行政書士として開業すると、最初に直面するのは「仕事がない不安」よりも、むしろ“どのお客さんとも全力で向き合おうとしてしまう”ことによる消耗です。
誠実に頑張ろうとする人ほど、次のような状況に巻き込まれがちです。
- 無茶なお願いを何度もしてくる
- こちらの説明を理解する前提で進めてくれない
- 約束を平気で破る、ドタキャンを繰り返す
- 無料の範囲でスコープ外の作業を求めてくる
- 支払いが遅れたり、なかなか振り込まれない
- 無料相談を1時間、2時間と引き延ばそうとする
開業したばかりだと、どうしても相手に合わせてしまいがちです。
「せっかく相談してくれたのだから断りたくない」「ここ負担だけど、今回は仕方ないかな…」「悪い人ではなさそうだし…」
こうやって、自分の基準より“相手のペース”を優先し続けると、気づいた時には心も時間も奪われてしまいます。
◆行政書士にも「お客さんを選ぶ権利」がある
依頼者は行政書士を選びます。同じように、行政書士も相手を選んでいいのです。
専門家と依頼者は本来、対等な立場です。あなたが提供するのは「時間」と「知識」と「専門性」。その価値に見合う関係が築けない場合、無理に取引する必要はありません。
これは“冷たい態度”ではなく、長く行政書士として活動するために不可欠な自己防衛です。
◆新人ほど「断れない」ことで損をする
特に新人のうちは、
- 案件を逃す不安
- 口コミへの恐れ
- 相手を怒らせたくない気持ち
これらが混ざって、本来断つべき負担を抱え込んでしまいます。
しかし、行政書士の仕事は“目に見えない部分”が非常に多い。調査、思考、書類構成、確認作業、メール対応、待機時間…すべてがコストであり価値です。
その重みを理解せずに「無料でやってもらえる」と勘違いする相手に合わせ続ければ、あなたは確実に疲弊します。
◆迷ったときに自分へ問いかけるべき質問
負荷の大きい相手ほど、判断に迷うものです。そんなときは、次の3つだけ自分に問いかけてください。
① この人と、この先も関係を続けたいか?
誠実な方なら、多少の手間は将来の信頼につながります。逆に“雑な対応”が続く相手は、未来でも同じです。
② 今回の案件は、無理して応じるだけのメリットがあるか?
単価、実績、経験値、紹介に繋がるかなど。どこにもメリットがないのに無理する必要はありません。
③ こちらのルールやラインを尊重してくれる相手か?
無料範囲・作業範囲・期限・支払い条件など、基本的な約束が守れない人は必ずトラブルになります。
この3つに「YES」がほとんど付かない相手なら、距離を置く選択をしても構いません。むしろ、その判断があなたの事業を守ります。
◆自分を大切にしてこそ良い仕事ができる
行政書士の仕事は、人の人生や事業の重要な場面に関わる責任ある仕事です。
だからこそ、疲れ切った状態では良い仕事はできません。
あなたが専門家として安心して働き続けるためには、
- 断る勇気
- 線引きする姿勢
- 自分の基準を持つこと
これらが必須です。
真面目で誠実なあなたを必要とする依頼者は必ずいます。だからこそ、無理をせず、あなたの価値を大切にしてほしい。
「お客さんを選ぶ」という視点は、決して傲慢ではありません。自分を守り、長くこの仕事を続けるための知恵です。
どうか、あなた自身の時間と心を大切にしながら、行政書士としての道を築いてください。
