行政書士として開業したばかりの頃、私は毎日のようにこう考えていました。
「どうやって最初の1件を取ればいいんだろう?」
- 実務経験ゼロ
- 営業経験ゼロ
- コネなし
- SNSでの発信もほぼなし
正直、自信はありませんでした。むしろ“不安しかなかった”といったほうが近いです。
そんな状態から始まった私の最初の1件は、営業でも、紹介でも、広告でもなく、
「民泊について学びたくてDMした」
ただ、それだけの行動がきっかけでした。
そこから話が広がり、やがて顧問契約へ、さらに得意領域の確立へとつながっていきます。
この記事では、その一連の流れを、できる限りリアルにお伝えします。
- なぜDMを送ったのか
- どうやって話が仕事に変わったのか
- その後、何が“強み”になっていったのか
「どうやって最初の1件を取りましたか?」そう悩んでいる方にとって、少しでもヒントや勇気になれば嬉しいです。
開業当時の状況
行政書士登録を済ませ、いよいよスタート。そう意気込んではいたものの、状況は決して恵まれたものではありませんでした。
- 実務経験:ゼロ
- 営業経験:ゼロ
- コネ:なし
- SNS発信:ほぼなし
- しかも兼業で時間も限られている
「何から手をつければいいのか…」そんな状態で、毎日なんとなく焦りだけが募っていきました。
ただ、ひとつだけ確かに思っていたことがあります。
“興味のあるところから動いてみよう”
資格を取ったからといって、すぐに仕事が舞い込むわけではありません。それでも、「まずは自分が面白いと思うところに手を伸ばしてみる」そこから何かが始まるかもしれない。
そう信じて、一歩を踏み出しました。
すべては、1通のDMから始まった
当時の私は、「民泊を自分でやってみたい」と本気で思っていました。
- 副業として可能性がありそう
- 行政書士としての実務経験になりそう
- 現場を知ることが自分の武器になる
- 仕組みそのものが面白い
そんな考えから、まずは情報収集を始めました。
しかし、ネットで調べても断片的な情報ばかりで、「実際にどう運営しているのか」といったリアルな話がほとんど見つかりません。
分からないなら、分かる人に聞いてみよう
そう思い、X(旧Twitter)で民泊に詳しそうな人を探し、思い切ってDMを送りました。
見ず知らずの相手に連絡するのは、正直とても緊張しました。
- 迷惑じゃないかな
- 無視されたらどうしよう
- 変な人だと思われないかな
そんな不安が頭をよぎりましたが、身分を明かし、聞きたいことを丁寧に伝えたところ、ありがたいことにすぐ返信をいただき、話を聞かせてもらえることに。
この時点では、仕事に繋がるなんて1ミリも思っていませんでした。ただ、民泊について学びたいそれだけの気持ちでした。
それでも、たった一通のDMがこの後の未来を大きく動かしていくことになります。
「知らない人に連絡する」ことの価値
開業当初を振り返ると、最も大きな一歩は「自分から人に会いに行ったこと」だったと思います。
中でも見ず知らずの人にDMしてみるという行動は、それだけでチャンスの総量を大きく広げてくれました。
実際、今一緒に活動しているなないろバックオフィスの古森との出会いも、私が「行政書士の実務について教わりたい」と思い、DMを送ったことがきっかけです。
最初はただの“学び目的”。仕事につながるなんて想像もしていませんでした。それでも話していくうちに価値観や方向性が近いことが分かり、今では、一緒に事業をつくる関係になっています。
DMは営業ではありません。ただの「こんにちは」です。そこから物語が静かに動き始めます。
もちろん、勇気が必要です。それでも、きちんと名乗り、丁寧に、誠実に連絡すれば、意外なほど多くの人が応じてくれます。
行動すれば、縁は生まれる。
これは、開業初期に得た最も大きな気づきでした。
雑談 → 行政書士だと知られる → 補助金の話へ
民泊について話を聞かせてもらっている途中、ふと相手から「ところで、行政書士なの?」と聞かれました。
そこから、流れが一気に変わります。
「実は、補助金に興味があって」「何かお願いできることってある?」
と、話題が民泊 → 補助金へ自然に広がっていきました。
この時点で私は、補助金自体の知識は全くなかったです。ただ、目の前の人の役に立ちたいという気持ちがあったので、
