「貯金が少ないと結婚できない?」——20代・30代・40代が結婚資金を分けて考える7つの整理
りなお@みんなの知恵袋
対象:収入の不安定さや貯金の少なさから、「自分は結婚できないのでは」と悩んでいる20代・30代・40代の男女
ゴール:結婚に必要なお金を一つの大きな金額で考えず、二人が選ぶ時期・規模・暮らし方へ分け、婚活中に確認すべきことを具体化すること
「貯金が少ない自分が婚活しても、相手に迷惑ではないか」
「結婚式、新居、指輪まで考えると、とても払えない」
「収入が安定してからと思っていたら、いつ婚活を始めればいいか分からない」
経済的な不安は、結婚への希望を簡単に小さくします。
しかし、結婚資金という一つの決まった金額があり、それを用意できた人だけが結婚できるわけではありません。
入籍、新居、引越し、家具、式、旅行、住宅購入、出産・子育ては、すべて別の選択です。行う時期も規模も、二人で変えられます。
一方で、「愛があればお金は何とかなる」と考え、借金や赤字を隠したまま進むのも危険です。
必要なのは十分な貯金額を演出することではなく、今の数字を共有し、無理のない生活を一緒に作れることです。
この記事では、結婚できる・できないを貯金額だけで決めず、経済的不安を七つに分けて整理します。
整理1:「結婚」と「結婚イベント」を分ける
最初に、次の項目を別々に考えます。
・婚姻届を提出する
・一緒に住む、または当面は別居を続ける
・引越しや家具を用意する
・婚約・結婚指輪を買う
・結婚式や会食を行う
・新婚旅行へ行く
・住宅を購入する
・子どもを持つ準備をする
これらを同じ月にすべて実行する必要はありません。
「結婚するなら式も新居も旅行も必要」とまとめるほど、必要額は大きく見えます。
まず二人が望むものを、次の三つへ分けます。
区分|意味|例
今すぐ必要|結婚生活を始めるために欠かせない|初期住居費、最低限の家具、当面の生活費
後から選べる|時期や規模を変えられる|式、旅行、指輪、家具の買い替え
行わなくてもよい|二人が望まなければ省ける|披露宴、大型の前撮り、新品での一式購入
何を省くかではなく、二人が何へお金を使いたいかを決めます。
整理2:貯金額より先に、毎月の収支を見る
貯金100万円でも毎月赤字の人と、貯金20万円でも毎月安定して残せる人では、今後の見通しが違います。
金融庁は、家計管理の基本として収入と支出を把握し、収支を黒字にして、黒字分を貯蓄することを挙げています。
参考:資産形成の基本|金融庁
まず直近3か月の平均を出してください。
・手取り収入
・家賃・住宅費
・水道光熱費・通信費
・食費・日用品費
・保険料
・奨学金やローンの返済
・趣味・交際費
・毎月残る金額
収入が月ごとに変わる場合は、好調な月ではなく、低い月を基準に生活費を組みます。
賞与、残業代、副業収入を毎月の固定費の前提にしないことも大切です。
整理3:二人の「最低生活費」を試算する
結婚後に必要なのは、華やかな平均額ではなく、自分たちの生活費です。
次の三案を作ります。
A案:今の住居を使う
どちらかの家で暮らせる場合、引越しや新規契約の費用を抑えられる可能性があります。広さ、通勤、契約条件、家賃負担を確認します。
B案:賃貸へ引っ越す
家賃だけでなく、敷金・礼金、仲介手数料、引越し、更新料、通勤費の変化まで見ます。
C案:当面は別居を続ける
仕事、介護、子どもなどの事情で、入籍後すぐに同居しない選択もあります。ただし、二重の住居費、会うための交通費、将来の合流時期を確認します。
住宅購入を結婚の条件にすると、一度に必要な判断が増えます。まず共同生活が成り立つかを確認し、購入は別の計画として検討できます。
整理4:「使う資金」と「残す資金」を分ける
貯金をすべて結婚式や引越しに使うと、新生活の直後に病気、失業、家電の故障などが起きたとき対応できません。
資金を四つの箱に分けます。
1.新生活を始めるためのお金
2.式・旅行・指輪など希望をかなえるお金
3.毎月の生活に使うお金
4.緊急時のために残すお金
大事なのは、4をゼロにしないことです。
緊急資金の適正額は、雇用の安定性、扶養家族、健康状態、住居、保険などで異なります。「全員が必ず何か月分」と一律には決めず、自分たちの収入が止まった場合を想定して決めてください。
整理5:借金・奨学金・支払い義務を隠さない
結婚で問題になりやすいのは、借入があることだけではなく、重要な情報が後から出てくることです。
結婚の話が具体化したら、双方が次を共有します。
・奨学金、カードローン、自動車ローン
・リボ払い、分割払い
・税金や社会保険料の未納
・家族への仕送りや扶養
・連帯保証や保証人の有無
・毎月の返済額と完済予定
借入を責める場ではなく、共同生活に与える影響を確認する場にします。
ただし、相手の借金を肩代わりする、名義を貸す、保証人になることを急がないでください。返済のために新たな借入を重ねる状態なら、家族だけで抱えず、公的な相談窓口や専門家へ相談します。
参考:貸金業法のキホン|金融庁
