ケース4、原因不明の不妊
不妊治療CL看護師が綴る*妊活ブログ*
これまで何パターンかの不妊の原因をご紹介してきましたが、今回のケースは少し特殊です。
とはいえ、ごくごく希少な例というわけでなく、誰にでも起こりうるケース。
早速ご紹介していきましょう。
原因不明の不妊でクリニックに駆け込まれるケース
とくに不妊に直接繋がるような傾向はなく、検査をしても異変が見られなかったご夫婦です。
何がいけないのかがわからないため、ステップアップに踏み切るかどうかを悩んでクリニックへ来られました。
原因が明確ならば治療すればあるいは……と希望が持てますが、原因不明だと何をすればいいのかもわかりません。
わからない状態でステップアップするのか?
とても難しい問題ですよね。
そもそも全ての不妊に原因はあるのか
不妊の原因といえば、排卵因子や子宮因子、免疫因子などさまざまなものがあります。
そして、そのどれにも当てはまらない「原因不明の不妊」も確かに存在します。
私が看護師になった頃からしばらくは、原因不明不妊は不妊症患者の10~15%と言われていました。
しかし、近年は出産年齢の高年齢化などの要因によって増加傾向にあるようです。
原因不明不妊には本当に何も問題がない場合もあれば、一般の検査では見つけることができない不妊原因が潜んでいるために「原因があっても特定が困難」なケースも。
また、男性側の不妊はある程度の原因が特定しやすいものの、精子が作り出せない「造精機能障害」では「なぜ精子が作れないのか」について原因が特定できないことも多くあります。
治療法はあるのか
やはりここで気になるのは、「原因不明の不妊は治療できるのかどうか」ではないでしょうか。
そもそも、不妊治療については
・原因が特定されて治療法が一部有効とされているもの
・コンセンサス(医学的な知識・根拠に基づいた専門家集団の公式声明)が得られていないもの
・原因が特定できていても治療が困難なもの
があります。
ということは、やはり原因が不明だと積極的な治療は困難。
一通りの検査をした後で、何も原因が分からなければどうしようも無いのが事実です。
とはいえ、もちろん「原因が特定できないと不安」という患者様も一定数いらっしゃいます。
そのためどうしても特定したいという患者様には、遺伝子検査などを含む外部検査を勧めることも。
しかし、治療はあくまでも正しい診断に基づいておこなわれるもの。
遺伝子検査や他の検査をおこなったからといって、100%原因が特定されるわけではありません。
また、検査によっては自然に授かることができるかもしれないカップルに、過剰な治療を施す結果になることもあります。
そのため、不妊の要因となるものが本当にないのかという懸念を排除できない限りは、(患者様によほどの希望がある場合は別ですが)積極的にはお勧めしていません。
原因不明の不妊と診断された場合、自然妊娠できないのか
原因不明の不妊と診断されて、そうすればいいかわからなく不安に押しつぶされそうな方も多いでしょう。
でも安心してください。
結論からお伝えすると、原因不明の不妊でも自然妊娠の可能性は十分にあります。
しかしながら、ステップアップを進めることで「特定できなかった不妊の原因」が排除されることもあります。
そのため、当院では基本的にはステップアップを進めていく中で、普段の習慣の見直しを優先してもらっています。
冒頭の患者様のケースに戻りましょう。
こちらのご夫婦は各検査内容に問題がなく、ご年齢に比較的余裕がありました。
また、ご夫婦ともに自然妊娠を強く望まれたため、まずは話し合いをおこなうことに。
今何をストレスに感じているか?不妊治療をどう進めていきたいのか?
十分にヒアリングした結果、休憩の意味も含めてしばらくタイミング法に戻すことになりました。
もちろん、年齢を考えるとあまり時間をかけられないなど、人によって状況は異なります。
ただ、もし治療の過程でストレスを感じているのなら、ステップダウンしてみることも1つの決断ではないでしょうか。
その際には、今まで以上に生活習慣の見直しをしたり、不足している栄養を補ったりと基本に立ち返ったサポートを心がけています。
前回ご紹介したサプリメントや生活習慣見直しのためのLINE相談などをご紹介することもあります。
▽お勧めのメンズサプリと相談窓口の記事はコチラ
https://tips.jp/u/ninkatsu-blog/a/5fVqddKU
まとめ ~妊活は十人十色、まずはできることから見直しを~
妊活の進め方にいわゆる「正解」はありません。
100人いれば100通りの妊活があると言ってもいいでしょう。
ステップアップをすることが確実な近道となるご夫婦がいる一方で、1つ1つ納得しながらストレスのない方法を選んでいくのが最適なケースもあります。
大切なのは、自身とパートナーに合った方法を選択すること。
どんな選択をしても、「今できることは何か?」と自分の体と心の声に耳を傾けながら、妊活という名の夫婦生活に向き合って頂きたい。
そのお手伝いができれば本望です。