【開業1〜3年目向け】行政庁に電話していいの?対応マナーと実体験

【開業1〜3年目向け】行政庁に電話していいの?対応マナーと実体験

なないろバックオフィス

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開業したばかりの頃、「分からないことがあったら行政庁に電話していいのかな?」と不安に感じていました。

まわりの行政書士からは、「警察は怖いよ」「税務署は厳しい」「保健所は細かい」といった話をよく聞いていたので、一本の電話をかけるだけでも勇気がいりました。

「失礼にならないかな」「怒られたらどうしよう」「自分の質問レベルが低いと思われないかな」

そんな気持ちで、受話器を握る手が震えたのを今でも覚えています。

でも、結論から言うと、行政庁の職員さんは驚くほど丁寧で、誠実に対応してくれます。

なぜ「行政庁に聞くのが怖い」と感じるのか

開業したばかりの行政書士が行政庁への問い合わせを怖く感じる理由は、だいたい共通しています。

  • 失礼にあたるのではないか
  • 質問内容を笑われないか
  • 「プロなのに分からないの?」と思われないか
  • 電話をしたら迷惑だと思われそう

私もまったく同じ不安を抱えていました。

ただ実際は、行政庁も私たちと同じ「人」です。きちんと名乗り、背景を説明し、丁寧に質問すれば、想像以上に誠実に向き合ってくれます。

不安の多くは「経験不足」から生まれるものであり、一度勇気を出して電話してみると、その印象は大きく変わります。

実際に問い合わせてみたら

あるとき、どうしても判断がつかない案件があり、思い切って行政庁に電話をしました。

電話ではまず、

「行政書士の〇〇と申します。〇〇の件で確認したい点があり、ご相談させてください」

と名乗り、背景と確認したいポイントを簡潔に伝えました。

すると担当の方は、こちらの状況を丁寧に聞き取ってくれ、その場で分かる範囲を説明してくれたうえで、不明な点は「調べて折り返しますね」と、後日きちんと返答をくれました。

このとき強く感じたのは、

「行政庁は怖い相手ではなく、正しく相談すれば味方になる」ということ。

不安は完全に杞憂であり、誠実に聞けば誠実に返してくれる、そんな安心感を得られた出来事でした。

行政庁の職員も“完璧ではない”

もうひとつ印象的だったのは、行政庁の職員の方も「分からない」ときには正直にそう言ってくれるということです。

「この点は確認が必要なので、後ほど折り返しますね」

と、無理に回答せず、調べたうえで丁寧に返してくれる姿勢に、むしろ強い安心感を覚えました。

行政庁だからといって、すべての案件に即答できるわけではありません。私たち行政書士と同じように、法令や運用を確認しながら進めているのです。

つまり、

行政庁は万能の存在ではなく、こちらと“協力して前に進める相手”である

ということ。

この視点を持つだけで、問い合わせへの心理的ハードルは大きく下がります。

問い合わせるときの基本マナー

怖がる必要はありませんが、最低限のマナーを押さえておくだけで、行政庁の方に与える印象は大きく変わります。

▼ 基本の流れ

  • 最初に「行政書士の○○です」と名乗る
  • 用件と、確認したい背景を簡潔に説明する
  • 質問は一つずつ、順序立てて伝える(事前メモがあると安心)
  • 「お忙しいところ恐れ入ります」「確認いただける範囲で構いません」と添える
  • 折り返しをお願いする場合は、希望の時間帯を伝える

この“名乗り方+背景説明+礼節”のセットがあるだけで、落ち着いて話を聞いてもらえるケースがほとんどです。

▼ メール問い合わせについて(補足)

自治体によってはメール対応をしてくれることもありますが、許認可分野は電話が基本 で、メールのみで完結できるケースは多くありません。

どうしても時間が取れない場合に「要点をまとめてメール→必要なところは電話で補足」という使い方をする程度、と考えておくと現実的です。

聞いていいこと・聞かないほうがいいこと

行政庁に問い合わせてよいのは、“制度の運用”や“事務的な取扱い”に関することです。

一方で、行政庁では答えられない(答えるべきでない)質問もあります。線引きを知っておくと、やり取りが非常にスムーズになります。

聞いていい例(確認系)

  • 提出書類の形式・添付資料の要否
  • 提出先・管轄・受付窓口の確認
  • 手続きの期限・処理フロー
  • 特記事項の書き方や記載方法のルール
  • 事例ベースの扱い(過去同様ケースでの処理方針)※自治体による差異はあるが、案内してもらえることが多い

これは“事務取扱いの確認”であり、職員さんも答えられる範囲です。

避けたほうがいい例(判断系)

  • 「この案件、許可が下りますか?」→最終判断は行政庁でも個別には答えられない
  • 「どっちの解釈が正しいですか?」→法的判断の押し付けになり、回答範囲を超える
  • 「担当の人によって対応が違うんですけど?」→比較・批判は避けるべきで、必要なら“確認の形”で再質問
  • 「この条件なら絶対に○○ですよね?」→“断定”を求めると、職員は回答できません

行政庁の職員は 判断者ではなく、制度の案内人です。質問のスタンスも、次のように置き換えるとスムーズです。

  • 判断を求める→「○○になりますか?」
  • 確認を求める→「この場合の取扱いは、一般的にどのようになりますか?」

同じ内容でも、聞き方ひとつで答えが返ってくる確率が大きく変わります。

まとめ:行政庁は“怖くない”

行政庁への問い合わせは、行政書士にとって 実務を正確に理解するための最短ルートです。

  • 丁寧に名乗る
  • 背景を簡潔に伝える
  • 質問点を整理して聞く

この三つを押さえていれば、どの行政庁も誠実に対応してくれます。

開業初期は「怖い」「怒られたらどうしよう」と不安になりがちですが、

大切なのは 正しく進めたいという姿勢 す。

行政庁の職員さんも、私たちと同じく適切な手続きにしたい、ミスを防ぎたいという思いで仕事をしています。

遠慮しなくて大丈夫です。まずは一歩踏み出してみてください。

その一本の電話が、あなたの実務力を確実に育てていきます。


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この記事のライター

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行政書士の開業・実務に役立つノウハウを発信しています。 実際の受任経験にもとづく“そのまま使える型(ヒアリングシート/書式)”を提供。 開業1〜3年の方が、受任・実務に強くなるための情報をまとめています。

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