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「心が整ったら動く」をやめると、人生は動き出す

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心理構造究明室

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不安ゼロを目指さずに、あなたの選択肢を増やしていく「並行運転」の技術

抵抗増幅理論

この理論の結論

苦しみは、  痛みだけでできているのではない。

失った。

失敗した。

拒絶された。

怖くなった。

胸が苦しくなった。

ここには、  避けられない痛みがある。

この理論では、  最初に起きた痛みを、

一次苦痛

と呼ぶ。

悲しい。

怖い。

胸が重い。

涙が出る。

体がこわばる。

ここまでは、  起きたことに対する反応である。

そのあと、  人は痛みを消そうとする。

その場所を避ける。

何かで気を紛らわせ続ける。

苦しさが減ったかを何度も見る。

楽になるまで予定を延期する。

また苦しくならないよう、  行動を先回りして狭める。

すると、  最初は痛みを消すためだった行動が、  少しずつ生活を組み替えていく。

行ける場所が減る。

できることが減る。

一人でいられなくなる。

何もしない時間が怖くなる。

不安が消えないと、  始められなくなる。

苦しみが、  生活の条件を決め始める。

このとき、  一次苦痛の上に、  別の苦しみが加わっている。

これを、

二次苦痛

と呼ぶ。

この理論でいう抵抗とは、  苦しみを嫌がることではない。

苦しみをなくすために、  注意や行動や生活が、  そこへ拘束されていくこと  である。

痛みを消そうとする。

一時的に楽になる。

また同じ方法を使う。

やがて、  その方法なしでは動きにくくなる。

苦しくなってから避けるだけではなく、  苦しくなる前から避け始める。

苦しみが、  人生の行動条件になっていく。

そして、  行ける場所、  使える時間、  人との関わり、  挑戦、  選択肢が減っていく。

痛みを消そうとするほど、  生活が痛みを中心に組み替えられ、  その生活の狭さが、  さらに苦しみを増やしていく。

この循環を、

抵抗増幅

と呼ぶ。

この理論が見るのは、  どれだけ苦しいか  だけではない。

その苦しみを消すために、  人生のどれだけを使っているか  である。

そして、  この理論が目指すのは、  苦しみをゼロにすることではない。

苦しみがあっても、  人生の選択肢を失わないこと  である。

第1部 苦しみは、どこから二層になるのか

1 痛いことと、苦しみ続けることは同じではない

大切な人と別れた。

悲しい。

人前で失敗した。

顔が熱い。

突然、  強い不安が出た。

胸が締め付けられる。

ここまでは、  痛みである。

そのあと、  その痛みを避けるために、  生活が動き始めることがある。

一人になると悲しい。

だから、  予定を詰める。

家に帰ると苦しくなる。

だから、  眠くなるまで動画を見る。

電車で不安になった。

だから、  次からその路線を避ける。

胸が重い。

だから、  何度も胸へ注意を向ける。

不安がある。

だから、  不安が消えるまで始めない。

こうして、  痛みそのものとは別に、

痛みを避けるための生活

が始まる。

最初の痛みは、  一つだった。

その痛みに合わせて、  一日の使い方、  行く場所、  人との関わり、  始めるタイミングまで変わっていく。

ここで、  苦しみは二層になる。

2 一次苦痛と二次苦痛を分ける

例えば、  失恋した。

胸が重い。

寂しい。

涙が出る。

これが、  一次苦痛である。

その悲しさを感じたくなくて、  仕事を詰める。

動画を流し続ける。

誰かと常につながっていようとする。

一人になる時間を避ける。

思い出す場所へ行かなくなる。

やがて、  悲しさそのものだけではなく、

悲しくならないように組み替えた生活

を維持する必要が出てくる。

予定が空くと怖い。

スマホがないと落ち着かない。

一人になることを避ける。

思い出す場所へ行けない。

一次苦痛は、  失恋による悲しさだった。

その上に、  悲しみを避け続けるための制限が増えている。

これが、  二次苦痛である。

二次苦痛は、  一次苦痛が大きくなっただけではない。

痛みを避けるために、  生活の自由が失われたことで生まれる苦しみ  でもある。

だから、  苦しいときに見るのは、  痛みの強さだけではない。

その痛みのために、  生活の何が変わったか  である。

3 抵抗とは「嫌だ」と思うことではない

痛いものは、  嫌である。

怖いものは、  避けたい。

悲しければ、  早く楽になりたい。

それは自然な反応である。

この理論は、

「苦しみを嫌がってはいけない」

とは考えない。

嫌だ。

消えてほしい。

逃げたい。

そこまでは、  一つの反応である。

この理論でいう抵抗は、  もう少し先にある。

苦しみを消すことが、  生活の優先課題になり、  そのために行動が縛られていくこと  である。

不安がある。

だから今日は行かない。

悲しい。

だから一人にはならない。

胸が重い。

だから何度も状態を見る。

緊張している。

だから落ち着くまで始めない。

ここでは、  苦しみが存在していることより、  苦しみが、  何をするかを決め始めている。

苦しみが、  行動の許可を握り始める。

ここが、  抵抗増幅の入口である。

4 「痛み・操作・代償」を分ける

抵抗増幅を見るとき、  三つに分ける。

痛み。

操作。

代償。


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この記事のライター

心理構造究明室

不安、反芻、自己否定など、日常の中で起きる心理の仕組みについて書いています。 「これ、なんで起きるんだろう」と思ったときに。

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