整理6:収入の「額」と「安定性」を分けて話す
会社員、契約社員、派遣、個人事業、歩合制、休職中など、働き方によって収入の見え方は異なります。
確認するのは肩書だけではありません。
・過去1年の手取りの幅
・契約更新や繁忙期・閑散期
・病気や休業時の制度
・転職・独立の予定
・収入が下がった場合に減らせる支出
・家事や育児を含む働き方の希望
「安定した相手を探す」だけではなく、変化したときに二人で修正できるかを見ます。
収入が高くても生活費が大きく借入を隠す人より、収入の変動を説明し、予算を守れる人の方が、共同生活を具体的に考えられる場合があります。
整理7:使える制度と中立的な相談先を確認する
自治体によっては、新婚世帯の家賃や引越費用などを支援する事業があります。こども家庭庁は、令和8年度も地方公共団体による結婚に伴う新生活への経済支援を支援しています。
ただし、実施の有無、年齢・所得要件、対象費用、申請時期、上限額は自治体によって異なります。契約や支払いの前に、居住予定の市区町村へ確認してください。
家計を二人で整理できない場合は、特定の金融商品を売ることを前提にしない相談先も選択肢です。J-FLECでは、家計管理や生活設計について相談できる案内を公開しています。
婚活中に、お金の話をする三段階
初対面で通帳を見せる必要はありません。関係の進み方に合わせて、話す内容を深くします。
初回~2回目:お金の使い方を見る
・休日に何へお金を使うか
・外食と自炊のバランス
・住まいや働き方の希望
・高額なデートを当然としないか
交際前後:生活の方針を話す
・結婚式や住居への希望
・共働き・家事分担への考え
・子どもを望むか
・貯蓄と消費の優先順位
結婚を具体化する前:数字を共有する
・手取りと毎月の支出
・貯金・資産と負債
・返済・仕送り・扶養
・結婚時に使える金額
・結婚後も個人で残すお金
相手にだけ開示を求めず、自分も同じ範囲を伝えます。
伝え方のNG例と改善例
NG例1
貯金がないので、結婚式はできません。
改善例
今使えるお金と、生活を守るために残したいお金を分けたいです。式をするなら時期や規模を一緒に考えたいです。
NG例2
収入が不安定だから、安定した人と結婚したいです。
改善例
収入に変動があるので、低い月を基準に生活しています。結婚後の働き方と家計分担を、お互いの状況を見ながら相談したいです。
NG例3
お金のことは結婚してから何とかしましょう。
改善例
正確な金額も含めて、結婚を決める前に収入、支出、貯金、返済を二人で確認したいです。
年代別に優先すること
20代:完成した貯金額より、習慣を作る
・毎月の収支を黒字にする
・奨学金や分割払いの残高を把握する
・式や住宅を周囲の基準で決めない
・転職や収入増の可能性も計画へ入れる
20代は、現在の金額だけで将来を断定しません。二人で家計を整える習慣があるかを見ます。
30代:複数の予定を同時にしない
・式、引越し、住宅、出産計画を別々に試算する
・育休や働き方の変更を確認する
・いつまでに、何を優先するか決める
・親からの支援を前提にしない案も作る
時間への焦りで、説明のないローンや無理な支出を選ばないことが重要です。
40代:老後・介護・再婚条件まで含める
・退職までの期間と老後資金
・親の介護や仕送り
・住宅ローンの返済期間
・再婚の場合は子ども、養育費、資産の扱い
・一人の生活から残したい支出
40代は結婚イベントだけでなく、その後の生活全体を一枚の計画にします。
30日間で「結婚できない」を数字へ変える
1週目:現在地を出す
・直近3か月の手取りと支出を集計する
・貯金、資産、借入、返済額を書く
・不明な支払いをなくす
2週目:結婚イベントを分ける
・入籍、新居、式、旅行、住宅、子どもを別々にする
・今必要、後から、行わない、へ分類する
・緊急時に残すお金を決める
3週目:二人の家計を仮に作る
・住居A・B・C案を試算する
・生活費の分担方法を三案作る
・収入が下がった場合の縮小案を書く
4週目:会話と制度確認をする
・相手へ伝える文章を準備する
・居住予定の自治体の支援制度を確認する
・必要なら中立的な相談先を利用する
・3か月後の見直し日を決める
J-FLECは、ライフプランを「どんな人生を送りたいかという構想」と説明し、実現のために将来の収入と支出を見通すキャッシュフロー表の活用を紹介しています。
最後に:結婚に必要なのは、完璧な残高ではない
貯金が少ないことや収入が不安定なことは、考えなくてよい問題ではありません。
しかし、それだけで結婚する資格がないと決まるわけでもありません。
見るべきなのは、数字を隠していないか。
毎月の生活が成り立つか。
希望のために生活を壊さないか。
変化したときに二人で計画を直せるか。
結婚資金は、相手に選ばれるための入場料ではありません。二人が望む生活へ移るための予算です。
「いくら持っていれば結婚できるか」ではなく、「今あるお金で、どの生活なら二人で安全に始められるか」を話してください。
