「今の会社で働き続けていいのだろうか」
不満はある。でも、辞めた後の仕事や暮らしを考えると、簡単には決められない。そんな迷いを抱えている方へ、この記事では判断に必要な情報の整理方法を紹介します。
まず確かめたいのは、何を変えたいのか、会社に残ると今後の条件はどうなるのか、ほかにどんな選択肢があるのか、という点です。公開調査を参考にしながら、自分の状況を書き出してみましょう。読み終えたときに、次に確認することを一つ決められるよう、5つの視点に分けて紹介します。
1.今の不満を、収入・人間関係・負担に分ける
転職サービスdodaの2025年版調査では、転職を経験した50代が挙げた理由として、給与・昇給への不満が31.9%、人間関係の問題が24.7%、心身のつらさが22.7%でした。複数回答の結果です。[出典:転職サービスdoda「転職理由ランキング【最新版】みんなの本音を調査!」]https://doda.jp/guide/reason/
これは2024年7月~2025年6月に転職した人を対象とする調査です。今の会社で迷っている50代全体の割合ではありませんが、自分の悩みを整理する入口にはできます。
「会社が嫌だ」と感じたら、最近そう思った場面を一つ書いてみてください。
- 仕事が増えたのに、給与や評価に反映されていない。
- 特定の相手とのやり取りが大きな負担になっている。
- 残業や通勤で、自分の時間を確保できない。
これらは考えるための例です。自分に当てはまるものを選び、「何が変われば続けられそうか」まで書いてみましょう。担当業務の変更で改善しそうなのか、会社全体の方針が合わないのかによって、次に確かめることが変わります。
2.会社に残る場合の、今後の条件を確認する
現職には、慣れた仕事や築いてきた信頼など、大切にしたいものがあるかもしれません。そのうえで、数年後の待遇や役割も確認しておきたいところです。
パーソル総合研究所の調査では、一定の長期正社員経験がある60代前半の継続勤務者の60.0%が、給与・賞与の低下を回答しています。対象条件のある60代の結果なので、あなたの勤務先でも同じことが起きるとは限りません。[出典:パーソル総合研究所「『正社員として20年以上勤務した60代』の就労実態調査」]https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/60s-worker/
そこで、就業規則や人事への問い合わせなどで、次を確認してみてください。
- 役職定年や定年は、自分にどのように適用されるか。
- その前後で、給与・賞与や担当業務はどう変わるか。
- 再雇用を希望する場合、どんな勤務条件になるか。
- 異動や勤務時間の調整について、相談できる仕組みはあるか。
分からない項目は「未確認」と書いておきます。今の条件が続くと思い込んだまま判断せず、自分に適用される内容を確かめることが大切です。
3.転職先の条件と、生活上の希望を比べる
転職後の賃金には、上がる場合も下がる場合もあります。
厚生労働省の2024年の統計では、転職入職者の賃金が増えた割合・減った割合は、50~54歳で39.0%・28.2%、55~59歳で27.4%・36.6%でした。正社員だけの集計ではなく、個人の転職成功率や将来の給与を示す数字でもありません。[出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6]https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/kekka_gaiyo-03.pdf
実際の判断では、求人票や提示された条件を、自分の生活と照らし合わせましょう。
確認したいのは、給与のほか、賞与や手当の条件、勤務時間、通勤、仕事内容などです。固定残業代の有無や、求人の年収に何が含まれるかも確認項目に入れます。
生活の側からは、「収入として必要な額」「確保したい時間」「続けられる仕事量」を書き出してみてください。家族と共有が必要な条件があれば、話し合う項目に加えます。
すべてを満たす求人が見つからない場合に備えて、守りたい条件を二つか三つ選んでおくと、比較しやすくなります。
4.これまでの経験を、具体的な仕事の例にする
社外の仕事を調べようとしても、「自分に何ができるのか、うまく説明できない」と感じることがあるかもしれません。
ここからは、経験を整理するための提案です。肩書きに加えて、「どんな課題に、どう対応したか」を一つ書いてみましょう。
たとえば、新人に仕事を教えた経験なら、次のように具体化できます。
「質問が繰り返されていた作業について手順書を作り、新人が自分で確認できるようにした」
これは架空の記入例です。自分の経験を書くときは、実際に担当したことや、確かめられる成果を使ってください。数字が分からない場合、無理に実績を数値化する必要はありません。
その経験を、気になる求人の仕事内容と比べます。現職で別の役割を相談する際にも、どんな仕事を担いたいのかを伝える材料になります。
5.選択肢を並べ、次に確認することを一つ決める
最後に、今考えられる選択肢を並べてみます。以下は検討用の例なので、自分の状況に合わせて考えてみてください。
① 今の部署で働き続ける
今の不満を改善できるか。今後の待遇はどうなるかを確認します。
② 社内で業務や働き方を変える
利用できる制度と条件、相談先を確認します。
③ 社外の仕事を検討する
経験が合う仕事があるか。収入や時間の条件が合うかを確認します。
「今週、再雇用後の条件を人事に確認する」「気になる求人を三つ読み、仕事内容と勤務条件をメモする」など、実行できたか分かる行動を一つ決めます。
その結果、「社内で変えられる余地があった」「希望の働き方には別の経験が必要だった」と分かれば、選択肢を見直せます。未確認の点を少しずつ減らしていきましょう。
おわりに
会社に残るかを考えるときは、今の不満、今後の勤務条件、生活上の希望、これまでの経験を分けて整理すると、何を調べるべきかが見えてきます。
調査の数字は参考になりますが、あなたに合う選択は、実際の条件を確認しながら考える必要があります。
まずは次の三つを、一行ずつ書いてみてください。
1. 今の仕事で、一番変えたいこと。
2. 残る場合・移る場合に、まだ分かっていないこと。
3. 今週、そのうち一つを確かめるためにすること。
今日、退職するかどうかを決めなくても構いません。まずは、自分が判断するために必要な情報を一つ集めるところから始めてみましょう。
「自分の場合」を整理し、次の行動まで考えたい方へ
この記事で確認事項を書き出しても、「自分の強みをどう説明すればよいか」「会社に残る以外の道と、どう比較すればよいか」で迷うことがあるかもしれません。
有料全章版『50代からのセカンドキャリア設計図』では、現在の状況と経験を整理し、「残る・転職・起業・副業」の4つの選択肢を比較します。8つの専用GPTsとの対話も活用しながら、これからの行動を考える教材です。
今回の記事から進むなら、第3章で現在地を整理し、第4章で経験を棚卸ししたうえで、第5-1章の「今の会社に残るという選択」を読む流れが役立ちます。ほかの選択肢とも比較し、第7章で次の90日間に取り組むことを具体化していきます。
会社に残りながら将来への準備を始めたい方にもお使いいただけます。自分の状況を順番に整理したい方は、収録内容と利用条件をご覧ください。
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