「一度考えさせてください」
と持ち帰り、そこから約1週間、補助金関連の支援内容をリサーチし、サービスパッケージを設計して提案しました。
- どんな補助金がありそうか
- どの部分をサポートできそうか
- どのような進め方なら相手が困らないか
自分なりに考え、形にして届けたところ、その提案が評価され、なないろバックオフィスとして初の契約につながりました。
驚きと同時に、「行動してよかった」と強く感じた瞬間でした。
そしてそのお客様とは、今でも良い関係が続いています。
無料で資料作成 → 苦しさ → 得意領域へ
補助金についてやり取りしていたある日、相手から突然
「こういう資料作れない?」
と、ざっくりした依頼が届きました。
- 対価の話はなし
- 詳細な説明もなし
- 添付されたのは「見本」と「システムの資料」だけ
正直、
「かなり雑な頼まれ方だな…」
と感じました。
それでも、少しでも価値を出したい気持ちが勝ち、
「できます!」
と即答しました。
ただ、実際に作業を始めてみると、何の資料なのかすら分からない状態。とにかく必死で調べ、手を動かし続けました。
- 報酬なし
- 背景も分からない
- とにかくがむしゃら
正直、かなりしんどかったです。
後になって分かったのが、私が必死に作っていたのは
「IT導入補助金のベンダー登録用資料」
だった、ということ。
この経験を境に、
- 機能説明資料
- 価格説明資料
- 登録フロー
といったIT導入補助金ならではの作法を深く理解することができました。
気が付けば、その分野が自分の中で“得意領域”へと育っていたのです。
できないと言う方が簡単。できると言ってから考えると、景色が変わる。
この案件は、それを身をもって教えてくれました。
結果的に、IT導入補助金のベンダー登録支援はいま、なないろバックオフィスが胸を張って提供できるサービスのひとつになっています。
学んだこと
この最初の1件から、いくつもの学びがありました。
- 動かなければ、何も始まらない
- 興味に従って踏み出すと、チャンスは広がる
- DMは営業ではなく、ただの「こんにちは」
- 信頼は、価値を提供した先に生まれる
- 無料でも全力で取り組むと、次につながる
- 「できます」と言い切る勇気が道を開く
最初の1件は、必ずしも「狙って獲得する」ものではなく、行動の先に“生まれる”ものなのかもしれません。
今ならこうする
もし、開業したての自分にひと言だけ伝えられるならこう言います。
「興味のある分野で、人に会いに行け」
いま振り返ると、それが最初の1件につながる一番シンプルで再現性の高い方法でした。
具体的には、次の流れです。
- 興味のある分野を決める
- その分野で発信している人を探す
- DMを送り、話を聞かせてもらう
- 相手の困りごとを聞く
- 自分にできそうなことを考え、提案する
- 全力でやってみる
たったこれだけ。特別な人脈やスキルがなくても、最初の一歩は踏み出せます。
もっと深く知りたい方へ
この記事では、「最初の1件が生まれるまでの行動と背景」を中心に紹介しました。
もし
- DMの文章
- 雑談を受任につなげる流れ
- プロフィール設計
- 補助金提案の進め方
- IT導入補助金(ベンダー登録)のポイント
- はじめの売上推移
- 案件プラットフォームの使い方
といったより実務的な内容を深く知りたいという方向けには、個別にまとめた記事も今後公開していく予定です。
また、「ここをもっと知りたい」「このあたりを詳しく解説してほしい」といったご要望があれば、ぜひコメントで教えてください。
できる限り、リクエストに沿った記事も作っていきます。
まとめ
私の最初の1件は、「民泊を学びたくてDMした」という、たった一つの行動から始まりました。
- 興味のまま動いてみた
- 人に会いに行った
- 相手の困りごとを聞いた
- 「できます」と言ってやりきった
その積み重ねの先に、顧問契約という大きな結果がついてきました。
大事なのは、完璧であることでも、準備万端であることでもありません。
- まずは動く
- 人に会う
- 話を聞く
- できることを探す
- とりあえずやってみる
その小さな行動が重なって、最初の1件は“生まれる”のだと思います。
あなたの一歩が、次のご縁へとつながりますように。
