは64%でした。
それまでのやり方は、景気や金利を使っていました。
1日の動きの10%も説明できません。
つまり、10回のうち1回にも届いていなかったのです。
金額の目安も出ています。
10億ドルのドル買いが積み上がると、ドルは0.5%上がりました。
ここで、市場そのものの大きさを見ておきます。
国際決済銀行が、3年ごとに世界の為替を調べています。
2025年4月の1日の売買は、9兆6千億ドルでした。
その中身が意外です。
いちばん多いのは、短い日数でお金を貸し借りする売買です。
これが42%を占めます。
相場が上がるか下がるかに賭ける売買ではありません。
その場で受け渡す、ふつうの売買は31%です。
そして、輸入や輸出をする会社は、100のうち5です。
つまり、ニュースを読んで方向を当てにいく人は、ごく一部です。
日本の個人はどうでしょうか。
金融先物取引業協会が、毎月まとめています。
2026年8月の店頭FXの売買は825.7兆円でした。
1ドル150円で計算すると、5.5兆ドルになります。
世界の為替は、1日で9.6兆ドル動きます。
なので、日本の個人の1か月ぶんは、世界の14時間分ほど。
私たちは値段を作る側ではありません。
できた値段を、受け取る側です。
野球で例えます。
試合のあとのスポーツニュースを見る観客に近い。
打った理由の解説は聞けますが、次の球は分かりません。
4.それでもニュースを読むと、私たちは買いに寄ります
ここからが、いちばん大事なところになります。
アメリカの研究者、バーバー氏とオディーン氏の調べです。
個人の売買記録を見ています。
ニュースに出たもの。急に売買が増えたもの。1日で大きく動いたもの。
個人は、この3つを買い越していました。
ところが、売るときには同じ形が出ません。
理由は単純です。
買うときは、たくさんの中から選ばないといけない。
売るときは、自分が持っているものから選ぶだけです。
つまり、探すときだけニュースが選択肢を絞ります。
ちなみに、同じ調べにはプロの運用者43人も出てきます。
この43人には、同じ形が出ませんでした。
むしろ、売買の少ない日に買っている人もいます。
プロは決めた条件で機械的に絞ります。
なので、ニュースという入口を通らずに済むのです。
これは意志の強さの話ではありません。
選ぶものが多すぎるとき、人は目に入ったものから選ぶ。
仕組みの問題です。
5.読む順番を、先に紙に書いておきます
では、実際の手順にしていきます。
私が使っている順番は4つです。
- 自分の記録 昨日の自分のトレードを先に見ます。ニュースより先です。
- 今の値段の位置 チャートを開きます。今どのあたりにいるかだけを見ます。
- 今日の予定 発表があるかどうかだけ。中身の予想までは読みません。
- 解説記事 いちばん最後です。読んでも今日の判断は変えません。
入れかえてはいけない理由は、1つだけあります。
先にニュースを読むと、その話を確かめる目になります。
逆に、チャートを先に見ておけばどうなるか。
ニュースは「そういう説明もあるのか」で済みます。
もちろん、解説を読むこと自体は悪くありません。
私も毎日読んでいます。
読む位置を変えるだけです。
6.私の負けパターン
正直に、自分の失敗を4つ並べます。
- 負けた夜に、理由を探しにいく 探せば必ず何か見つかります。見つけた理由を、翌朝そのまま使う。
- 発表の予想を読んでから入る その方向に建玉を置きたくなります。ズレたときに切れません。
- 朝いちばんにニュースアプリを開く その日の見方が、最初の見出し1本で決まります。
- 動いたあとに解説を探して安心する 安心はします。ところが、次の1回には何も残りません。
理由を知ることと、次に勝つこと。この2つを何度も混ぜていました。
7.まとめ
持ち帰る内容は、3点だけです。
- 景気のニュースで説明できたのは、値動きの3回に1回まで
- 未来のニュースを先に教えても、予想は当たらなかった
- 為替の売買の大半はお金のやりくりで、方向を賭ける人は少数
ただし、外せない例外が1つあります。
発表の直後は、値段が飛びます。
その時間に建玉を持たない。この守りだけは別の話になります。
今日、手を動かすなら1つだけ。
明日の朝、チャートを開く前にニュースアプリを開かない。
これだけ試してみてください。
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今日書いたことは、お金を払わなくても手に入る話ばかりです。
論文も、国際決済銀行の調べも、協会の統計も、誰でも開けます。
ところが、順番を守ろうとすると壁が出てきます。
- チャートを先に見ても、何を見るかが毎回変わる
- 発表の予定を見ると、つい中身の予想まで読んでしまう
- 同じ時間に同じ手順で見る。この作業そのものが重い
これも、気持ちの強さの問題ではありません。
毎日おなじ順番を守ること自体が、まあまあの作業量だからです。
私は、朝9時台のドル円だけに絞ったインジケーターを配布しています。
確定した足だけで判定するので、出た矢印があとから消えません。
自動売買はしません。注文も決済も、ご自身の判断になります。
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矢印は、条件がそろったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
