目次のタイトルとは違いますが上記の内容の記事となります。
なお、本記事は催眠と言う現象に特化して、根本理解からその考え方ややるべきことにフォーカスした内容になっています。
具体的な催眠誘導方法などの解説はしていないので、ご了承ください。
また、少々大人向けの内容となっていますので未成年のご購入はご遠慮ください。
なお、この記事で扱う催眠とは催眠術、ヒプノセラピーを含んで広く捉えたもので、そこから派生したNLPにも言及しています。
この記事が対象とする読者像は以下です。
- 催眠に興味があって概要を理解したい人
- これから催眠に取り組む人
- 催眠を始めたけどまだ深くは知らない初心者
- 催眠にかかりたいかかり手希望の方
上記の方向けに
・催眠への懐疑的な気持ちを払拭する
・バックボーンを強化して知識と技術を向上させる
・催眠について人に説明できるレベルで根本理解をする
・催眠的視点から捉えて性感の本質を理解する
・催眠的思考を取り入れコミュニケーションに活かす
ことを目的とした記事となります。
かかり手の希望の方には、怪しい、怖いといった恐れを払拭する意味が大きいでしょうし、そこからかけ手にステップアップするキッカケになるかもしれません。
また催眠による自己改善(自己催眠)を行いたい人にとっても、その考え方を理解する重要な意味があるでしょう。
催眠に関して根本からしっかり書いたドキュメントとしては
かなりわかりやすく書いた部類と思いますが、専門的な記述を多く含みますので、催眠や心理に興味ない方は眠くなります 笑
また、目的の中に性感やコミュニケーションを含めていますが、催眠へ興味を持つ人でここに興味がない人はほぼいないでしょうし、実際に有効活用している人はいくらでもいます。
実際のところ、カウンセリングからの流れでヒプノセラピーを始めた方を除いて、それ以外の方はここに生かしたい目的で催眠の世界に足を踏み入れる人が大半ではないでしょうか?
身も蓋もないことを言うなれば、カウンセリング目的の方以外は
・催眠で性感を向上させてセッ○スに活かしたい
・催眠でイッてみたい
・催眠的なコミュニケーションで異性を落としたい
という要望が強くて
次いで
・催眠で習慣やネガティブ思考を改善したい
・催眠的なコミュニケーションでビジネスや人間関係を改善したい
という要望が強いと言うところでしょうか?(かなり偏見かもしれませんが)
それでたまに、催眠を生業にしたい人がいる程度。
上記のような意図のもと書かれているという事情もありますので、
熟練の方に向けた記事ではない点にはご留意下さい。
また催眠については様々なお立場があり様々なご意見があることも承知ではありますが、本記事はそれらを網羅することができません。
異論ある方もいるとは存じますが、その場合は一般に向けた噛み砕いた読みもの程度とご理解くださいますようお願いします。
はじめに
催眠術、ヒプノセラピー(催眠療法)・・
世界的に普及してはいるものの、世間一般にはまだまだ怪しいと言われる催眠と名のつく一連の技術。
中にはスピリチュアルやオカルトと混同している人もいるし、実際に、スピリチュアル要素を混ぜて話す人もいます。
こうなるとより怪しく感じますよね。
TVの催眠ショーでは
目の前にいる人が見えなかったり、辛いものを平気で食べたりもしますよね。
これもまた実に胡散臭い。
不思議な現象が繰り広げられているわけなので、ヤラセと思ったりスピリチュアル的なものと思ったり。
ですがこれは全て実現可能。
催眠の技術はマジックでも特殊能力でもなくてきちんとやり方を理解すれば誰でも覚えられるものであり、特別なものではないのです。
👩TVの催眠ショーはヤラセじゃないの?
とか思われがち。
確かに。催眠のテクニックで実現可能とはいえ
TVの催眠ショーは、TV的な尺とか見せ方や出演者のご都合もあるので、大人の事情やら自主的なヤラセもありそうです。
でも現象そのものは実際に起こり得ること。
なのでこの記事では
基礎編として下記8項目にについて説明をしていきます。
- 催眠という現象についての科学的な基礎理解
- 催眠の深さと感覚の変化
- 催眠術とヒプノセラピーとNLP
- もう一歩深い催眠の理解 〜 潜在意識を変革する4パターン 〜
- もう一歩深い催眠の理解 〜 なぜ催眠誘導ができるのか 〜
- もう一歩深い催眠の理解 〜 感覚変化と性感について 〜
- もう一歩深い催眠の理解 〜 暗示を定着させるには 〜
- もう一歩深い催眠の理解 〜 強力な催眠的コミュニケーション 〜
改めてお伝えしますが、この記事の目的は
催眠とは何か、何をするのかを説明できるレベルで理解する
というものです。
直接的な技術の話ではなく、これらのベースになる重要な考え方の説明になります。
考え方は熟知していて具体的なスクリプトや手法を知りたい、と言うご要望に叶うものではありません。
或いは日常的に催眠を行なっているプロの方からすれば目新しいものはほとんどないでしょう。
これらの方には本記事はお勧めしません。
催眠の世界に入りたての人であれば、理論的武装して根拠となる知識を増やし大きく後押しするでしょうし、催眠って何?っていう方にも催眠が何かを分かっていただける記事となっています。
なお、各セクションの冒頭に要点をリスト化していますので、これを一読してから、各セクションの内容に入るようにしてください。
催眠という現象についての科学的な基礎理解
- 催眠は医療にも用いられる科学的に認められた技術
- 通常とは異なる意識状態は変性意識状態
- 催眠誘導とは変性意識状態に誘導すること
- 顕在意識とは物事の判断を行い、不都合、不要な情報をブロックする領域
- 潜在意識とは習慣(行動パターン)や思考パターンを記憶している領域
- 催眠の技術とは潜在意識に直接的に働きかけ、判断や区別のない潜在意識に一時的に思い込みをさせる技術
タイトルに「科学的な基礎理解」と書いている通り、催眠はエビデンスのある技術。
催眠の技術は心療内科等、精神科系の臨床的な治療手段としても用いられてもいます。
催眠を使った技術を簡潔に言うなれば
「言葉かけなどを行って意識を深いリラックス状態に誘導(催眠誘導)し潜在意識に働きかける技術」
ということになります。
つまりは特殊な能力や環境に関わらず練習すれば誰でもできるようになるもの。
そして、同様の現象はありふれたものであり誰もが経験したことがあるものでもあるのです。
では催眠状態とはどのようなものなのか?
