行政書士として開業すると、わからないこと・慣れないこと・不安になる場面がとにかく多いです。
私も開業初期は、「これってやっていいのかな?」「この依頼、受けても大丈夫?」と迷うことだらけでした。
その中で、“これは本当にやらないほうがいい”と強く感じたポイントがいくつもあります。
この記事では、開業1〜3年目に特に危ない “実務の落とし穴” を、私の体験ベースでまとめました。
今まさに実務に不安がある方へ、少しでも参考になればうれしいです。
①無料でなんでも引き受ける
開業直後はとにかく仕事が欲しくて、「まずは無料で頑張ろう」「喜んでもらえたら次につながるはず」と思いがちです。
私も例外ではなく、最初は“善意と根性”だけで資料を作ってしまいました。
でも、これは確実に消耗します。
無料で受けると以下のようなことが起きます。
- 増えるのは「無料でもお願いできる人」という認識
- 優先順位が下がり、スケジュールが破綻しやすい
- 有料案件より負荷が高くなるケースもある
- 結果として自分の価値が下がる
無料だからこそ、丁寧さが評価されにくいのも特徴です。
結論、無料で何でも請けるのはNGです。範囲と対価を最初に明確にすることが重要です。
②電話でなんでも答えようとする
行政書士は“口が仕事の人”でもありますが、電話で相談されると、ついその場で答えたくなります。
でも、これは危険です。
電話で即答すると以下のようなトラブルが起こり得ます。
- 相談内容の前提が間違っていることに後から気づく
- 無料で相談だけ吸い取られる
- 依頼につながらないどころか責任だけ負う
- メールの証跡が残らず、説明の齟齬が生まれる
電話相談は情報不足になりやすく、「言った・言わない」問題の温床です。
対策はシンプルで、電話では概要だけ確認して「詳細はメールで」と誘導することが重要です。
③行政庁を必要以上に怖がる
開業初期あるあるですが、行政庁に問い合わせるのを異様に怖がってしまう時期があります。
私も「警察は怖いらしい」「税務署は厳しいらしい」とまわりの行政書士から聞いていたので、電話一本かけるにも緊張していました。
でも、実際はめちゃくちゃ親切です。
誠実に名乗り、背景を伝えれば、こちらが驚くほど丁寧に対応してくれます。
むしろ「この点は確認が必要なので折り返しますね」と正直に言ってくれることも多いです。
行政庁は“怖い存在”ではなく、正しく使えば“味方”にもなる。ということを忘れないでください。
④曖昧な依頼をそのまま受けてしまう
「とりあえず書類を作ってほしいんです」「ざっくりでいいのでまとめてもらえますか?」こういう依頼は本当に危険です。
私も開業初期にこれを受けてしまい、詳細が分からないまま必死で作業した結果、後から地獄をみました。
曖昧な依頼の何が危険かというと以下の通りです。
- 目的が分からず方向性がブレる
- 何をもって完成とするのか不明
- 手戻りが異常に多い
- 結果として時給換算が悲惨になる
ただし、覚悟して挑戦した案件が、その後の得意領域につながることもあります。
重要なのは、受ける基準と断る基準を明確にすることです。
⑤「やればできそう」で何でも受ける
行政書士は扱える業務範囲が広く、最初は「これもできそう」と感じやすいです。
でも、副業や一人事務所の場合、“なんでも屋”になった瞬間に破綻します。
私も初期は、ざっくり依頼・目的不明・見切り発車案件を受けてしまい、結果として多くの時間を失いました。
特に危険なのは以下のような依頼です。
- スケジュールが読めない案件
- 業務範囲が広すぎる案件
- 説明の少ない依頼者
- 情報が足りないのに急かされる依頼
挑戦は悪ではありません。
でも、持続可能であることが最優先です。
まとめ:一番大事なのは「線を引けること」
新人行政書士が陥りやすい失敗は、能力の問題ではなく “線を引かないこと” です。
- 無料で受けてしまう
- 曖昧なまま始めてしまう
- 電話で答えてしまう
- 怖くて行政庁に聞けず誤解する
- やればできそうで全部受けてしまう
これらはすべて、線を引けば防げます。
開業初期こそ、「やらないことを決める」「基準を作る」これが何より大切です。
少しでもあなたの実務がラクになるように、そして安全に運営できるように、この記事が力になれたらうれしいです。
