不妊治療クリニックの日常は『涙の診察』です
日頃仕事で患者さんと接する中で、よく目にするのが「涙」。
そう、不妊治療クリニックでの日常は「涙の診察」なんです。
涙にも色々な種類があり
「なかなか授からないための悲しみの涙」
「パートナーに理解されず悔しい涙」
「採卵の痛みに耐える涙」
「着床したのに育たず、胸が引き裂かれる涙」
「心拍が確認できたときの喜びの涙」etc……
数え上げたらキリがないほどたくさんの涙に、私たち看護師は出会っています。
もちろん、男性の瞳に涙がにじむことだってありますが、圧倒的に女性の涙に出会うことが多いでしょう。
どれだけたくさんの涙を見てきても慣れることはなく、いつも胸が締め付けられる思いです。
涙の数だけそこへ至るまでのストーリーがあるわけですが、実はクリニックへ足を運ぶ女性の特徴はいくつかのパターンに分けられることをご存知でしょうか。
そこで今回は、私が考える「不妊治療クリニックに来られる女性の特徴」についてお話したいと思います。
不妊治療クリニックに来院される女性の特徴6つ
妊娠の悩みを抱えて来院される女性は、体質や性格で6つの特徴にわけられると考えられます。
もし、今日のブログを読んで「当てはまってる!」と思っても大丈夫。
却って原因がわかり、改善の余地があるというものです。
それでは、6つの特徴を見ていきましょう。
特徴1、万年冷え性、代謝が悪い『痩せ型』
女性に多い「冷え性」。
患者さんの中にも、「冷え性です」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
私はその場合、注意深く生活習慣を伺うようにしています。
冷たいものや、身体を冷やすものを好んで食べていない?
いつもシャワーでお風呂を済ませていない?
毎日座った状態が多くない?などなど……
これらの生活習慣が状態化している人は、代謝が悪くなっている恐れがあります。
そもそも冷え性は、血液の循環が悪く血流によって作り出される熱量が少ないことから起こる症状。
また、自律神経の乱れなどから体温調節機能がうまく働かない場合にも起こります。
そのため、まずは手軽にできる代謝アップ方法をおすすめすします。
代謝アップ=身体の中で作られるエネルギー量がアップ!
すると血流も良くなり、冷え性が改善することが多いんですよ。
ではどうすれば代謝アップできるのか。
簡単なのはスバリ、筋力をつけること。
血液を循環させるには、ポンプとなるものが必要です。
それが筋肉。
筋肉のポンプ機能によって、力強く血管が収縮し身体の隅々まで血液が循環します。
とはいえ、「運動苦手なんだけど……」という人もいるでしょう。
何もジムに通ってマシンで筋トレ、そこまでする必要はありません。
スクワットなどのお家でできる運動で十分。
大きな筋肉を意識的に動かすことが大事なんです。
ふくらはぎの筋肉は血流に大きな影響を与えるので、かかと上げもいいですね。
それなら歯磨きや料理中など、何かをしながらできるのではないでしょうか。
もちろん、食事面も重要。
内臓を冷やす冷たい飲みものや、糖分たっぷりのお菓子ばかり食べてはいませんか?