例えば寝起きでボーっとしてるとき。
意識はハッキリしてなくて目を瞑ればそのまま夢の続きを見れそうなとき。
あるいは、高速道路を運転していて目の前だけに意識が集中している時。
これは日常とは異なる意識の状態です。
寝起きの例で言えば、意識があまり働いていない。
高速道路の例で言えば、意識がある部分にだけ集中してそれ以外の部分には向いていない。(ある部分以外に対して意識があまり働いていない)
これを変性意識状態というのですが、これも催眠状態に近いと言えます。
催眠状態とは催眠誘導によってもたらされた変性意識状態なのです。
つまり催眠の技術とは変性意識状態に誘導(催眠誘導)して潜在意識に働きかける技術と言えます。
このあたりの話をもう一段深く理解するために
まずは意識の話を理解しましょう。
人の意識には、
表面の意識=普段認識している意識の領域=顕在意識
内側の意識=無意識の領域=潜在意識
があります。
通常は、外からの情報に対して
顕在意識が判断して情報をフィルタリング=判断
します。
顕在意識とは物事の判断を行い、不都合、または不要な情報をブロックする領域なのです。
対して、
潜在意識は無意識ともいうもので判断というものがない
=善悪どころか夢が現実かの判断もしない
潜在意識とは経験や記憶をもとに形作られた
習慣(行動パターン)や思考パターンを記憶している領域なのです。
=潜在意識とは判断や意思のない習慣化されたパターンを記憶している領域
故に人の行動の大半を占める無意識の行動は
潜在意識に記録された行動パターンが行動となって現れたもの。
物事の選択は
潜在意識に記録された思考パターンが行動となって現れたもの。
なのです。
催眠状態とは顕在意識の働きを弱めて潜在意識に働きかけを行うことができる状態。
ある意味、潜在意識が表に現れている状態とも言えます。
だからこそ、
寝起きで健在意識があまり働いていない状態
集中して意識が特定の部分にしか向いていない状態
(特定の部分以外に対しては意識が弱まっている)
は一種の催眠状態に近いと言えます。
催眠を使った技術とは潜在意識に直接的に働きかける技術。
催眠状態に誘導(催眠誘導)し、
意識に邪魔されず潜在意識に直接働きかけることで
判断や区別のない潜在意識に一時的に思い込みをさせるもの。
例えば、これを入り口にガードマンがいるオフィスビルで考えるとこんな感じです。
入り口にいるガードマンを顕在意識とします。
オフィスの中にいる人に用があるのだけど部外者はガードマンに阻まれて中に入れません。
ところが、ガードマンの気をそらしたり眠ったりすれば、隙が生まれて中に入ることができるし、中の人に直接働きかけることもできます。
催眠を使った技術で行うのはこういうことです。
因みに、上記だけ読むと催眠は強力故にやはり危ないのでは・・?
と思われるかもしれませんが、かけられた側の意思に沿わない誘導や暗示は弾かれてしまいます。
これについては「もう一歩深い催眠の理解〜なぜ催眠誘導ができるのか〜」をご参照ください。*有料記事の記載となります。
催眠の深さと感覚の変化
- 催眠状態には変性意識状態の程度によって深さがある(催眠深度)
- 催眠状態が深まるにつれて感覚に変化が起きやすくなる
- 催眠状態が深まるにつれてより大きな感覚の変化を起こせるようになる
- 顕在意識が弱まると言葉は顕在意識のフィルターをすり抜け潜在意識に届く
- 夢か現実の区別がない潜在意識は届いた言葉を事実として受け止めて認識
前項の内容により潜在意識に働きかけ、潜在意識に思い込みを起こさせて行動や思考のパターンを変えることができると言うことがわかりました。
しかしこれだけでは分からないことがあります。
催眠ショーで、手が動かなくなったり、横にいる人が見えなくなったり、ワサビを辛いと思わなくなったりすることについて説明ができていません。
これについて重要なポイントは以下の3点です。
・催眠状態には変性意識状態の程度によって深さがある(催眠深度)
・催眠状態が深まるにつれて感覚に変化が起きやすくなる
・催眠状態が深まるにつれてより大きな感覚の変化を起こせるようになる
なぜこのようなことが起きるのか?
