こんにちは、なないろバックオフィスです。

行政書士試験に合格すると、「この資格をどう活かしていこう?」という新しい悩みが一気に現れますよね。すぐに独立開業するべきか、まずは副業として始めてみるのか、あるいは会社員としてキャリアを積みながらダブルライセンスを狙うのか。どれが正解なのか判断しきれず、手が止まってしまう方も少なくありません。

本記事では、それぞれの選択肢の特徴や向き不向き、実務のリアルな視点を交えながら、あなたに合った道を一緒に整理していきます。

「何から考えればいいのか分からない」という方でも、スッと道筋が見えるように構成していますので、ぜひ気楽に読み進めてみてください。

わたしの場合

なないろバックオフィスが始動したのは2025年2月。私が行政書士試験に合格してから、約10年後です。

とはいえ、その10年間ずっと開業を迷っていたわけではありません。勤務先に副業制度がなく、「開業したくてもできない」状態が続いていただけでした。勤務先で副業が解禁されたタイミングですぐに開業し、その1年半後、ななみさんと一緒に現在のなないろバックオフィスを立ち上げました。なないろバックオフィスは、数ヶ月で軌道に乗り、以降売上は安定して成長しています。

ダブルライセンスについて

私は行政書士試験に合格したあと、行政書士業務と相性の良い資格として、AFP・FP2級・ビジネス実務法務検定2級を取得しました。ただ、これらは「ダブルライセンスを本格的に狙う」というより、知識の維持と業務範囲を少し広げるために受験したに過ぎません。行政書士試験と比べれば負担も小さく、気軽に取り組める資格です。

一方で、ダブルライセンスの代表格とされる「司法書士」や「社会保険労務士」については、実のところ本格的に検討したことがありません。行政書士試験の勉強を始めた頃に「将来的にはどうかな」と少し考えた程度で、合格後に真剣に受験を考えたことは一度もないです。

資格を積み重ねるより、思い切って開業した方が得られるものは圧倒的に大きい、私はそう考えていました。

そして実際に開業してみると、これはおそらくどの士業でも共通する話ですが、「士業の資格試験に合格した人」と「士業として開業している人」とでは、広がっていく世界がまったく違うと感じます。

前者のままでは、売上がゼロなのはもちろん、人脈やチャンスの広がり方もどうしても限られます。一方で開業すると、仕事に対する向き合い方も、仕事の可能性も、人とのつながりも、経験の幅も一気に開けました。

開業で得られる経験は、資格試験の勉強よりもはるかに希少です。資格試験の価値の源泉が「希少性」にあるのだとすれば、開業の経験はあらゆる資格試験よりもずっと希少です。

だからこそ、もうダブルライセンスに時間を使う必要はありません。副業でも開業できる環境があるなら、思い切って開業してみることを強くおすすめします。とくに、私の場合、仕事の面でも、人としても心から尊敬でき、深く信頼できるななみさんと出会えて、一緒になないろバックオフィスを創業できたことは、開業して本当によかったと思える大きな理由のひとつです。

ななみさんは、この世に一人しかいません。ダブルライセンスとは比べ物にならない希少な出会いです。

(参考)あえてダブルライセンスを検討してみる

この記事の結論は以上なのですが、私に限らず、多くの行政書士は「ダブルライセンスは不要」という立場を取ることが多いと思います。しかし、これは“成功者バイアス(生存者バイアス)”が強く働いている点に注意が必要です。行政書士としてすでに成功しているからこそ、「ダブルライセンスなんて不要」と言えるわけで、ある意味当然の結論なのです。そのバイアスはずるいでしょ、だってあなた成功してるじゃん。。

生存者バイアスまたは生存バイアスとは、何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、その結果には該当しない人・物・事が見えなくなることである。生存者バイアスの例として、ある事故の生存者の話を聞いて、「その事故はそれほど危険ではなかった」と判断するという事例がある。それは、話を聞く相手が全て「生き残った人」だからである。wikipedia

本記事では、ここからあえて視点を反転させます(笑)。行政書士としての実務経験を踏まえて、「ダブルライセンスを推奨する側の立場」で考察してみたいと思います。

司法書士 x 行政書士

この組み合わせ、強いです。

実際、なないろバックオフィスには毎週のように登記の相談が来ます。「登記までお願いできますか?」「役員変更をしたいんですが…」「定款の事業目的を変えたいんですけど」(定款の起案はできますが。。)

こうした相談は本当に多いのですが、もちろんそのたびに「司法書士の先生にご相談ください」とお伝えしてお断りしています。

逆に、司法書士の先生のところにも、許認可の相談がかなりの頻度で来ているはずです。ただ、こちらも業際の関係で、司法書士は許認可業務を扱うことができません。

社会保険労務士 x 行政書士

業法上、「他人の依頼を受けて報酬を得ながら、官公署に提出する書類を作成する業務」は行政書士の独占業務とされています。しかし例外があり、厚生労働省に提出する書類は社会保険労務士の独占業務です。

そのため、

  • 補助金は行政書士
  • 助成金は社会保険労務士

という分担になります。

ただし、お客さんの立場から見れば、この2つをいちいち分類することに大きな意味はありません。「会社にとって最適な提案は何か」が重要なので、なないろバックオフィスでも助成金に関する情報提供を行うことはあります。

もちろん、実際の手続きは受任できませんので、最終的には社会保険労務士の先生をご紹介・ご案内する形になります。社会保険労務士の他の業務については、あまり関わることがないのですが、補助金と助成金を一緒に扱えると強いなぁと思うことがよくあります。

その他

CFP(FP1級)には独占業務がありません。とはいえ、CFP(FP1級)で得られる知識は、民事法務でも許認可業務でも役立ちます。実を言うと、私自身も現在CFPの受験生です(科目別受験が可能で、実務に何も影響がないのですよね)。

宅建については、ななみさんが合格者です(開業前合格)。こちらもCFPと同じく、行政書士業務を進めるうえで重要な場面が多いです。私は宅建を持っていないので、不動産に関することはすべてななみさんに相談しています。

まとめ

ダブルライセンスも考察しましたが、前述の通り、ダブルライセンスより先に開業した方が、得られる経験も広がる世界も圧倒的に大きいと思います。資格を増やすより、一歩踏み出すほうが早く成長できます。副業でもいいので、まずは開業することを強くおすすめします。迷っているなら、開業が正解です。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。


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この記事のライター

なないろバックオフィス

行政書士の開業・実務に役立つノウハウを発信しています。 実際の受任経験にもとづく“そのまま使える型(ヒアリングシート/書式)”を提供。 開業1〜3年の方が、受任・実務に強くなるための情報をまとめています。

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