代謝アップのためには、身体を温める生姜や根菜類、体内でエネルギーに代わりやすいタンパク質を多く含むものを積極的に摂りましょう。
1日3食、規則正しく食べるのも重要です。
特徴2、他人からの一言が許せない。。。と『怒り爆発型』
クリニックは戦場です。
先生も患者さんも、真剣に不妊治療に向き合ってるからこそ、時には熱くなりすぎてしまうことも。
その結果、先生と患者さん・もしくはパートナー同士で口論になるのもよくあることです。
「何気ない一言」に敏感に反応してしまい、ついカッとなってしまっているシーンをよく見てきました。
みんな真剣に取り組んでいるからこそ起こることで、仕方のない部分ではあるのですが……
妊娠の敵はストレス。
できれば無用なストレスは避けたいものです。
そこで必要なのは、怒りを無理に抑える方法ではなく、上手く発散させる方法。
怒りを上手く発散できないと、どうしても不妊治療自体にもネガティブな感情や不満を抱いてしまうのではないでしょうか。
何も、毎回ウキウキで不妊治療外来に来ましょう、というつもりはありません。
不妊治療の門を叩いてくださっただけでも、とても勇気のいることだったと思います。
まずはそれだけで大きな第一歩。
頑張っている自分を、思い切り抱きしめてあげてくださいね。
そして少しでも心穏やかに過ごし、メンタルを安定させるため怒りをコントロールしてみましょう。
たとえば、こんなアンガーマネジメント方があります。
怒りを感じたら、怒っている自分から距離をおくように「自分を壁に止まったハエの視点から見てみる」というものです。
意識を少し現場から離し、自分を客観視する。よくある方法なのですが、意外と効果的なのが証明されています。
プレママさんの皆さんには『今の状況を、お空から心配そうに未来の赤ちゃんが見ているよ、なんて声をかけてあげようか?』と言い換えています。
すると、不思議とハッとした表情をされる患者さんが多いです。
なんのために努力しているのかを見つめ直し『我が子を悲しませたくない』という優しい母性が生まれるのだと感じています。
またクリニックの中では患者さんの行き場のない怒りを抑えるために、私たち看護師が隠れ蓑になることも。
不安に思うことや納得できないことなど、なんでも吐き出して気持ちを楽にして欲しいです。
特徴3、どうして私だけが、、と『自分を責め型』
なかなかすぐに結果に結びつかないことの多い不妊治療。
「頑張っているのに実らない」と不満を抱えるのは同じでも、矛先が他人に向く方がいる一方で「自分がダメなんだ、私には欠陥があるんだ」と自分を責めてしまう方も一定数いらっしゃいます。
そうやって自分に自信がなくなってしまうと、背筋が曲がって下を向いてしまいがち。
でもそのままでは、身体の巡りも悪くなり気持ちも落ち込みがちになってしまいます。
それでは悪循環ですよね。
中には「不妊鬱」に陥ってしまう方もいるため、注意が必要です。
不妊の原因は必ずしも女性に問題があるわけではありません。
もし女性側に原因があったとしても、それを妊娠まで導くのがクリニックの役割。
もちろん、男性側の協力だって必要です。
自分を責めてしまいがちな方は、
「大丈夫、私だけのせいじゃないから」
「今、頑張っているこの時間には意味がある」
と深呼吸をして、背筋をピンと伸ばすよう心がけていきましょう。
特徴4、クリニックに頼りっぱなしの『依存型』
医療に絶大な信頼を置いている方や、周囲からのプレッシャーで不妊治療を始めた方に多いのがこのタイプです。
「医療は絶対」と思っていたり、とりあえず「不妊治療を行っている」ということでプレッシャーから逃れたいと思っているなど、理由は様々。
共通して言えるのは、「クリニックに行っているのだから自分では何もしなくてもいい」と思っていることでしょう。
妊娠については、まだまだ医療で解明できないこともたくさんあります。
もちろん、頼ってもらうのは嬉しいことですし、出来る限りの治療方法を提案し妊娠まで到達させることがクリニックの役割です。
そのために最新文献を参照したりと、日々知見を広めるために勉強もしています。
問題は、「クリニックに行きさえすれば大丈夫」といった依存に繋がってしまうこと。
クリニック側も、「これさえすれば絶対に授かります」なんて魔法の言葉を言えるわけではありません。
飲酒や夜更かし、運動不足など妊活に良くない習慣はありませんか?
実際にこれらの習慣を続けた結果授からず、「もっと早く〇〇に気をつければよかった」と後悔する女性たちを沢山見てきました。
医療には限界があり、あくまで皆さんの土台があってこその役割だと私は思っています。
それに健康的な生活は、妊活だけのためではなく皆さんのこれからを作る大事な土台です。
土台作りをしっかりと行えば、治療との相乗効果が生み出せます。
そのためにも、今からできることを始めませんか?