それは、顕在意識の働きが弱まって判断が鈍った結果、与えられた言葉は顕在意識のフィルターをすり抜け潜在意識に届いてしまう。
すると夢か現実の区別がない潜在意識は言葉を事実として受け止めて認識してしまうから。
なのでより大きな感覚の変化であればあるほどに、
顕在意識の働きを弱める=深い催眠状態に誘導する
必要があるということです。
催眠深度には4つの尺度があります。
・筋肉の硬直
・健忘
・感覚麻痺
・幻聴、幻覚
上のリストの下位に行くほど深い催眠状態が必要で
また深まるほどその程度も強くなります。
このカラクリを使えば辛いものが辛くない。あまり痛くない。見えない。(見えてるけど認識してない)ということが起こるのです。
TVで見る
一緒に来た人が見えなくなる
一緒に来た人が好きな芸能人に見える
と言うのはかなり深い催眠状態に入っていると言うことです。
催眠術とヒプノセラピーとNLP
- 催眠術:儀式的、あるいはショーとして用いる催眠
- 古典催眠:直接的な催眠誘導を行う催眠術
- 現代催眠:間接的な催眠誘導を行う催眠術
- ヒプノセラピー(催眠療法):精神的な癒し治療に特化した催眠
- NLP(神経言語プログラミング):催眠の要素を除いた心理技術
- 催眠を理解することでNLPそのものへの理解が深まる
- 催眠の技術向上にもNLPの技法が非常に有用
催眠術とヒプノセラピー(催眠療法)とNLPの違いについて、そして古典催眠と現代催眠の違いについてもお話しします。
ざっくりとその違いを示すと以下のようになります。
催眠術
・・ 儀式的、あるいはショーとして用いる催眠
古典催眠
・・ 直接的な働きかけにて催眠誘導を行う催眠術
→ 「あなたは眠くなる」など直接的な催眠誘導
現代催眠
・・ 間接的な働きかけにて催眠誘導を行う催眠術
→ 会話やイメージを通じて意識を誘導していく関節的な催眠誘導
ヒプノセラピー(催眠療法)
・・ 心理的な癒し、潜在意識に定着している行動・考え方のパターンを改善したり、心理的なコンディションの改善を目的に用いる催眠
NLP(神経言語プログラミング)
・・ 現代催眠をブラッシュアップして催眠の要素を除いた心理技術
→ カウンセリングやコーチングに多用されている
催眠術の起源はシャーマニズム、呪術的医療行為、様々な宗教的な儀式であり、それを呪術や宗教などから切り離して発展したものが今の催眠術です。
さらに催眠誘導に直接的な指示を与える古典催眠から、会話やイメージを使って間接的な誘導を行う現代催眠に発展し、そこからヒプノセラピーやNLPが生まれました。
(催眠療法自体は催眠術の一環として昔からあるものですが、現在主流のヒプノセラピーは現代催眠ベース)
そのため、催眠というと非常に神秘的であったり非科学的に見えやすい要素があり、実際にスピリチュアルに結びつけて活動する人も多くいます。
スピリチュアルに結びつけるというやり方は、催眠にかかる相手に対して、特にスピリチュアルに対して関心のある層に対して信頼性や信憑性を高めて、催眠をかかりやすくする有効な手段でもあります。
ですがこれこそがスピリチュアルと混同されてしまう原因であり、
このイメージを良くも悪くも利用して玉石混交の状態が生まれています。
私はスピリチュアルを全否定するのではなく、それがあることで具体的なイメージを作りやすくなって求める結果に結びつけることができるなら、それはそれでアリと考える立場です。(実際にあるスピリチュアルの専門家がこのようなことを言っています。)
むしろこれがスピリチュアルの現実的な理解と活用方法でしょう。
しかしスピリチュアルの形や明白な結果がないことを悪用している人たちがいる。
そしてそうしたものに傾倒していく人たちの悲哀をみて、またスピリチュアルへの嫌悪が広がっていく。
科学的根拠のある催眠と科学的根拠のないスピリチュアル。
相性が良くても色々と誤解を生みやすい組み合わせでもあります。
そして催眠も同列に扱われかねない。
ここに問題を感じます。
一方で、催眠を出自としながらも催眠からは独立し、有用な心理テクニックとして様々なカウンセリングやコーチングに応用されるNLPは、現実的で実際的な心理技法の体系化されたものであり、もはやスピリチュアルとは混ざらないものでしょう。
NLPを学習するのであればその元になる催眠を理解することでNLPそのものへの理解が深まりますし、その逆で、催眠の技術向上にもNLPの技法が非常に有用です。