特徴5、あれもこれもと手を出す『手当たり次第型』
いわゆる「検索魔」の方が陥りやすいのがこのタイプ。
色々な情報に触れて、やってみるものの何が正しいのか分からなくなってしまう状態です。
一見「依存型」と真逆のタイプに見えますが、じつは「妊活」というワードに縛られて依存しているとも言えますね。
しかも、妊活をサポートするサプリやグッズ、施術などは高額なことも。
そのため長期間の継続が難しく、結局は手当たり次第に手を出してはどれも中途半端になってしまうことも少なくありません。
「妊娠の確率を上げる」という観点では医療と同じことを謳っていますが、それが本当にあなたにとって必要な出費なのでしょうか?
根拠となるエビデンスはしっかり確かめましたか?
妊娠を望むあまり、つい色々なものに縋りたくなる気持ちは誰しもが持っています。
でも、一歩引いて冷静にみることも大切。
検索やあれこれ試したい気持ちを一旦やめてみることは、心身のデトックスとも言えますね。
実際に少し妊活から離れてみた途端に、授かる人も多いようです。(私もそうでした)
ちょっと妊活に必至になりすぎたと自覚している方は、肩の力を抜いて純粋にパートナーと楽しむ時間や自分自身を癒やす時間を作ってみましょう。
特徴6、つらい気持ちを吐き出せない『ため込み型』
最後に、ここまで読んできて「私はどのタイプにも当てはまらなかったな」と思ったあなた。
普段、辛い気持ちを吐き出したり発散したりできていますか?
実は、知らず知らずのうちに自分の心の声を聴かないように、ロボットにように妊活に取り組む方もいらっしゃいます。
まるで「子作り工場」でベルトコンベヤーに乗っているような気持ちで、淡々と妊活を進めているような。
もちろん、結果が全てとおっしゃる方も多いですし、それが悪いという意味ではありません。
やるべきことを淡々とできる人は、自分で気持ちの処理ができるある意味「大人の女性」と言えるでしょう。
しかし、自分の気持ちを押し殺して誰にも見せない。
また、自分だけが我慢すればいいとばかりに気持ちに蓋をしてしまう。
そんな優しい心の女性は、ある日突然ポッキリと折れてしまうことがあるようです。
気持ちのコントロールができる「大人な自分」と、弱音を吐いてしまう「弱い自分」。
どちらも素敵で必要な、愛すべき自分です。
どうか心の声を無視しないで、無理だけはしないでくださいね。
妊娠しやすい女性は6型を排除した“幸せ脳”
不妊治療クリニックに来院される女性の特徴を6つ、ご紹介しました。
中には少々厳しいことも言いましたが、改善するのは難しいことではないはずです。
毎日何十人という患者さんとお話しをしている中で感じたのは、上記6つのタイプは共通して「心身に何らかのストレスを抱えている」ということ。
ストレスは妊活において最大の敵です。
なぜなら、ストレスを感じた際に分泌されるホルモンが排卵や女性ホルモンの分泌を抑制してしまうから。
ストレスを感じると「プロラクチン」や「コルチゾール」といったホルモンが分泌されます。
これらはストレス耐性を増強させる働きがあるため、人体を守るために必要なホルモン。
しかし一方で妊活においては、妊娠確率を下げる要因になってしまうんです。
妊活にとって必要なのは、「セロトニン」と呼ばれる幸せホルモン。
セロトニンが多く分泌されると精神が安定し、ホルモンバランスも同時に安定します。
セロトニンを分泌する力を、自ら身につけましょう!
セロトニン分泌には「リズム性運動」が効果的との研究結果があります。
リズム性運動には、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどがあります。
また深い呼吸をおこなうのも重要なので、ヨガや瞑想なども効果的。
リズム運動でセロトニン分泌が活発になり、ストレスも発散できます。
ぜひ、日常生活に取り入れてみてくださいね。
6型を排除した「幸せ脳」を手に入れて、妊活の効果を高めましょう!
~よくあるご質問~
葉酸サプリや旦那さんへのサプリは何を利用するのが良いですか?
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